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第68話 一回戦第一試合・第二試合

今週三本目の投稿です。

本戦一回戦は32試合もあって中々長くなると思うので、ペースを上げて投稿していきたいと思います。

一回戦は全16話の予定です。

お楽しみ下さい。

「『剛剣』──赤龍双剛剣」


バーグルは巨剣を両手に一本ずつ持ち、セイを見据える。

対してセイはただ笑い、くるりと一回転した。

すると青い球体が空に浮かび上がり、破裂する。

水のような粒が空から落ちていく──と思いきや、セイの周りを回り続けていく。


「やがて水は形となる──『拡声器』」


ブライアは間違いなくマイクと呼ぶそれをセイは手に取り、バーグルへ向けた。

セイは笑ってバーグルに問いかける。


「バーグル・レッドドラゴンさん──あなたは今、どんな気分ですか?」

「どう……とは?」

「私の歌に魅了される前の気分はどうか、と聞いているのです」


そう言ってまた笑うセイとは反対に、自分が舐められていると思ったバーグルは少しイラッとしたような表情を浮かべる。

レッドドラゴン家は荒く、戦闘意欲も高い方の血統だ、バーグルも例外ではない。

試合をする前から舐めた態度を取るのは、バーグルを序盤から飛ばすように仕向けることができる。


「──『双赤龍』」


セイに急接近し、赤龍双剛剣を振り回す。

だがセイは動じることなく、能力を発動させる。


「『歌唱』──『歌ノ奇跡』」


セイが音符で包まれ、光り輝く。

するとバーグルが振り回していた赤龍双剛剣が弾かれ、バーグルが会場の端まで吹き飛ぶ。

『歌唱』は魔力とはまた違う歌唱力を使用して威力を設定できる。

魔力を歌唱力に変換することができるが、変換効率がかなり悪い為、歌唱力が激減した時にしか使用しない。

セイは元々ある歌唱力を使用して、バーグルを吹き飛ばしたのだ。

日付が変われば全回復するのだが、セイは歌唱力が高すぎる故に、一日に一回だけ自由に回復することが出来る。


「私の歌に屈しないのでしょう?強靭なあなたならば、まだまだ私に食らいつくことができる筈ですよ」


そう言いながらバーグルが立ち上がるのを待つ。

バーグルは立ち上がったが、とある状態が付与されてしまっているのだ。

それは──


「──なんだ、あまりにも……ねむ、い……?」


『歌ノ奇跡』相手に物理攻撃をすると、状態異常を付与されてしまう。

今回付与したのは催眠状態、バーグルはこれまで感じたことの無いような睡魔が襲ってくるのだ。

その様子を見ながらセイは笑い、マイクをバーグルに向け、マイクに魔力を溜める。


「『歌ノ魔砲』」


極大の魔力砲撃がバーグルを襲う。

睡魔と戦いながらも、両手の剣を振るう。

眠気を覚ます為、大声で叫び、砲撃を斬ろうとする。


「『剛斬赤双滅』──ッ!!」


銀色の魔力砲撃の正面に立ち、歯を食いしばる。

目を見開き、二つの剛剣を振りかぶる。

やがて迫ってきた魔力砲撃に立ち向かうように、勢いよく剛剣を振り下ろした。

銀色の砲撃は二つの剛剣に怯まず、バーグルを消し去るように加速していく。

赤と銀が交わり、観客も興奮を隠せず、叫び散らかす。

勝利したのは──バーグルの剛剣だった。

だが剛剣は見る影も無く破壊され、バーグル自身も傷だらけだ。

対してセイは歌唱力をほんの少し消費しただけで、ここまでバーグルを追い詰めた。

単純に、セイが強い。

バーグルが弱い訳ではない、むしろバーグルは強い方だ。

ただ、バーグルよりもセイが強い。

これだけが残酷な事実であり、結果だ。

