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第5話 スティア国立貴族学校

いやぁ、ついに俺も入学か。

これで何回目だ?

俺の記憶が正しければ、四回。

そして、これを合わせて五回目。

この話を出された時は本当にびっくりしたもんだ。


──誕生日の次の日まで時は遡り

「学校、ですか」

「ああ、そうだ。スティア国立貴族学校という所で十年間学ぶんだ」


十年間も学ぶとか面倒臭いな。

いや、まあ幼稚園から高校まででも十年とか余裕で過ぎていたな。

ただ全てが一括されているだけって話なのか。

幼稚園は入っているとも思えないがな。

今の俺は十歳。

なら、実際は小学五年生から大学三回生まで学ぶみたいなもんか。

……いや、それにしても長くね?

留年がないとは限らないし、実際はもっとあるかも……

いや、俺に限ってそれは有り得ない。

有り得ないと信じておこう。

ま、そんなことは後から考えればいいしどうでもいいか。


「通常なら学校に行くんだが、お前の場合能力が能力だからな、免除って手もある。どうする?」


あー、学校に行くか行かないかの選択か?

そんなもの一択に決まってるだろ!


「行きたいです!退屈なので!」


と、ここで宣言して俺は学校に通うことになった。


──現在に戻る

「おお、ここが学校ですか」

「ああ、スティア国立貴族学校という名でな、まあ貴族しかいないからな。それだけ覚えておいたらいい」


へー、何か格式とかあるのか?

面倒だな、前ボコった奴らもいるのか?

んなら、手足として使うか。

そんなことしたらまた喧嘩売られるんだけどな。


「父さんはこっちに行くから、ブライアは生徒案内の方に従って行ってくれ。じゃあな」

「ええ、また後で」


えっと、これに従えばいいのか。

中庭通って……真っ直ぐ……校舎は通らない?

あっ、道間違えた。

中庭右行けばよかったのか。

親父に見てられなくてよかった。

あ、人がいる。

赤髪……え?レッドドラゴン家?

今年入学の子か?

なら、話しかけてみるか。


「あの、レッドドラゴン家の方ですか?」

「ん?ああ、そうだが。君は……グリーンドラゴン家か!名前は?」

「ブライアです。あなたは?」

「俺はシュヴァルツだ!宜しくな!」


元気だこと。

元気なのはいいことなんだけどな。


「そうだ!一緒に入学式会場まで行かないか?」

「そうですね、では行きましょうか」

「おい、なんか堅苦しいぞ。普通に喋ってくれないか?」


あー、癖が出てるな。

あんな家庭で育ったんだからそりゃ堅苦しい言葉遣いになるわな。

貴族ってのも堅苦しい言葉使わないといけないから大変だな。

まー俺もその一人なんだけどな。


「そうだな、次からそうするよ」

「よし、それでいい!」


お前は何様なんだって話なんだけどな。


──入学式会場にて

「で、あるからにして、貴族という格式を持って──」


はい、お決まりお決まり。

どこの世界にもあるんだなこれは。

『校長の話長すぎ問題』だ!

いや、シュヴァルツ寝ちゃってるな。


「ハッ!お、おい今何分たった?」

「三十分超えたあたりから数えるのをやめた。」

「学長話長すぎじゃね?」


いや、流石に長すぎるよ。

今まででも最高で二十分程度だったもん。

なんであんなに長く喋ることが出来るんだろうな。

原稿用紙にでも書いているのか?


「──では、これで終わります」


あ、やっと終わった。

何の話してるかさっぱりだったわ。

ま、それはそれとして……

次はまあ定番だから予想出来るけど……


「続いて、生徒会長ネル様、お願いします」


はい予想的中。

生徒会長も話長いんだよな。

校長の話程でもないんだけどな。

案外その苦しみ知ってるから短く済ませてくれるんだよな、生徒会長の話って。


「生徒会長ネル・イエロードラゴンです」


へー、イエロードラゴンの人なのか。

綺麗な人だけど、なんか強そうな雰囲気あるな。

戦ってみたいけど……負けそうだしやめとくか。

わざわざ負けると分かっている勝負はしたくないんでね。

逆にするやつがいるかって話なんだが。

敗北も経験って言うが、ボコボコにされた経験なんていらないんだよな。

それは経験じゃなくてトラウマなんだよな、ハッキリ言えば。

ま、そんなことはどうでもいいんだ。

要は、この人の話が長いか短いかどうかだ!


