加州藤原清光
「これは?」
「加州藤原清光、君の国の刀だ。」
(え?沖田総司の愛刀が何故ここに?)
「良いんですか?頂いても?」
「ああ、それと、シルバーソードとシルバーズベスト、これ等も持って行くと良い。きっと役に立つだろう。」
「ありがとうございます。」
こうしてアラビン皇子との会談は無事終わった。石油の定期的な供給と友好国UAE(アラブ首長国連邦)のドバイからも、供給の確約と言う"お土産"得て海野達は、帰路についた。
「アラビア語もまともに分からねぇのに、よく交渉がまとまったな?」
ガッシャーン。「こんな玩具を渡して来るのは予想外だったがな。」
「西洋の標準装備らしいが、それよりこの刀、マジで沖田の愛刀なのか?」
「沖田総司言うたら、新選組一番隊組長じゃねーか?加州藤原清光が本物ならお宝だぜ?」
「日本に戻ったら勝さんに見てもらおう。」
「海野一佐、帰りますよ。」
「あ、嗚呼。」
その頃京都では…。
「おいヨメノ一曹?ここはヤバイ。」
「ヨルヅキ曹長一旦別れて、大阪で落ち合いましょう!」
「OKラジャー。」
幕末の京都は血で血を争うテロや火事で溢れていた。二人のきりざめクルーは江戸を目指す為、海路を選択した。
「ったく、丸腰じゃあこの街は歩けねぇな。」
「ヨルヅキ曹長、こっちです。」
「ヨメノ一曹無事だったか!」
「江戸に行きますよ。」
「おう。きりざめは江戸にあるんだよな?」
こうして二人のきりざめクルーは3日程で江戸に着いた。
「ヨメノ一曹、俺の見間違いじゃなきゃあれ、きりざめじゃねーか?」
「どこからどう見てもきりざめですね。行きましょう。」
「ヨメノ一曹、ヨルヅキ曹長どこから来た?」
「京都です。」
「関西ルートはエグいよな?」
「はい。あのぉ?海野艦長は?」
「今ちょっとな、用事で席を外してる。今は自分が艦長代理でな。」
「そうですか。」
「よくここが分かったな。」
「本当なら横須賀に行きたかったので、江戸は中継点だったんですけどね。」
ヨルヅキテルノブ海曹長は54歳退官間近の大ベテランである。海上自衛隊一筋36年、下士官の鏡とも言われている。一方、ヨメノハルオ一等海曹は、ヘリパイ候補生として入隊。入隊2年で一等海曹に昇進した若手のホープである。すでにきりざめ搭載ヘリの副操縦士として、SH-60Jに乗り組み訓練課程に入っている。
さて、サウジアラビア王国を出発した戦艦武蔵はまだ日本には到着していなかった。カイドウ三佐にきりざめ艦長代理を任せてから二カ月が既に経過していた。かなり着隊しているきりざめクルーも、海野艦長の事が心配になっていた。
「おい、シドウ三佐!艦長はまだか?」
「知りませんよ。中東に向かうって言ってましたから…。」
「早く帰って着てくれないかな?」
カイドウ三佐の我満はもう少し続きそうである。




