士道不覚悟
「なぁ、サトウ?俺達いつまでこんな人斬りごっこを続ければ良いんだ?」
「バカ野郎。サノ。こんな戦地で土方さんに見つかってみろ?切腹だぞ。」
「こっちの世界に来て三週間立つが一向に戻れる目処が立っていない。」
…三週間前。「総員甲板整列!」
「何夢見てるんだよ?サノ二曹。」
「サトウ二曹は夢見ないんすか?」
「見ないよ。見るのはこのだんだら羽織の隊服だよ。俺達を拾ってくれたのが新選組だったってだけの話さ。」
(でもどうやってここを抜け出す?捕まれば切腹だぞ?)
(だんだら羽織の下は海上自衛隊の第一種正装だ?って事は拾われて間もない。今なら逃げられる)
「走るぞ!サノ二曹!」
「おう!」
「おい?そこの二人、軍服を来ている二人、何をしている?異国の将兵か?」
「観光客でーす。私ーたちわ、アメリカンネイビーでーす。」
「貴様ら頭は大丈夫か?ここは幕末の京都、戊辰ウォーの真っ最中だぞ?」
「おい?待て!」
ピーピーピー「不貞浪人二人を見つけた追え!」
「サノ二曹、とりあえず大阪まで走るぞ!」
「OKサトウ二曹。スタミナは何とか持つと思うけど、大阪から先は?」
「江戸へ向かう。」
「江戸!?」
(ここだけの話、俺の感なんだが、他のきりざめクルーも俺達の様に全国各地に飛ばされている可能性がある。横須賀に行きたいのだが、とりあえず江戸経由の方が確実かと思ってな。)
「了解しました。サトウ二曹、これをはおってください。」
「お、サンキュー!」
「いました‼」
「くそ。捕まるしかねーのか?」
サトウ二曹とサノ二曹は、新選組三番隊の屯所に連行された。
「俺は新選組三番隊組長サイトウハジメだ。貴様らの正体が知りたい。」
「JMSDF?海上自衛隊だと?」
「なんだそれは?」
「様は海軍です。」
「お前らはその一味なのか?」
「下士官ですけどね。」
「貴様らの正体が分かった以上直ぐに士道不覚悟切腹と言う訳には行かない。沙汰を待て。1ヶ月はかかるだろう。」
「サノ二曹?俺らガチの幕末にタイムスリップしちゃったみたいっすね?」
「信じがたいが…。だな。」
それから1ヶ月、剣術を覚えたサノ二曹とサトウ二曹は二度目の脱走を試みた。しかし、不思議な事に追っ手は来なかった。
「サイトウさん?良いんすか追わなくて?」
「捕まえて切腹させる意味がない。そう判断した。」
「珍しい事になりましたね?」
「まぁ、彼等は行くべき所がある様だからね。」
5日後…。「ここが江戸だな?」
「あれを見ろ!サノ二曹、きりざめだ!」
「カ、カイドウ三佐!」
「サノ二曹にサトウ二曹久しぶりだな。」
「何?この一ヶ月京都にいただと?」
「新選組に掴まってしまって。サイトウハジメの元にいました。」
「良く無事で帰ってこられたな。脱走は切腹ものだと聞いているが。」
「自分達は客人扱いだったので何とかなりました。お陰で小野派一刀流の手練れに慣れましたよ。」
「サノ二曹。あんま調子に乗んな。」
「そういゃあ京都は戊辰ウォーの最中だと言っていました。」
「それはそうだろうな。時代的に考えても。」
「倒幕派等が優勢で、新選組内部崩壊しかけていました。鉄の隊規局中法度の効力は物凄かったです。」
「とりあえず二人ともよく帰ってきたな。艦長に挨拶して風呂に入り、飯を食べて寝ろ!」
「はい。ありがとうございます。」




