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幕末自衛隊NEO~the end of EDO to self defense force~  作者: 佐久間五十六


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アナログの価値

 タグチフミヤ一等海尉は防衛大学校卒業者で、きりざめでは何人かの部下と共に武器庫の管理を任されている。ミヤモトリュウイチ三等海尉は、C幹出身の苦労人であり、もう数年で定年を迎える大ベテランである。

 「ミヤモト三尉で100人目ですね。」

 「あと、50人何としても見つけなければな。」

 ちなみにタグチ一尉とミヤモト三尉は横須賀で発見され、きりざめに送られた。これまで発見者数が最多の横須賀は明治時代を迎えるまでは、大規模な海軍の街では無かった。

 「最近の防衛大学校学生は、海上自衛隊に志願したがらねぇらしいっすよ?」

 「確かに一旦航海に出ちまったらスマホいじれねぇもんな。」

 「ミヤモト三尉の若い頃では考えられない事象だよな?」

 「そうですね。若い頃は将棋や麻雀(潜水艦内では禁止)にボードゲームなんかで、隊員の交流を図ったものです。チェスなんかもお洒落で人気がありましたし、トランプやウノなんかは定番でしたよ。」

 「古いっすね。アナログの価値は認めていますが、今はスマホ一台で完結しますよ。」

 「タグチ一尉の世代はプレステ5に任天堂switchか?」

 「艦内のWi-Fiの整備も進んでるみたいですし、とにかく余暇の過ごし方もデジタル化しています。」

 「その点、ディスではデジタル機器は何も使えません。アナログなカードゲームやボードゲームが活躍しています。」

 「スマホ使えないのはマジで辛いっすね。」

 「海野艦長は、福利厚生の一環で娯楽についてどうお考えですか?」

 「任務に支障が出ない範囲でなら基本は何をしても構わないと思っている。だが海幕(うえ)はどう思っているかは分からない。それに幹部候補生学校を出ている者達ならば、息抜きのマネジメント術を取得しているはずだ。いずれにせよ個人の趣向は全体の士気に直結する。その辺は幹部自衛官(三等海尉以上の自衛官)の明確な指示(イニシアティブ)が必要であると考えている。楽しみが三度の飯だけじゃ、辛いだろ?」

 海上自衛官は強いストレスを強いられる。だから航海は必要がなければ出港しないと言う作戦もあるが、日本を取り巻く安全保障環境を考えた場合、そうも言っていられない。特に潜水艦勤務の海上自衛官のストレスは究極である。大きな音を立てるな、寝床は狭い、そんな状況下で最低でも2週間は乗りっぱなしの箱詰め状態である。真水の使用も制限されシャワーは3日に1回5分。勿論浴槽など無い。トイレも極力避ける。

 そんな海上自衛隊の潜水艦乗りには陸海空各自衛隊の中でも高い給料が支払われている。我慢の先には良い事が待っているのだが、艦艇勤務はとにかくしんどい。海野一佐はそう言った事情も全て把握していた。流石は艦長と言った所か。

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