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第76話 呪縛

「手伝えアーガイル!」

《コイツが世界を滅ぼす可能性があるなら手伝ってやるさ》

「さっさとしろマヌケ!」

《言いやがったなお前!》

「さっさとして下さいよ──って!?」


肉塊の太い腕が、俺達二人を狙って振り下ろされる。

ファルド先輩とアーガイルが口論しているが、今そっちは放っておこう。


「『白陽界・黒点移動』──『爆発(フレア)』」


辺りに黒点を撒き散らし、黒点を爆発させる。

肉塊だけに爆発の影響を受けさせるが、どうせこれを食らってもピンピンしているのだろう、すぐにでも次の手を打たなければならない。


「『貸与・創作才能』」

「──クリーナ?」

「儂の能力である『魔法創作』の一部分、『才能』をやる。お前だけの魔法を創り上げろ。今から儂は強力な結界の維持を行う、頼んだぞ!」

「アーガイルの力もパクったから俺が今足止めしといてやる!」

《返せお前!》


クリーナの能力を今初めて知った。

『魔天究極獄法』じゃないのか。

今はファルド先輩が足止めしてくれているようだし、今から創ろう。


(全員、手伝ってくれ)

《『全知全能』──展開》

《『聖法』──『聖なる慈悲・譲渡』》

《『輪廻』──『時空元掌握』》

《『魔本・強化の魔本』》


四者四様の対応をされ、俺のサポートが行われる。

⋯⋯そうだな、俺の主要能力である『太陽』の強化をしよう。

使う場面は多いし、強化が足りなければまだ不完全だが『望力』と組み合わせればいい。


「『魔法創作』──『創作・希光白陽魔法』」


創作が完了した。

この魔法は『太陽』に組み込まれ、いつでも扱えるようになり、俺単体で使用しても絶大な威力を誇る。

『希望』を基に作成しており、俺が『絶望』に陥った時は使用できないかわりに、『希望』の大きさによって威力が増す魔法だ。

『希望』の内容としては生物から『期待』や『支持』を受けている時に設定してある。


「『希光白陽魔法』──『希望の陽光・補』」


まずは俺とファルド先輩にサポート魔法をかけた。

速度や防御、攻撃といった自身のあらゆる能力を増強させ、『陽光』を自分の指示で発射できるようになる。

サポート魔法の中では質の良い魔法であり、間違いなく戦力になるだろう。


「『聖白陽光武・希白絶陽閃』」


陽大剣を取り出し、遠距離から斬撃を放つ。

ファルド先輩には当たらないよう配慮しているが、配慮しなくても避けてくれていただろう。

だが当たればとんでもないことになる為、否が応でも配慮しなければならない。

最悪クリーナに治してもらえばいい、今はこのガルらしき肉塊を潰すのが先だ。


「『厄災明光魔法』──『災・光滅の瞬竜』」


ファルド先輩が右手五本の指からそれぞれ光り輝く竜を肉塊に向けて放った。

輝く竜は肉塊に食らいついており、離さないという気迫が感じられる。

あまりにも速すぎる攻撃に驚くが、俺も負けてはいられない。


「『太陽』──『プロミネンス』」


熱気の籠ったガスを噴出し、自身に纏わせる。

俺自身に『太陽』の影響による熱いという感覚や傷は既に無くなっており、熱を気にせずに攻撃できるようになった。

但し『太陽』以外の熱の影響は受けるからそこは気をつけなければならない。


「『災・光武の閃竜』」


今度は左手五本の指から竜を呼び出し、合計十体の竜が肉塊に食らいついている。

肉塊は声にならない絶叫を上げており、こちらに氷柱や霰を撒き散らすが、『プロミネンス』の影響により全て溶け去ってしまった。

氷や水は俺との相性最悪であり、その二つで挑んだとしても『プロミネンス』を纏っている限り俺には誰も勝てないだろう。

それ程までに『太陽』は俺に自信を与えてくれる。

だが──この戦いももう終わりだ。

彼が来たからだ。


「──発動準備完了──『無天無双』」


一撃必殺(・・・・)が、肉塊に向けて放たれる。

そう、俺相手に手加減したような『無天無双』ではなく、本気の『無天無双』が猛威を振るった。

放った張本人──親父は、肉塊に冷たい視線を向けながらサラサラと砂のように崩れていくのを見守っている。

少なくとも俺は見たことの無い、親父は侮蔑の表情を浮かべていた。

そして完全に崩れ去った砂の中から出てきたのは──既に死亡しているガルだ。

確実に死んでいる、間違いない。

今ならできる──


(──ヘルス、頼む)