「……手短に済ませましょう」


よっしゃあ!

長かったら俺も寝てるところだったぞ。

んじゃ、これくらいは真面目に聞こうかな。


──数十分後

「では、これで終わります」


よかった、本当に短かった。

あの学長と比べたら全然楽だな。

あ、でも入学式だから張り切ったって可能性もあるのか。

なら本来はめちゃくちゃ短いとか?

それでもあれは張り切りすぎだけどな。

ハッキリ言って俺も寝たかった。

寝たら親父に殺されそうだからやんないけど。


「では、これにて入学式を終わります。一年生、退場」


えっと、退場の仕方知らないんだけど。

あ、あれに着いて行けばいいのか。

よし、行くぞ。


──校舎、一年生教室前にて

「では、ここでクラス発表がある。この貼り紙を見ておけ。今回はレインボードラゴンが七人いるから、七クラスになった。各自、見ておくように」


へー、レインボードラゴンが七人もいるのか。

全家庭に一人ずつって感じか?

でも、この感じだと皆分けられてそうだな。

衝突を防ぐためか?

その可能性は全然あるけどな。

んじゃ、俺のクラスはっと……


「えっと、四組か、俺は」

「おいブライア、何組だった?俺は一組だ!」


ああ、よくあるよくある。

仲良い友達が何組か聞いてくるやつね。


「俺は四組だな。ま、別々なのは分かりきっていたけど」

「そうか、別々か。ま、お互い楽しもうな!」

「ああ、そりゃそうだ」


んじゃ、教室に向かうとするか。

えっと、ここね。

んじゃ、お邪魔します。

おっと、誰もいないな。

あ、黒板に座席表書いてあるな。

出席番号とか無さそうだけどどうやって決めたんだろうか……

くじ引きだったら悪い席の場合キレるけど。

えっと……1番後ろの左隅?

よし、最高のポジションだ。

あそこは寝てもバレないし窓操作できるし最高のポジションだぞ。

しかもドアが右側だから入ってきた人に目つけられることもないのだ!

はい完璧だな、この一年大勝利。

おっと、それはまだ早いな。

あのボコった下級貴族がこのクラスに来るかどうかなんだが……

誰か入ってきたな。

でも全然違う人らだな、無視無視。

さて、じゃあ俺は席に着くか。

いやぁ、この席はいいなぁ。


──教室の席が全て埋まったころ

お、もう全員集まったのか。

えっと……あ、何人かいるな。

寝てたからこっち向いたかどうかは知らないけど……ん?あれって首謀者的な奴じゃないか?

うわ、面倒な奴がこのクラスにいるな。

絡まれなかったらいいんだけどな。


「はーい、お前ら前向け。初めのホームルーム、始めるぞ。とりあえず自己紹介だな。俺はエナレス・クラットロウ。上級貴族の家系の者だ。んじゃ、前から順に自己紹介してくれ」


なんか適当だな。

気だるそうっていうか、なんというか。

まあちゃんとした教師ならそれでいいんだけどな。


「はい!エアス・トロイヤスです!よろしく!」


あ、何かパーティーのときにそんな苗字のやついたな。

その息子か?

まあ後で話しかけにでも行くか。


──自分の番になったな。

まあ、お手軽に自己紹介でもするか。


「ブライア・グリーンドラゴンです。これからよろしく」


よし、まあまあじゃないか。

ん?あの番長がこっち見てるな。

なんか睨まれてるし……あれは君が悪いんだよ?

