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第36話 巨大な魔物の迷宮

目の前にはまた大きな扉だ。

さっきみたいな感じだと、ボス戦一つのみが階層ごとに用意されていることになる。

疲弊も大きいだろう。

少し休み休みでこの迷宮を攻略しないと。

一つ目は海だったけど、二つ目は一体何の部屋になるんだろうか。


「そろそろ行くぞ」

「分かった、準備は出来ている」


大きい扉を開けると、そこには砂漠が広がっていた。

迷都のような砂漠では無い、辺り一面が見える限り建物も何も無い。

地平線が広がっているだけだ。

砂嵐は起きていないが、微弱な風が吹いている。

さて、一体何が出てくるんだろうか……


「ほう、中々大物だな」

「見えているのか?俺には何も──」


続けようとした瞬間、目の前の砂が勢いよく飛び上がった。

出てきたのは、大きなミミズだった。

なんなんだ、コイツ!


「サンドホールだ、大きな口に飲まれたら酸で溶かされるぞ」

「そんな解説してる暇があれば、手伝えよ!」


俺は前でサンドホールを押さえつけようとしているのに、レジェンドは後ろで余裕をかましている。

あまつさえ俺の姿を笑う始末だ。

本当に覚えとけよ……


「あそうだ、サンドホールの口からは毒ガスが出てきたりするぞ」

「それを早く言え!」


一瞬でサンドホールから飛び退いた。

サンドホールに目は無いが、物凄い物体感知能力が個体ごとに違うらしい。

当然、こいつは強いから物体感知能力が高い。

通常のサンドホールなら止まっていれば安心のようだが、こいつは絶対に違う。

止まっていても攻撃をしてくるだろう。


「さて……先に進むぞ。こいつに足止めされている時間は無い」


槍を振るい、突進する。

サンドホールが何かを吐き出したが、それを避け、サンドホールの首を槍が掠めた。

サンドホールが大きな雄叫びを上げ、上空に紫色の物体を打ち出す。

紫色の物体が爆散し、辺り一面に飛び散る。

とんでもない異臭が漂う。

それも避けながらサンドホールに傷をつけていくレジェンド。

俺も魔法で援護をする。


「『乱・太陽』」


太陽の熱量と同等になる光線を乱射する。

サンドホールに数発当たった。

レジェンドと俺の攻撃を同時には避けきれないようだ。

更に続ける。


「『閃・太陽』」


サンドホール目掛けて閃光を放つ。

だが、サンドホールが地面に潜った。

サンドホールの行方が分からなくなる前に、魔法を放つ。


「『属性魔法・地電放出』」


強制的に地面に電気を通させる。

地面の中からサンドホールの絶叫が聞こえた。

かなり強力な電気を流しているが、これで倒れるなんてことは無いだろう。

と思っていると、サンドホールが勢いよく飛び出てきた。

黒焦げになっている体でどうやって動いているか不思議なくらい俊敏だ。


「さて、そろそろ終わらせようか」


隣から声がした。

次の瞬間、サンドホールが真っ二つになっていた。

レジェンドが槍で切り裂いたのだろう。

槍の先はサンドホールの血で濡れていた。

槍をブンブンと振り回すと、血が地面に飛び散った。

血が取れたのを確認すると、奥に見えた階段に向けて歩いていく。

俺もレジェンドの後ろに着いていく。


「さて、次は何がくるのやら……」

「クラーケン、サンドホール……規則性はあまり無さそうか?」

「いや、その二つどちらも通常個体より遥かに強く、大きかった」


俺はあれと戦うのは初めてだったから分からなかったが、そうだったのか。

強いのは分かっていたけど、あれが通常の大きさでは無いのか。

あれを見たら通常の魔物が弱く見えそうだな。


「さて、今回はすぐに扉があった。休憩はいるか?」

「必要無い、行こう」


扉を開けた先に広がっていたのは、山に囲まれていた。

どこを見ても山岳が続いている。

俺達が立っている部分は少しデコボコしている。

だが足場が悪い訳でも無い。

足元の草も短いため、足が絡まることは無さそうだ。

すると、奥から鳴き声が聞こえてきた。

見える中で一番高い山岳から、何かが飛来してくる。

この鳴き声、もしかして──


「グリフォンだ!」


魔物の中でも強力で、高位とされる。

鋭い爪と牙が武器だが、魔法を放つ個体もたまにはいると聞いたことがある。

そして空を飛び、人間を見下ろす。

俺達は空まで届いても、空は飛べない。

継続して攻撃を放つには、魔法を使うしかない。

だが空中にいれば、グリフォンは無敵とも言われる程に空を飛ぶことに優れている。

魔法を避けるなんて造作も無い。


「そろそろ強い魔物がくる頃かと思ったが……一気に強くなりすぎだな」


レジェンドが俺の後ろで呟いた。

でも分かる、こいつは楽しんでいる。

強い相手程燃えるタイプなのだろう。

かと言ってレジェンドも空を飛べる訳でも……いや、分からない。

こいつの場合は出鱈目な力が多すぎる。

空を飛んでもおかしくはない。


「恩恵『飛行の恩恵』」


だと思った。

やっぱり飛べますよね。

って俺もそういえば飛べるじゃん。


「『反転・自由眼・飛行自由化』」


空を飛ぶってやっぱり不思議な感覚だ。

俺達には普段からしない行動だからか、感覚が掴みにくい。

それより気になったのは神魔眼だ。

二つの眼が一つになっているのか。

なら自由眼を使っていれば反転眼も使えるのか。

凄いぞ、使い勝手が更に良くなった。

かなりの強化だ、俺としては嬉しい。


「両方空を飛べたんだ、いくぞ」

「ああ!」


グリフォンに向けて突進する。

俺達が飛べると思っていなかったのか、かなり驚いている。

