叩き上げ舐めんなよ
「トリタニ三曹、また"御客様"です。」
「また?誰?」
「クマウチ三尉とフルヤマ二尉です。」
「また士官か…。しょうがねーな。エスコートしてやるか。」
「トリタニ三曹?これは一体どう言う事だ?」
「これはあの…。」
と、トリタニ三曹は二人の士官に詳しく説明した。
「タイムスリップだと!?にわかに信じがたい。」
「信じるも信じないもここは幕末です。」
「海野艦長は?」
「これからお連れする所におられます。」
「連れてけ。」
「2~3日歩きっぱなしですが?士官ともあられるお二方なら楽勝ですよね?」
「大丈夫っすよね?クマウチ三尉?」
「叩き上げ舐めんなよ?つーかフルヤマ二尉の方は大学院生出身だからって楽勝と言う事はないかもよ?」
「部隊配置になって半年経ちますが、体鍛えてますから。余裕っすよ。」
クマウチタケヒコ三等海尉は防衛大学卒業者ではなく、叩き上げの37歳で2児のパパである。妻には頭が上がらない。一方でフルヤマオサム二等海尉は、大学院修士課程卒業の一般幹部候補生所謂(B幹)出身者である。あまり偉そうにしていない為、上官からとても可愛がられている。
「あと、50㎞っすよ!」
「文明の利器がないのわきついっすね?」
一方、きりざめでは…。
「先程、トリタニ三曹がエスコートして来た2名で96人の隊員が戻って来ました。」
「約3分の2っすね。」
「イベ士長やトリタニ三曹のお陰だな。関西やその他方面から来るクルーには何の支援も出来ていないがな。誠にしのびない。」
「海野艦長、通信装置が完成しました。」
「そうか。これで武蔵のアカギ中将や大和のヤマグチ大佐と通信出来るな?」
「通信テストを始めてくれ。」
「ハッ‼了解致しました。」
「こちらきりざめ異常なし。」
「きりざめより武蔵応答願う。」
「こちら武蔵。通信良好。」
「大和より入電。通信良好。」
「よし!これで連携はバッチリだな?」
「はい。しかし艦長?帝国海軍の人間を信頼してよろしいのですか?」
「案ずるな。彼等もきりざめ同様異邦人。同じ穴のむじな。時代は違えど同じ海の防人。私は二人の指揮官を信頼している。それに、大和も武蔵も我々が直面しているクルー遭難に直面していると言っておった。」
「そうだったんですね。」
「艦と言うのはな、人が動かすんだ。AIや自動制御の時代は来るだろうが、今は違う。一人のクルーの取りこぼしなく、それぞれのいた時代に戻る。それが私の願いであり、アカギ中将やヤマグチ大佐の願いでもあるんだ。」