だが、バーグルにもプライドというものがある。

例え負け試合だろうが必死に食らいつき、勝ちを掴み取る。

バーグルはそうして生きてきた。

剣が無くとも、己の拳一つで勝つ。

そう思い一歩を踏み出す。

睡魔なんかに負けない、魔力砲撃になんて負けない強靭な肉体が今、動き出した。

見ている人々を勇気づける勇猛な戦士が今、勝利を掴み取ろうと躍起になる。


「『剛拳』──『剣豪無拳』」


二つ目の能力を発動し、拳に熱血の炎を纏わせる。

剣を所持していない時、物理攻撃の威力と自身の速度が上昇するのだ。

『歌ノ奇跡』は状態異常を付与するが、過度な攻撃を受けた場合は壊れる。

最悪の置き土産を残したまま壊れるのだが、一杯食わしてやると、バーグルはセイに急接近する。

裏に回りこみ、強烈な一撃をセイに向けて放つ。


「『赤拳熱壊』──ッ!!」


『歌ノ奇跡』に触れたその瞬間力を込め、破壊をする。

確かに今、『歌ノ奇跡』は破壊された。

バーグルが続けてセイに攻撃を放とうとした瞬間──バーグルは、倒れた。

最悪の置き土産(・・・・・・・)を残して。


「私が選択する状態異常に限りは無い。一回に付与できる数にも限りは無いわ」


セイはバーグルに、一気に数種の状態異常を付与したのだ。

元々催眠の状態異常をかけられていたのに加えて、いきなりいくつもの状態異常を付与された。

麻痺、神経毒、人体不自由等……今のバーグルには一切の自由を残されていない。

つまり……自力で解除する術が無ければ、敗北だ。

だが能力作用麻痺、治癒作用麻痺、魔力使用麻痺等の治療をとことん妨害してある。

この時点でバーグルは敗北確定なのだ。


「ではその勇気に免じて──『歌ノ光線』」


一つの光線が正確に心臓を貫く。

バーグルの生命活動が途絶えた。

セイはそれを確認すると、試合場から退場した。

急いでバーグルを回収し、治療所に搬送する。

実況は搬送され、清掃されたのを確認すると、次の試合選手の入場を促す。


『続く一回戦第二試合は、シャルド・グリーンドラゴン選手VSネス・イエロードラゴン選手です!それでは、入場して下さい!』


シャルドは軽装備をして、ネスは剣を腰に差して入場をした。

入場を確認すると、実況は試合開始の合図をする。


『それでは一回戦第二試合、試合開始──ッ!』


すると、ネスが即座にシャルドに接近し、剣技を放つ。


「『黄花鋭刃』」


シャルドはそれを全て回避し、その場から飛び退く。

パワフルな赤龍家の剣術とは違い、黄龍家は速度と正確さ、美しさを表す剣の扱い方をする。

アルバートの剣術が良い例だろう。

速流剣術は独自の剣術だが、元となった剣術は黄龍剣術なのだ。

一撃は軽いが、それ故に連撃を放つことが可能となる。


「ふむ……面白い、なら俺の拳と勝負だ」


緑龍家の拳技はバランス重視であり、破壊力も、速度もそこそこある。

黄龍剣術程の速度も無いし、赤龍剣術程の一撃の破壊力も無い。

だが両方を均等に分けることで、緑龍武闘は安定するのだ。

破壊力に偏ったり、速度に偏ったり、またはその両方を兼ね備えた一部例外はいるのにはいる。

緑龍家の血筋は異常とはいえ、中々産まれない。

その異常がこの世代に三人もいるのだが、それはまた別の話だ……。


「『緑拳爆閃』」

「『速流剣術・速縛』」


シャルドは攻撃を当てようとするが、ことごとくネスに回避される。

それ加えて斬撃も食らっており、ネスを超える速度でないと突破できない。

ふぅ、と短い息を吐き、右拳を天に掲げる。


「『爆拳・緑龍の鱗』」


『緑龍』の能力を行使し、拳から一発一発が地面を簡単に抉る程の威力の鱗が放たれる。