《ああ──『輪廻・時空元履歴確認』》


ガルの見た景色を確認する。

これは遺体の脳さえ欠けていなければできる芸当であり、ヘルス程の実力者になると実体験もできるらしい。

だが今は見るだけでいい、確認しよう。



──ガルがまだ学校に入学する前のこと。

彼は外の世界を見る為に家を──国を飛び出した。

齢九歳、能力すら判別していない状態であり、魔法も十全には扱えない。

どことも分からない場所にて盗賊に捕まり、様々な恥辱や苦痛を受けた。

ガルにとってのトラウマであり、絶対に知られてはならない事実である。

──ある時、いつものように盗賊がガルの暮らしている小さな部屋に来た。

だが盗賊は部屋に入った瞬間に、首を斬られた。

動揺するガルに、笑いかける人影。


「大丈夫か?」


そう聞くと、彼、もしくは彼女はガルに手を差し伸べた。

ガルは迷いもなくその手を取り、その人と共に走り出す。

道中、途轍もない数の盗賊に出くわすが、その人は全て斬り刻んだ。


「俺はやりたいことがある、助けたお礼にそれを手伝ってくれないか?」




──結局、ガルの過去は分かったものの、組織に勧誘した人間は分からなかった。


「結局、こいつは何だったんだ⋯⋯」

「──避けろ、ブライア!」

「──ッゥ!?」


肩を撃ち抜かれた。

ファルド先輩に言われなければ、頭を撃ち抜かれていただろう。


「⋯⋯お前──ッ!」

「太陽⋯⋯迎えに来るのはまた今度だ」

「逃がすと思っているのか──!」

「今回は一人損害が出たようだからな、万全を期す為に引くしかない。それに──いいのか?肩に穴、空けたままで」

「──ゴフッ!?」


頭以外なら治せると思ったが、肩の穴の治癒ができない。

どうなっている、あの弾丸⋯⋯!?


「お前ら⋯⋯許さないぞ⋯⋯!」

「負け犬の遠吠えだな、今じゃ俺達の方が上だ。立場を弁えろ」

「──テメェ!」

「落ち着けブライア!今は挑発に乗るな!」

「⋯⋯ッ!」


ファルド先輩が俺の体を押さえつける。

牙狼達を睨みつけるが、奴らは颯爽と撤退していった。

姿が見えなくなった後、疲労と眠気が俺を襲い、地面に倒れ伏す。

ついでと言わんばかりに吐血し、べチャリと地面に吐き出される。


「大丈夫か、ブライア!?」

「ええ⋯⋯少し、疲れ⋯⋯まし、た⋯⋯」

「後のことは任せて、寝ておけ」

「はい⋯⋯」


少しだけ、本当に少しだけ──寝てしまった。



──あれ、ここは⋯⋯?


《──やぁ、ブライア》


──ガル!?

何故、お前が⋯⋯?


《会いに来た理由か?決まってるだろう──呪縛さ》


呪縛⋯⋯?

⋯⋯命核の呪縛、か?


《理解が早くて助かる。呪縛の内容は起きたら分かるさ。じゃあな》


俺の前からガルがいなくなる。

すると天井から光が降り注ぎ──暗闇が晴れ、目を覚ました。


「起きたか、ブライア!」

「ん⋯⋯ああ、シャイフォンか⋯⋯」

「調子はどうだ?何かおかしいところは?」

「⋯⋯分からない、何かされたような気がするんだが⋯⋯」


何も思い出せない。

何かあったことだけは確実なんだが⋯⋯。


「そういえば、大会はどうなったんだ?」

「大会か?お前以外の一回戦の試合は全部終わったぞ」

「──え?俺何日寝ていた?」

「大体四、五日くらいだと思うぞ」


そんなに大会早く終わるのか!?