まあ、そっと視線を外すのが一番だな。

すっごい視線を感じるが……無視無視。

あんなのを相手にすると余計面倒なことが増えるだけだ。


「よし、全員自己紹介終わったな。もうこれで終わりだ。各自机の中に入っている紙を見て寮の場所を確認だ。まあ、今日はずっとそこにいてもいいぞ。んじゃ、解散」


あ、もう終わりなのか。

意外と早かったな。

……さて、逃げるか。

あいつの視線がすごいし早く逃げなきゃ。


──寮の前にて

おっ、ここか。

早速入ってみるか。

おおー、結構中って広いのか。

あれか、貴族階級で優遇されてんのか?

そんなことはないと思うがな。

さて、俺好みに部屋創り変えたいんだけど……

まあ、やってみるか。


──約一時間半後

結構完成に近づくことが出来たな。

ベッド、机、本棚、トレーニングマシン。

色んなの創ったけど……これ、中々いいな。

こんな『創成』の使い方があったなんてな。

さて、かと言っても暇だな。

何か誘われたりしたらいいんだが……

都合よくそんなことにはならないよな。

ニート当然の生活だが、今は暇だ。

……腹減ったな。

よし、食堂に行こう。


──食堂にて

「おお、ブライア!お前も来たのか!」

「ああ、シュヴァルツ」


おっと、先客がいたのか。

なら、俺は後にして今はお暇しようかな。


「また後で来るよ、シュヴァルツもその方がいいだろ」

「いや、全員レインボードラゴンだから大丈夫だろ」


ん?

あー、全員髪の色がレインボードラゴンの特徴と一致してるな。

なら、俺もグリーンドラゴン家として参加するべきだよな。


「いや、俺もやっぱり参加するよ。これで一年生のレインボードラゴンが全員揃ったのか」

「ああ!んじゃ、自己紹介でもするか!」

「ああ、俺はブライア・グリーンドラゴン。よろしく」

「俺はもういいよな!次はイエロードラゴン!」


あっ、もうシュヴァルツは挨拶してるのか。

てかあいつ勝手に指名したな。

でもどうせ全員やるんだったらいっか。


「ノラス・イエロードラゴン。女性だから丁重に扱うことね。よろしく」


上から目線すごいな。

まあそういう家庭で育って……え?イエロードラゴン?

あの生徒会長と同じ家庭なのか?

失礼だけど全くネルさんと似てないな。


「次は僕がしましょう。ガル・ブルードラゴンです。よろしく」


清楚系男子って感じが半端ないな。

これは女性人気も高そうだな。


「あたしはトーナ・オレンジドラゴン!よろしく!」


なるほど、元気っ子系女子か。

男いじりすごいしてそうだな……

偏見だけどな。


「僕の番ですね、サイシュ・インジゴドラゴンです。よろしく」


こっちも清楚系男子だな。

でもさっきとは違う雰囲気だな。

男性人気の方が高そうだな。

さて、次で最後だな。


「アルプ・パープルドラゴン!よろしく!」


こちらも女子か。

なるほど、そういう感じの女子が多いのか。

まあ知ってるだけでも2人なんだが。

他は清楚系と信じておこう。


「よし、これで終わったな!腹が減っては戦ができぬ!飯食うぞ!」

「え?今から戦うのか?」

「ああ、そりゃそうだ!」


血気盛んなことだな。

ってか、は?

なんでいきなり戦うんだよ。


「おい、なんでいきなり戦うんだよ」

「気分!」

「はぁ、もうこいつ終わってるわね」

「でもあたし戦うの好きだからいいよ!」

「まさかの肯定意見が出るとは……」


でも全員笑顔なんだよな。

そんなに戦いたかったのか?

