セーラー(水兵服)と鬼の副長
「おい、起きろソガ一士!」
「んー?何ですか。どうしましたソウヤ士長?」
「俺達幕末にいる。」
「映画やSFの見過ぎなんと違いますか?」
「どれどれ?ハッ。ここはどこすか?」
「多分京都だよ。」
「幕末の京都なんて危険極まりないじゃないですか?」
「とりあえず、落ち着いて江戸を目指そう。戦乱に巻き込まれる前にな。」
「しかし、どうやって江戸に?」
「徒歩だ。」
「マジすか?」
「飛行機も新幹線も無いんだ。船はあるけど金はない。人に道を聞きながら東海道を東に進もう。」
「おいそこの貴様ら!止まれ。」
「あんた誰?」
「ヒジカタトシゾウ新選組副長だ。」
「あーあ、俺達は不定浪士ではない。この通り刀も持たぬ旅人よ。」
「確かに不定浪士では無い様だな。」
「へぇ、これがあの二条城?でかいね。」
「貴様ら先程から話を聞いていたが、どこの藩士だ?さっきから士長だの一士だのと部隊用語を使う。」
「俺達は下っぱだがれっきとした海上自衛官だ。」
「何処の国の制服かと思えば、海軍の兵士か。はてな日本海軍って事は幕府の者だな?」
「まぁ、そんなところだ。」
「ちなみに海上自衛隊は150年以上先の未来の海軍だ。」
「貴様らは未来人?」
「頭の中整理しろ。ヒジカタさん。とにかく俺達は江戸に行きたいだけなんだ。」
「そう言えば同じ事を言っている様な兵士にあった事がある。」
「もし他にもそう言う兵士がいたら、速やかに江戸に向かう様に言って欲しい。」
「分かった。貴様らはこれから江戸に向かうのか?」
「ヒジカタさんが見逃してくれるならな。」
「まだ、鬼の副長の尋問は続くぞ?」
「簡単には見逃してくれる道理は無いわな。」
「水平服は英国のものに似ているが?」
「あーあ、これか?これは下っぱの制服なんですわ。」
「大体の事は理解した。行け!」
「見逃してくれるのか?」
「敵でも味方でもない奴を捕縛する訳にはいかん。だから私の気が変わる前に行け‼」
「走るぞソガ一士!」
「はいソウヤ士長!」
どこまで走ったかは分からない。とにかく新選組の追っ手が来ない事を願い東海道を東に向かった。そして二人は1866年11月初旬に江戸に到着した。
「あれを見ろ、ソガ一士!」
「きりざめじゃないですか?ソウヤ士長!」
「イベ士長!アダチ二士!お久しぶりです。」
「艦長に挨拶して来い。」
「と言う訳で、ソガ一士とソウヤ士長の2名は京都から戻りました。新選組副長のヒジカタトシゾウに鉢合わせてになりまして、かなりのピンチでしたが、何とか逃げ切りました。」
「士長以下の制服はセーラー(水兵服)だから目立ってしまったのかもな。」
ソガイルカ一等海士は高卒入隊で入隊半年目の自衛官の卵である。料理が趣味でキャンプ等でストレスを解消している。彼の目標は立派な炊事隊員になる事である。その為、三等海曹に成る為に一生懸命勉強している。調理師免許も取得するなど精力的である。
一方で、ソウヤテルオ海士長は一任期を終えたが三曹に昇任しなかった変わり者で、年齢はソガ一士と大して変わらなかったのであるが、入隊がソウヤ士長の方が早く先任の為、ため口をきいている。趣味は一人カラオケであるが歌は下手くそなのであった。
こうして、京都からの脱出に成功した二人であった。




