幻の将軍
東京-横浜間に鉄道が開通したのは、ディス歴1887年12月の事であった。運賃は片道5円。徳川玄平の進める鉄道網の整備はゼアーより早く、父で先代のヨシノブが肝煎りで準備していた政策でもあった。その後、横浜-横須賀間、東京-上野間、東京-新宿間、東京-高尾間等も相次いで開業。まだ自動車が普及していないこの時代。運賃は決して安くは無かったが、歩く苦労を考えれば安いものであった。こうしてディスでは幕府の莫大な資金元手に急速に鉄道網が広がっていた。
一方、きりざめCICでは?
「カイドウ三佐!おかえりなさい。」
「おう。楽勝だぜ!」
「何だこれは?」
「サイダー製造機です。」
「そういやぁ、武蔵にもこんなガキの喜びそうな飲み物を作る機械があったな。」
「おい、カイドウ三佐?そう言う言いぐさは無いだろ?お前絶対飲むなよ?」
「ちっ。じゃあこれ設置よろしく。行くぞ。」
「へい。」
「しかしきりざめクルーはジジイばかりだな。」
「そう言う俺も50代だが…。」
「カイドウ三佐?サイダー隠れて持ってきましたよ?」
「おう。サンキュ。つーかあれ俺が譲り受けた物なんだから、隠れる必要無いけどな?」
「海野艦長とサクラギ二佐が退けば先任三佐の俺の時代何だがな…。」
「でも海野艦長はあと10年は現役でやれるって言ってましたよ?」
「何ィ?」
「でも海援隊はカイドウ三佐の味方ですよ?」
「で、例の物は?」
「横浜港に二隻の巨大タンカーで持ってきましたよ。」
「仕事が早いのは流石だな。これは報酬額の1割だ。残りの9割は給油が完了次第即渡す。ま、手付金って奴だ。」
「あざっす。こんなに貰えませんよ?」
「まぁ、いいからいいから。」
「で、サクラギ二佐どうします?どうやってゼアーに戻りますか?」
「これと言った作戦はない。」
「カイドウ三佐、貴様は何か言いたそうだな?」
「我々きりざめクルーは本来やってはいけない事をしました。未来人として、徳川幕府に手を貸し明治維新を阻止。ゼアーの世の中とは全く違う世界を築きました。」
「それをディスの日本人が望んだからではないのか?玄平がそのシンボルだ。」
「第16代将軍徳川玄平は本来なら現れるはずのない幻の将軍。たった二隻の戦艦と一隻のイージス艦で、日本は鎖国を継続。最も大和、武蔵の存在は想定していませんでしたが。NEO日本海軍は、この20年でとても強力になりました。」
「そうする様に望んだのは、ディスの日本人だ。」
「それは詭弁ですよ。海野一佐、20年も待ったのは最高権力者に成る為?違いますか?」
「誰が貴様のバックに付いているかは知らんが、それは有り得ない。20年間徳川幕府に全てを費やしてきた。それがゼアーに向かうと信じていたからだ。」




