回答期限
アトムの行方を必死に探す海野達だったが、一向に手がかりを掴めずにいた。巷でも情報が錯綜しアトムの存在は、一般市民にまで知れ渡っていた。
「海野一佐、このままでは米国と戦争になりますぞ?」
「GLZIを所管する米国陸軍が何も回答して来ないんだ。回答期限まであと2日の猶予はある。」
「海野一佐、米国との戦争がどれだけ愚かな事か知っているのは、誰よりもきりざめクルーじゃないですか?」
「サクラギ二佐…。俺はただゼアーの世界に戻りたいだけなんだ。」
「海野一佐…。」
「アトムを壊してディスと言う幻の世界を終わらせる。その為ならば米国であろうとも戦争は辞さない。」
海野は何度もシュミレーションをした。この20年間で蓄えたNEO日本海軍があれば、米国海軍に勝てると。きりざめを旗艦とする艦隊と原子力潜水艦てんりゅうがあれば、勝算は充分あると考えていた。ゼアーでは辛酸を舐めたが、アトムを搭載した艦船と疑わしき物は全て各個撃破する。ゼアーではミスリードしまくったが、相対すべきは清国(中国)でもロシアでもなく、米国であったのだ。ディスが偽りの世界である事は確かだ。そこから抜け出す方法も分かった。だがそのアトムを完全にロストした。それが今の海野達である。アトムを見つけなければ2日後には、米国に宣戦布告をし戦争になる。それだけは避けたい。
しかし、そのアトムが米国内陸部に匿われていたら、その時は核兵器の使用も辞さない構えである。え?何処に核兵器があるって?てんりゅうだよ。戦略原子力潜水艦ロサンゼルス級をモデルに海野が設計したてんりゅうにはSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)には、核弾頭が搭載されている。狙った所にピンポイントで核攻撃出来る。その潜水艦が米国東海岸に展開している。公式回答が無い場合は、てんりゅうによる核攻撃を実施する。
「日本は本気みたいですが?」
「分からん。だがアトムを破壊されれば、ディスは崩壊する。」
「と言う事は?」
「何事もなくゼアーの世界に逆戻りだ。」
「それは何かと都合が宜しくないのでは?」
「ああ、ミラージュ・アトムも本体のアトムが破壊されれば使えなくなる。」
「とは言え、日本陸海軍は絶対に手出し出来ない所にアトムを封印済みだ。」
「そこは?」
「ホワイトハウスの50メートル地下だ。」
「それは考えましたね?」
「ああ、勿論だ。」