「け、結果は?」

「ほい、これ読んだら分かるぞ」


シャイフォンから一枚の紙を渡される。

そこには一回戦の試合結果が全て書いてあった。



一回戦第一試合

勝者、セイ・シンガート


一回戦第二試合

勝者、シャルド・グリーンドラゴン


一回戦第三試合

勝者、ゲシュナ・ブレルストッド


一回戦第四試合

勝者、ベル・デフレーション


一回戦第五試合

勝者、ファルド・グリーンドラゴン


一回戦第六試合

勝者、キャンディット・シガレット


一回戦第七試合

勝者、ミステリアス・シャイン


一回戦第八試合

勝者、ショコラミア・シガレット


一回戦第九試合

勝者、ラッシュ・インジゴドラゴン


一回戦第十試合

勝者、フレート・ホワイトドラゴン


一回戦第十一試合

勝者、カース・マジック


一回戦第十二試合

勝者、ホーン・マジック


一回戦第十三試合

勝者、スズオカ・シグレ


一回戦第十四試合

勝者、カルム・パープルドラゴン


一回戦第十五試合

勝者、クライア・グリーンドラゴン


一回戦第十六試合

勝者、セルシア・グレイスフォール


一回戦第十七試合

勝者、シュヴァルツ・レッドドラゴン


一回戦第十八試合

勝者、デス・マジック


一回戦第十九試合

勝者、シェード・ライアウト


一回戦第二十試合

勝者、リレントス・セイント


一回戦第二十一試合

勝者、ディスクブルーム・トートリーガ


一回戦第二十二試合

勝者、クーキリス・シガレット


一回戦第二十三試合

勝者、リグレット・マジック


一回戦第二十四試合

勝者、アインガルマ・キャノンシート


一回戦第二十五試合

勝者、マテリアル・コンスターク


一回戦第二十六試合

勝者、ローフェイス・グレイスフォール


一回戦第二十七試合

勝者、ジュウィーリン


一回戦第二十八試合

勝者、コルト・ピカード


一回戦第二十九試合

試合一時停止


一回戦第三十試合

勝者、ノーター・ワンドライブ


一回戦第三十一試合

勝者、グラウフワン・サンウィンド


一回戦第三十二試合

勝者、イラン・リーバルブ



「──まあ、何となく予想できてたが⋯⋯成程な」

「気になる奴はいるのか?」

「全員気になるさ、特にノーター・ワンドライブ。どうやってフォンゲルさんに勝ったんだ⋯⋯?」

「ノーター・ワンドライブを知らないのか?今大会に出場している帝国の魔女の監視役にグラウフワン・サンウィンドと共に選ばれた人間だ」


魔女を討伐できる実力がある⋯⋯?

いや、それにしても何故二人も抜擢されているんだ?

他国と比べて実力が足りないのか、あるいは──


「不思議そうな顔をしているな」

「⋯⋯帝国にいる魔女の名は?」

「デス・マジックか、現代に生きる魔女で最強と言われているな」


大会に出ている四人の魔女の中で最強⋯⋯?

名前からある程度魔法は読める、俺の想定している通りなら──強すぎる。


「帝国のデス・マジックは危険だからな、一人じゃ荷が重いとレジェンドの配慮だろう」

「どれくらい危険だ?」

「そうだな──あの魔女が本気を出せば、集中してても気づかずに死んでいるレベルだな。まぁあれの本気が見れる日はないだろう」


これじゃ俺の中でのノーターやグラウフワンの株が上がる一方だ。

──そうだ、それでいい。

当たった時に、期待外れの強さでなければいいのだ。

俺の中の株が上がるということは、その強さに期待しているということ。

どちらかと当たるのが楽しみだ──何て言っている暇はない。

俺の初戦はトーナ、まずはトーナを倒すことだけを考えなければならないのだ。


「じゃあ行ってこい、トーナ・オレンジドラゴンもお前と試合するのを待ちわびていたぞ」

「そうだったのか、分かった」


トーナの情報は一切仕入れていない。

どんな能力を持つのか、どんな戦い方なのか。

予想はある程度しているが、答え合わせは戦い始めてから。

さあ──俺の一回戦が始まる。

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