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幕末自衛隊NEO~the end of EDO to self defense force~  作者: 佐久間五十六


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内陸の可能性

 「一刻も早くアトムを見つけなければ、ディスは崩壊する。」

 と、海野は警鐘を鳴らし続けていたが、ディスのNEO陸海軍ですら、その話はもう聞き飽きたと言う雰囲気が漂い、ディス崩壊の危機意識は、アトムの存在を知らぬ者には、馬の耳に念仏状態であった。それもそのはず、海野のバックについていた幕臣勝海舟は既に他界しており、海野の理解者は"裸の王様"第16代将軍徳川玄平だけになっていたからである。

 「この国だけではまだしも、アトムによって世界が終わるかも知れないんですよ?」

 「なぁに、米軍が守ってくれるさ。」

 どこまでめでたい人なんだとは言えなかったが玄平将軍がアトムに関する報告を受けていない事に安堵した。それもそのはず、アトムの存在を知るのはきりざめクルーとてんりゅう隊にしか知られていないはずだからである。NEO海軍に助けを求めたいが、いらぬ心配はかけさせたくはない。海野は切り札を切らざるを得なかった。

 トラファルガー級フリゲート艦を一手に集める為、ニューヨークにいるてんりゅうに米国東海岸を艦対地ミサイルで攻撃。その後てんりゅうは潜航させて、米国艦隊を待つと言う荒業に出た。その様子をきりざめCICとてんりゅうの潜望鏡に取り付けた高性能ビデオカメラで確認。アトムを乗せたトラファルガー級フリゲート艦等の艦隊をおびき寄せ、撃滅すると言うかなり無茶な作戦であった。

 ロサンゼルス級原子力潜水艦をベースに作った原子力潜水艦てんりゅうならばと言う海野の賭けでもあった。この目論見が成功したとしても、日本は米国との戦争状態に陥る可能性が極めて高くなり、米軍と言う後ろ楯を無くした日本は、周辺国を巻き込んだ第一次世界大戦を始める事になるであろう。きりざめやてんりゅうのいないNEO日本海軍では、沿岸防衛がやっとであり、NEO日本陸軍もどれだけ持ちこたえられるかは未知数である。ピンポイントでのアトム破壊が不可能となった今、対米戦争を覚悟せねばならぬとは皮肉なものだ。てんりゅうの米国東海岸攻撃まであと、3日。きりざめクルーは情報の分析を進めていた。

 「そもそもさ、海野一佐?アトムは日本にはないかも分からんですよ。」

 「何故だ?」

 「センドウ三佐の報告じゃあ、アトムの推定の重さは約1000~1500㎏位。こんなに重たいものを乗せた艦船をワザワザ日本まで持って来る海運力が、無いし重たいから船の速度も落ちる。きりざめのフェイズドアレイレーダーには絶対に引っ掛かっているはず。ワシントンに無いとすれば米国内陸に輸送されている可能性もある。」

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