武器庫の鍵
ムカワ隊員とムラヤマ隊員は同じ野球部出身で青春時代を共に過ごした。プロ野球選手を夢見て懸命に練習に励み、甲子園を目指したが県ベスト8止まりでその夢は終わった。民間企業への就職は考えていたが、大学進学は考えていなかった。あれこれ、警察、消防、海保、自衛隊と悩んだ末に、一番体力が必要な海上自衛隊を選んだ。選んだというより、そこしかなかった。
それはさておき、一年後。彼等もきりざめクルーとして幕末にTSPしていた。
「おい、おい、令和の日本で大砲の音がするぞ?」
「とりあえず、東京に向かいましょう。きりざめの情報が得られるはずです。」
2日後…。
「おい、ムカワ二士、あの埠頭にきりざめが係留されているぞ?」
「マジすか?何でこんな所に。」
「行くぞ!」
「ムカワ二士、ムラヤマ二士京都より着隊致しました。」
「両名とも無事で何より、ご苦労だった。で京都はどうだった?」
「艦長、戦が起きていました。大砲の音、小銃の音が鳴り止みませんでした。あれは正に戦闘状態でした。その為、急ぎ退避して来ました。」
「うむ。スマートな判断だ。」
「京土産の一つでも買ってこようとしましたが戦闘が激しく無理でした。」
「お前ら、疲れただろ?シャワーの使用を許可する。」
「ありがとうございます。」
「さて、ブリーフィングでもするか?」
「戦艦武蔵は押さえたが、戦艦大和はまだ完全に掌握していない。薩摩・長州の馬鹿どもでも操艦位は出来ると見て間違いない。油断はならぬぞ?」
「先の戦の事となれば、まだまだクルーが揃っていないきりざめと武蔵で大和に完全に勝つのは難しいだろう。」
「で、このまま指をくわえて待っていろと?」
「いや、先手を打つ。戦艦大和艦内に潜入して、内部から制圧する。そして薩摩・長州の兵を追い出す。」
「勝算はあるのか?」
「兵の補充は勝さんに頼んでみる。警備は厳しそうだが、兵隊の数で上まれれば勝算は高い。」
「ならば直ぐに強襲チームを編成しよう‼」
「人選はカイドウ三佐に任せる。」
「御意。」
「確かSBU(特別警備隊)出身の隊員がいたな?彼を中心に強襲チームを編成してくれ。」
「はい。」
「ちなみに確認だが、武器庫の鍵を持っているのは私だけか?」
「武器庫の鍵を持っているのは、サクラギ二佐と海野艦長だけです。」
「強襲チームには武器庫の中の武器の使用許可を出す。私は強襲揚陸の作戦立案しか出来ぬが、むやみやたらにゼアーの兵器をディスでさらしたくない。持って行く武器は出来る限り少なくしてくれ。」
「艦長、ここ幕末なんすか?」
「ああ。信じ難いがな。」
「自分達も作戦に参加させて下さい。」
「死ぬかも知れないんだぞ?」
「それでこの世界の未来が良くなるなら構いません。」
「なら、こいつを持って行け。」
「シグサワーP-9拳銃ですか?」
「どうせ薩摩・長州の兵は刀や脇差ししか持っておらんだろうからな。命の危険が迫った時に使え。ムカワ二士とムラヤマ二士。」
「迫撃砲も小銃も、極力使いたくは無いのだがな。分かってくれるな?」
「もう土台無理な話なんだが、歴史を出来るだけ変えたくないんだ。」
「分かってます。」
「強襲揚陸チームはカイドウ三佐を中心に装備の点検をして、明日徳川幕府兵士2000人と合流し、広島県呉市の戦艦大和の元に向かってくれ。負けは許されぬぞ、良いな?」




