表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/151

第98話 親友同士の対決──前編

『準決勝第一試合はベル・デフレーション選手が魔力切れの為、現在療養中とのことなので棄権!決勝に進むのはクライア・グリーンドラゴン選手です!』


ベルは今、目は覚ましている。

しかし魔力切れを起こした直後の戦いは、不調によって魔力が暴走してしまうことが多い。

その為、棄権することとなった。

クライアは決勝へと進み、準決勝第二試合の勝者と戦うことになる。


『それでは本日は一試合のみ!準決勝第二試合はシュヴァルツ・レッドドラゴン選手対ブライア・グリーンドラゴン選手です!』


二人が同時に入場し、拍手と歓声が沸き起こる。

何しろ、二人共十五歳という若さでこの準決勝にいる、賞賛するべきことだ。


『見事シガレット家の異端児、クーキリス選手を下した『剣聖』シュヴァルツ選手!果たしてその華麗で豪快な剣技はどんな牙を剥くのでしょうか!』


シュヴァルツの腰には、いつも通り二本の剣が差してある。

聖剣と、轟炎真焔丸だ。

ここまで勝ち上がってきた剣術には、油断も隙もない。


『対するブライア・グリーンドラゴン選手ですが、コルト・ピカード選手との対戦状況は一切不明ですが、イラン・リーバルブ選手との戦いはまるで不死身とも呼ぶべき姿でした!』


何度でも自身を治療し、イランの剣術を耐え切る。

今大会で付けられた二つ名は、『廻甦の闘士』。

何度も蘇り、戦い続ける姿を見ての二つ名だ。

今大会の戦いぶりだと、ブライアにピッタリの名だろう。


『『剣聖』対『廻甦』──勝者はどちらか!』




「この時を、待っていた」


シュヴァルツが、そう俺に言い放つ。

するといきなり二つの剣を抜き、構えた。

最初から全力で来るつもりだろう。


《ブライア、俺が昨日言ったこと、覚えてるな》


勿論、覚えてる。

昨日作戦を立てている時に、ヘルスから言われた。

絶対に最初から全力でいくな、と。

最初は少しずつ、少しずつアイツの体力を削る。

そして最後を飾る瞬間だけ、全力を叩き込む。

こちらも最初から全力でいくと、シュヴァルツの調子を上げかねない。

それだけは絶対避ける為に、ちまちまとダメージを与えていく。


「──『聖滅焔鳴』」

「『陽の光・護光』」


太陽の光で、シュヴァルツの斬撃を受け止めた。

そして斬撃を吸収し、光の威力を上昇させ、仕掛ける。


「『陽の光・燼醒』」


いくつもの光の刃を飛ばし、少し距離を取る。

しかし、シュヴァルツは光の刃をいとも容易く斬り裂き、俺の方へ向き直った。


「バケモンが」

「逃げるなよ──『聖紅炎天』」


一瞬で俺の間合いに入り、剣技を放つ。

だが、俺はまだ余裕だ。


「『空の歪』」


空間を歪ませ、剣技を俺に到達させない。

シュヴァルツからすれば、いきなり未知の守りをされたんだ、混乱するに決まっている。

届いたと思った剣が、届いていないのだから。


「⋯⋯?」

「『陽閃殴撃』」


一撃、光の如き速さで打ち込む。

完全に入ったと思ったが、シュヴァルツに腕を掴まれていた。


「捕まえた──『紅の光刃』」

「『時の歪』」


シュヴァルツだけの時を歪ませ、少し巻き戻す。

シュヴァルツは手を離し、俺は速度を保ったまま拳をシュヴァルツに入れ込んだ。


「──ガハッ!?」

「『戦陽の煉帝』」


更に、上空に魔法陣を描き、シュヴァルツに太陽の如き煉獄の炎を放つ。

避けようとするが、ガッチリと腕を掴み、限界まで逃がさない。


「離せ!」

「嫌だね、大人しく食らっとけ」


そして煉獄の炎が近づいた瞬間、思い切り上空に吹き飛ばす。

これで決まるとは思えないが、多少なりともダメージにはなるだろう。


「闘志よ滾れ──『赤の闘志』!」


そうだ、赤の闘志。

炎関連の影響を一切受けなくなり、力が増す闘志。

俺の『太陽』は、もう機能しない。


「めんどくせぇな!」

「そりゃどうも──『炎熱聖永斬』!」


俺の放った炎を纏いながらも、上空からの強襲。

──避けるのは造作もない。


「『壊絶焔聖照』!」


俺が避けた瞬間、そのまま俺がいる方向へ突き攻撃。

それも何とか躱し、距離を大幅に置く。

試合場が地獄に変わる前に、魔法は消した。

自分の魔法とはいえ、あんなのに巻き込まれたらたまったものじゃない。


「クッソ、めんどくせぇな!」

「こっちのセリフだ、ちょこまかするな!」


『太陽』を主に、炎系統を封じられた俺と、全て躱され、攻撃が当たらないシュヴァルツ。

現時点では、圧倒的に俺が不利。

だが⋯⋯まだ時間が欲しい、限界まで稼ぐ。


「『聖紅庭焔』」


シュヴァルツが剣を振るうと、試合場の地面が燃え盛る地面へと変わった。

俺は炎を避けなければならないが、シュヴァルツは炎を完全に無効化させる。

俺の不利は変わらず、か。


「『聖斬光炎閃』」


聖なる光に包まれた剣閃。

聖剣は邪魔だが、今はまだその時じゃない。

対処は後回し、とりあえず準備できるまで耐える。


「動くなよ──『聖斬光炎閃』」


今度は更に数を増やしてきた。

全部避けるのは難しい、少しの剣閃は相殺させる。


「『緑斬閃征』」


今地面に降りるのは危ない、空中でシュヴァルツの攻撃を耐えよう。

⋯⋯やはり、ここまで攻撃が当たっていないのに、攻撃を激しくしてこない。

先に手を出して欲しいんだが、それはシュヴァルツも理解しているのか。

理性か本能のどっちかが、手を出したら負けると感知している。

恐らく、直感な気がする。


「ブライアの考えてる事は相変わらず分かんねぇ」


──きた!