まあ自分の力を試してみたいのも分かるけどさ。

それで言ったら俺もそうなんだけどさ。


「んじゃ、腹いっぱい食うぞー!」

「「「「「おおー!」」」」」


なるほど、俺以外は戦いたかったのね。

これは俺も折れるしかないな。


「お、おー?」


──室内戦闘場にて

「よし、誰からやる!?」


さっさと終わらせたいし、俺からいくか。


「僕がいきますよ。相手は?」

「なら、俺がいきたい!主催者としてな!」


お前単純に戦いたいだけだろが。

まあ相手が決まらないよりかはいいか。


「んじゃ、審判はあたしがやるからね、位置についてよ」


さて、ならお試しでいくか。

紅蓮変形武器テル・ラ・グーニャを出してと。

なんだこれ、球体じゃん。


《何か形を思い浮かべてそれに変えるんだ》


うおびっくりした!いきなり出てくるなよ!


《まあ、やってみろ》


「おっ、できたできた」

「さあ、俺も用意してと……」

「では……始め!」


早速来るか?

よし、迎撃だな。


「赤龍剣術『赤薔薇』」

「紅蓮剣術『紅蓮乱』」


っ!いってえ!

精神世界じゃないんだったここ!

できるだけ攻撃食らわないようにしないと。

よし、緑龍剣術にシフトチェンジだ!


「赤龍剣術『天涼赤散』」

「緑龍剣術『緑衝鉄激』」


相殺出来たな。


──剣閃が響いて、建物全体に反響する。


よし、一旦距離とるか。


「いい太刀筋だ!でも、武術使わないのか?」

「ああ……そうだな、そうするか」


あんまり武術得意じゃないんだよな。

いや、剣と魔法が使いたかったってだけなんだけど。

武術なんて前世で結構やってきたからな。

まあ、いい機会だと思ってやるか。


《それなら特異体質と使ってみたらどうだ?》


あー、それはズルくないか?


《いや、特訓だと思って使え》


えー、ならいいか。

何使うかな……よし、『反転眼』使ってみるか。

『反転眼・重力反転・対象自分』

うお、なんか上に引っ張られていく!

これって操作出来ないのか!?

あっ、出来たな。

行ったことないけど宇宙みたいに無重力だな。


「え!?う、浮いた!」


皆驚いてるな。

さて、こっから魔法で……


「緑龍魔法『緑覇爆裂(グリーンノヴァ)』」

「それずるくね!?俺も能力使うしかないのか!」


シュヴァルツの能力ってなんだろうか。

警戒するに越したことはないんだが……


「能力『剣聖』──『剣撃裂聖刃』」


──ゴブッ!

うお、落ちる落ちる落ちる!

出来るか分かんないけど!

『無効眼・物理攻撃無効』!

いっ……たくない!

これも物理攻撃にカウントされるのか。

てかあの威力なんだよ!

なんだっけ、『剣聖』か?

強そうな能力だな。

実際食らって強かったしな。

距離取っても浮いても近づいてもやばそうだな。

なら、剣もっかい使うか。

変形、『紅蓮巨剣』

うお、重たいな。

よし、これも特異体質で解決させるか。

『増減眼・筋肉増強、速度増強』


「よし、これで……うぉらぁ!」

「は?ちょっ、早──ゴフッ!あ、アブッ……剣は投擲道具じゃないぞ……」


めちゃくちゃ垂直に飛んでいったな。

心臓には刺さらなかったからよかった。

じゃ、審判に判定してもらうか。


「審判、判定を」

「そうね……勝者、ブライア!」


ふぅ、まあ良かった。

アレで死んでたら能力使わざるを得なかったな。

能力で復活出来るかは分からないけど。

よし、とりあえず治療だな。


「シュヴァルツ、大丈夫か?属性魔法『超速治癒(スピードヒーリング)』」

「お前、治癒魔法も使えるのか。まあこれは完敗だな……いてて」

「動くな動くな。あ、もう夕暮れか。よし、寮に帰ろう。ほら、俺が運んでやるから」

「ああ、助かる」


うおっと、あれ?あんまり重たくないな。

あ、『増減眼』開きっぱなしか。

もういいか、こっちの方が楽だし。


──こうしてブライアはシュヴァルツに勝利し、三ヶ月が過ぎた。


その時に、事件は起きたのだ。

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