その隙をつき、レジェンドが首に浅い傷をつける。

グリフォンは間一髪で回避した。

すると、グリフォンは敵対心を露わにした。

魔法陣がグリフォンの周りから出現し、それぞれ魔法が放たれる。

威力も高い、食らえば重症は免れないだろう。

しかも撃ち落とされることも考えれば、死に至る可能性だって十分にある。

早急に決着を着けないと。


「『金閃双撃』」


レジェンドの槍が金色に光る。

グリフォンを目掛けて槍が振るわれる。

一本の槍だが、先端と後端両方に刃が付いているため、二つの槍で攻撃している様に見える。

グリフォンの体の所々に傷をつけた。

だが、レジェンドは止まらない。


「『黒金双覇』」


槍がもう一つ現れる。

すると、片方は黒く染まり、片方は金に輝いた。

次の瞬間、レジェンドが俺に見えない速さでグリフォンにダメージを与えていった。

グリフォンは爪や牙、魔法で応戦するが何一つ当たらない。

ついに翼が損傷し、グリフォンが墜落する。

直前まで足掻き、魔法をレジェンドに向かって放つ。

だがレジェンドは余裕を持って回避をする。

ついに地面と激突し、血溜まりを作った。

レジェンドがそこに降りて確認する。

俺も降りようと思い、ゆっくりと着地する。

さっきのグリフォンみたいにならないようにだ。

レジェンドがこちらに向かって走ってきた。

前を見ると、階段が出現していた。

よし、と思い階段を下る。

後ろにレジェンドが着いていた。


「やはり、大きすぎる。ここの魔物の体は大きい」

「さっきのグリフォンもか?」

「ああ、さっき確認したんだが通常個体より遥かに大きい。やはりここは巨大な魔物だけが出現するようだ」

「次は何がくると思う?」

「そうだな……俺の予想だとドラゴンだろうか」

「お、気が合うな。俺もドラゴンだ」


そんな会話をしていると、また扉が現れた。

慣れた手つきで扉を開けると、そこは不思議な空間だった。

まず真正面は平原。

右を見ると、大きな火山がいくつか並んでいた。

左は滝で、近くにあるいくつかの川に流れていた。

平原の奥は森林だ。

ジャングルのような密林と言った方が正しいだろうか。

どうもドラゴンが出る雰囲気ではない。

一体何がくるんだ?


「まさかとは思うが──」


レジェンドが後ろを振り向いた。

俺も後ろを向くと、扉が消え、別のものが佇んでいた。

それは──


「ここまで来て、スライム!?」


赤、青、緑、黄、水、茶の六種の色が何体もいた。

ここまで来て巨大スライムとは予想出来ない。

数も多い、全部仕留めるにはかなり時間がかかる。

スライムは色によって属性が変化し、魔法を放つ。

使う魔法は今まで観測されてもせいぜい中級程度だ。

だが、ここまできて中級程度の魔法を放つ訳がない。

上級魔法は簡単に撃ってくるだろう。


「どうする、レジェンド?」

「そうだな……右半分は任せたぞ」

「分かった、じゃあ全部仕留めにいくぞ」

「当たり前だ」


レジェンドは槍を、俺は時空刀を構えた。

スライム自体は弱い。

だが、複数でいれば別の話だ。

たとえ小さなスライムでも、群れていれば駆除するのに数時間は優に超える。

厄介なのだ。

弾力のある体で、物理攻撃は通りにくい。

俺もこの国に来て戦ったが、かなり力を入れた。

それに、あれは小さなスライムだからだ。

大きくなれば、物理攻撃なんてほとんど通らない。

大きなスライム一体を相手にするよりも、ゴブリン十体の方がマシだ。

一体レジェンドはどうやってスライムと戦うのか……


「よし、始めるぞ──『金閃光双』」


物凄い速度でスライムの中に突撃していった。

一本の槍であの量と渡り合えているのは凄い。

俺も負けていられないな。


「『時覇空閃』」


範囲を指定してレジェンドを巻き込まないようにする。

久々の感覚だ、と思っているとスライム達が白い光に襲われた。

困惑している隙を逃さず、さらに攻撃を重ねる。


「『時天の閃撃』」


鞘でスライム達に攻撃する。

打撃によるダメージは少ないが、ここは時間と空間と世界。

打撃が本命ではない。


「お前らはもう動けないぞ」


時間と空間の概念が曖昧なこの場所で、時間を完全に止めた。

あとは空間だけだ。


「『空天の滅閃』」


刀でスライム達の空間を固定。

これでサンドバッグになったようなものだ。

だが、嬲るようなことはしない。

流石の俺でもそんな酷いことはしない。

早く終わらせないと、レジェンドが待っているかもしれない。


「終わらせるぞ──『時空消滅』」


この空間を、動けないスライム達を巻き添えにして消滅させる。

この空間が消え去り、さっきいた空間に戻る。

そこにはもうスライムはいなかった。

レジェンドが俺の帰りを待っていただけだった。


「これで四階層目だな」

「ああ、まだ続くも思うか?」

「いや、五階層で最後だろう。即席でこのクオリティでそう何階層も作れるはずがない」

「それで、この迷宮にまだいるのか?」

「ああ、俺の恩恵はまだ反応している。逃げも隠れもしないようだな」


あとはあの迷彩ローブだけか、それとも更に強い魔物がいるかだな。

よし、先に進もう。


「さて、そろそろ行くか。もう準備は出来たか?」

「もちろんだ」


次で終わりか、まだあるか。

これも事件判定されているだろう。

現時点ではまだ何も言われていないが、これが終わればあと三つだ。

よし、早く解決しよう。


「それじゃあ、行こう」

「ああ」


次は何が相手になるのか、少し楽しみだ。

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