これは確実に試合の流れが変わる一手を出す前兆だ。

まだだ、まだ我慢しろ。


「お前みたいに頭良くないけど──俺には感がある」


二刀流、一気に構えた。

来いシュヴァルツ、潰してやる。


「──ここだ──ッ!!」


──俺の腕が、吹き飛んだ。

痛みに悲鳴を上げる暇もなく──俺は心の底から歓喜した。

ようやく、痺れを切らした。

圧倒的不利だった俺。

更に、両腕も斬られた。

──ヘルス、作動させろ。


《任せとけ──『矛盾の天秤』》


『矛盾の天秤』──俺とヘルスの二人で開発した魔法。

事前にある条件を設定し、試合の最初の方で下準備をする。

『キッカケ』ができた瞬間──ヘルスが作動させ、俺はその恩恵を受けて戦うのだ。

今回の条件は有利不利の関係。

どちらかが有利になり、どちらかが不利になった瞬間、条件を満たす。

有利な方は上へと、不利な方は下へと向かう。

その天秤の傾きが大きければ大きい程、強い効果を発揮するのだ。


「──バカめ」


一言、そう言って俺は笑う。

天秤は徐々に均衡を保ち──静止した。

有利不利が完全に、平等となる。


「──は?」


俺の左腕が再生し、シュヴァルツの右腕が吹き飛ぶ。

更に『聖紅庭焔』も会場され、闘志も消え去った。

これでこそ、完全な平等。

シュヴァルツは何が起こったか理解していないはずだ。

天秤は既に止めてある、有利不利はもう関係ない。

懸念するべき事項は、シュヴァルツの奥の手だ。

だが、今はチャンスを物にする時間。


「世界『緑に染まりし緑龍の世界』」


鮮やかな緑が、試合場を埋め尽くす。

さあ、『世界打破』を見せてみろ!


「思うつぼなのは分かってるけど⋯⋯仕方ない──『世界打破』!」


緑が、割れた。

ガラスのように崩れ去り、元の試合場が現れる。

これが『世界打破』──凄い!


「仕切り直しだ──『赤の闘志』」

「そうこなくっちゃな──『緑の闘志』」


キッカケは作れた、後は攻勢を保つ。

残りの世界数は三回、オニシエントの『全知全能』があればもう少しできるだろうか。

恐らく、『世界打破』の条件はかなり厳しいはずだ。

そして、ここまで頑なに世界を出してこない。

シュヴァルツの『世界打破』は、自分の世界を犠牲にしているのだろうか。

⋯⋯だとすれば、シュヴァルツは世界を展開できない?

いや、それは有り得ない。

シュヴァルツは俺が世界を二度展開した姿を見たはず。

それを見て、今『世界打破』をしてくるとは思えない。

だったら違う条件か?

もしくは、シュヴァルツも俺みたいに世界をいくつも展開できるのか?


「『紅雲聖閃』」

「『緑閃光鋭』」


二刀流に一本で対抗するのは、かなり体力を消耗する。

明らかにシュヴァルツの方が手数は多いし、威力も高い。

だけど、もう負けたくない。

一年の頃の剣術大会のことは、未だに覚えてる。

もうシュヴァルツに、負けたくない。


「──溜まったな」

「何がだ?」

「見てろよ──世界『不屈の剣聖を辿る闘志の世界』」


シュヴァルツの、世界。

これは、二つ目の世界か?

俺の仮説が間違いっていた?

──いや、思考をゼロにしろ。

今のアイツに俺の思考を邪魔するなんて戦術はできない、全部感のはずだ。

考えれば考えるだけ、思考が複雑になって、単純なアイツに負ける。

まずは冷静に、この世界を探れ。

さっきの『世界打破』から三分が経過した。

このまま俺が世界を展開したら塗り替えれるはずだが、それは多分シュヴァルツの思うつぼ。

あのライアウトってヤツと同じで、条件を逆転させているのか?


(『分析・解析眼』)


世界の情報を、全て見抜く。

その間にもシュヴァルツの猛攻が続くが、間一髪で回避し、シュヴァルツの秘密を探す。


(やはり、後出しの世界に絶対負けないように条件を逆転させてる⋯⋯俺が勝ち目を見出すとすれば、『世界打破』を決めるしかない)


と、なれば⋯⋯シュヴァルツを解析する。

『世界打破』やコイツの世界の全てを、知り尽くすしかない。


(『世界打破』はやっぱり自分の世界を犠牲にしている⋯⋯シュヴァルツの世界は──成程!)


シュヴァルツの世界効果は、『不屈』だ。

潰れても塗り替えられても、何度でも復活する。

だけど、発動間隔時間は三分。

そこから段々伸びていくのか。

三分、六分、九分と、三分間隔で伸びていく。

だからさっきも丁度三分で世界が展開されたのか。

次の発動には六分かかるが、六分で決着は無理だろうな。


(ホーリーさん、犠牲を貸して下さい)

《当然、いいわよ》

(恩に着ます)


できるかは分からない。

けど⋯⋯やらなきゃ、負ける!


「いくぞ──『世界打破』!」


赤く燃ゆる闘志。

その炎が徐々に盛り下がっていき──割れた。

パラパラと、崩れていったのだ。


「成功だ!」

「──ッ!?」


次の発動は六分、できることならそれ以内で決着だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