台所事情
「あーあ。何もないな。」
「何か変ですね。」
「俺達の知ってる横須賀じゃねぇな。」
「ツルミ士長これからどうしますか?」
「聞き込みによると江戸だな。そこにきりざめはある可能性は高い。」
「江戸ですね?」
「あーあそうだ。ツノダ二士。」
「きりざめが横須賀にあったのは間違いない。だがそれは大夫前の話だ。聞けばここは、幕末の1866年11月半ば。俺達はタイムスリップしたんだ。」
「何故この時代この場所に?」
「さぁてな。」
「歩いて江戸まで行くんですよね?」
「それ以外に方法が?」
「ここは、横須賀ですよ?」
「だったらどうする?貴様も自衛官の端くれならこれくらいの事で根を上げるな。」
「分かりました。ツルミ士長。」
「ここでの野営は終わりだ。行くぞ。」
「はい。」
ちなみにツノダテルオ二等海士は、米国で高校生活を送り卒業して米国海軍に入隊するか、日本の海上自衛隊に入隊するか迷ったが、米国籍を入手するのが難しいと言う問題があり、日本の海上自衛隊に入隊を決めたと言う少し変わった経歴の持ち主である。日本語が少し苦手と言うハンデを持つ。一方で、ツルミヤスアキ海士長は2任期目の26歳。入隊が少し遅かった為、年下の下士官や防衛大学校卒業者に劣等感を持っている。ただ、そこは割り切って職務に当たっている。将来はC幹で、上級士官になり、部隊の指揮を執るのが夢である。
…。2日後。
「ツノダ二士、あれじゃないか?」
「きりざめですね!」
「DDH-51きりざめじゃねぇか!」
「あ、カイドウ三佐!?」
「ツルミ士長、ツノダ二士、とりあえずシャワー浴びようか。話はそれからだ。」
「ありがとうございます!」
「艦長、ツノダ二士とツルミ士長はどうやら横須賀から歩いて来たようです。」
「入れ違いになったわけか。悪い事をした。」
「着隊報告!ツノダ二士、ツルミ士長ただ今?着隊しました。」
「元気があってよろし。横須賀から来たようだな?話はカイドウ三佐から聞いた。気の毒な事をした。」
「気の毒な事?」
「つい3週間前まできりざめは横須賀にあったんだ。」
「なるほど、入れ違いになったわけですね。」
「直感で江戸にくれば何かあると思って来たのが当たりでしたね。」
「その様だな。」
こうして、ツノダ二士とツルミ士長はきりざめに到着した。さて…。
「センドウ三佐、現状は?」
「自衛官のみのカウントですが、37人で他の客人はカウントしていません。収容人数200人以上可能なきりざめですから、現状はキャパシティの範囲内、余裕はあります。」
「食糧の方はどうなっている?シイヤ一尉?」
「魚や野菜を中心に米等の主食も徳川幕府から提供されるもので、間に合わせています。」
「そうか、経理はどうなっている?セイノ一尉?」
「海産物の売買で利益が出て収入源となっています。支出はありません。」
「すまんな、本来なら給与を与えたいんだが。理解してくれるよな?」
「センドウ三佐、武器庫の方はどうなっている?」
「32口径のピストル100丁弾丸2000発、89式小銃25丁弾丸250発、64式小銃200丁弾丸2000発、RPG-7(対戦車ロケット砲)5丁、以上で異常無しです。」
「正当防衛以外の状況での発泡は認めない。なるべく危険を感じたらきりざめに退避してくれ。」
「人一人死んだら未来が変わるデリケートな世界だ。俺達がゼアーに戻る為には総員150人の生存が第一条件だ。でも、ディスでこれだけの武力を持ちながら何も無いとは考えづらい。」
「しかし艦長は、勝さんから出動命令が出たら出撃するおつもり何ですよね?」
「ま、そうは行っても専守防衛の範囲内でだがな。その線引きは階級上位者がしてくれ。私はこのきりざめを守るので精一杯だからな。」
「隊員が集まれば、きっと何かしらのミッションが与えられるはず。尚、こちらから行方不明者の捜索はしない。ここに来るのを待つ。まぁ気長に待とう。あーあ、あと、無断外出単独行動は絶対NGな。」
こうして、1866年11月半ばのある一日が終わった。




