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幕末自衛隊NEO~the end of EDO to self defense force~  作者: 佐久間五十六


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アダチのホイッスル

 ニシタケル一等海士20歳。ヤクザ崩れも地連のオッサンの手にかかれば、小僧である。何せ横須賀に来て初めてハンバーガーを食うような山小僧だ。そんな彼も、入隊から一年が経つとすっかりあか抜けて大人になっていた。部下からはタケ兄と呼ばれていた。今のニシ一士の目標は、三等海曹への承認試験に合格し、上を目指す事である。

 キタヤヨイ海士長は高卒入隊2年目の21歳である。自衛隊を就職先に選んだのは、多種多様な資格を取得する事が出来るからであり、給与や福利厚生も申し分ない。進学予定だった専門学校の入学をやめて、海上自衛隊に入隊した。父親が防衛大学校卒業のハイパーエリートであった為、ヤヨイが自衛隊に入隊したのには反対しなかった。ヤヨイの兄も防衛大学校在学中であり、ヤヨイの入隊には賛成していた。

 「ニシ一士!こっちこっち!」

 「あ、キタさん!何してるんですか?つーかその和服どうしたんすか?」

 「まさか?」

 「そのまさかだよ。シグサワーを質に入れた。」

 「また警務隊のやっかいになってしまいますね?」

 「こうでもしねぇと、金は手に入らねーから。」

 「金なんか無くても、海野艦長の所へ合流すれば、良いじゃないですか?」

 「その為の費用だよ。ま、それは正論なんだけどね。つーかここは何処なの?」

 「そこの村の人に話を聞いたら、黒船がどうとかで、幕府がヤバイ的な事を言ってたんで、幕末の横浜かと思われます。」

 「その情報、確かなの?」

 「はい。」

 「ピーッピーッピーッ。」

 「そこの二人、きりざめクルーだろ?」

 「だとしたら?」

 「一緒に来い!」

 「なんだ、二人とも僕より階級上じゃないですか?」

 「ったく、アダチ二士も人が悪いですよ?節操にシグサワーを質に入れた自分も悪いですが…。」

 「勝手に公の物を質に入れたら駄目ですよ?」

 「仕方無いじゃないですか?金も無いままTSPしたのがいけないんですよ。」

 「それは自分らに責任無くないですか?」

 「ほら。」

 「これは!?」

 「キタさんのシグサワーじゃないですか?」

 「ありがとうございます。」

 「礼には及ばん。腕時計を質に入れるクルーは見たが、シグサワーを質に入れるのは珍しい。」

 「で、ここからが本題。自力で江戸晴海埠頭のきりざめの所へ行って下さい。」

 「地図と旅費です。」

 「貴方誘導役なんじゃないの?」

 「そうだとしても、私はゴールを示しました。だからお役後免なんです。」

 「キタさん、うだうだ言ってないで、早い所きりざめの元へ参りましょう。」

 「それが賢明かと?」

 「よし、行こうか、晴海埠頭。」

 こうして二人の隊員は2日がかりで、無事きりざめの元へ辿り着いた。

 「艦長、ニシ一士とキタ海士長がきりざめに戻って来たようです。」

 「そうか。手厚く迎えてやれ。」

 「ニシ一士、言ったでしょ?」

 「何をすか?」

 「私の言う通りにしていれば、悪い様にはしないって。」

 「ありがとうございます。感謝してますよ。」

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