数は千を軽く超えているが、正確な数は不明だ。

数を撃てば当たるという戦法を活かし、ネスに被害を与える為にわざと不規則に鱗を放っていく。

全弾ネスを狙ったとしても、全て回避されるだけだ。

それなら不規則に放ち、逃げ道を塞いだり、その場から退却するようにした方がいい。

そしてネスがこの鱗を斬ろうとしても、斬った瞬間に爆発してしまう。

ネスもそれを理解し、会費に専念する他ない。


「厄介ね……でも彼はあの場所から動かない、これが終わるまで持ち堪えればいい──ッ!?」

「俺が動かないなんて、何故決めつける?」

「この技は発動場所から動いたら失敗する筈……どうして!?」

「俺だって特訓している、地獄だったがな」


事前にある程度緑龍家の武術についての情報は頭に入れてあるのだが、情報と別の行動をされてネスの計算が狂った。

優位に立っていた筈のネスは余裕を無くすが、回避をしながら徐々にダメージを与えていけばいいだけのこと。

速度では圧倒できる相手だと思い、右拳を切り落とそうとする。

だがシャルドはその速度に反応してみせた。

鱗が放たれている右拳をスッと引き、代わりに左拳をネスの頬に叩き込む。

物凄い威力のパンチを食らったが、問題はそこではない。

確かにこの瞬間、ネスの動きは止まった。

動きが止まったなら──鱗の格好の餌だ。


「アァァァァァァァ──ッッ!!」


爆発する鱗がモロに直撃し、会場の端の壁に激突する。

激突した後もなりふり構わず鱗を放ち続けるシャルドにイラッとしながらも、何とか回避をする──筈だった。

明らかに速度が落ちている。

先程の激突で足が折れたのだろう。

シャルドはチャンスを逃す相手ではない、今の攻撃を見ても分かる通りだ。

今も痛む足を庇いながら、壁を伝って移動していく。

持ち前の速度を活かす戦いができなくなり、威力もそれ程ない技しかない黄龍剣術にシャルドは負けることは無い。

この状態のネスに負けたら緑龍家の大恥晒しだ。

シャルドがそのようなミスをする男ではないのだが。


「くっ……貸して、黄龍──『黄龍加速脚』」


黄龍の持っている加速魔法を拝借し、試合場の周りを回りだす。

これはファルドでも想定外であり、状況の変化に対応しようと観察する。

ネスは痛みに耐えながら、隙を見つけ──急接近する。

後ろを振り向いた頃にはもうネスは剣を振っていた。

目を見開くファルドに、ネスは自身の奥の手を使用する。


「『加速黄閃・鋭確突撃』」


首や胸を狙った斬撃は──ファルドの爆発する鱗に阻まれた。

爆発する鱗を斬ったらどうなるか?

──近距離で鱗が爆発し、二人とも吹き飛んだ。

両者壁に激突し、パラパラと小さな石が落ちる。

シャルドは一回目の激突だから体中の至る所の骨折で済んだが、ネスはそうもいかない。

一回目で両足を骨折し、上半身のいくつかの骨も折れている。

二回目は更に酷くなり、戦闘の継続は不可能だ。

震える口を何とか開き、痛みを堪えながら言う。


「…………敗北、だ……」


降参宣言だ。

この降参宣言を受け入れ、実況は試合終了の合図をする。


『決着!一回戦第二試合勝者、シャルド・グリーンドラゴン選手!』


ネスは意識を失い、治療所に運ばれる。

シャルドは救急隊に肩を貸してもらいながら、退場をする。

壁の損壊を修復したのを確認し、実況は続く第三試合の選手の入場を促す。


『一回戦第三試合、ゼナ・ブルードラゴン選手VSゲシュナ・ブレルストッド選手です!それでは、入場して下さい!』

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