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第29話 駆け出し冒険者

転移した先は、レジェンダ帝国の大門の前だった。

夜中の三時半で、空はまだ暗かった。

だが、大門の明かりがあったから周りは見える。

とりあえず入国だな。

大門に向かっていくと、衛兵がいた。

だが衛兵にスルーされて、簡単に入国出来た。

いや、不審な人って思われなかっただけか。

とりあえず冒険者協会に登録しないとな。

多分目立つ建物だとは思うんだけど……あ、あった。

すぐそこにあるのか。

国の中心とかにあるものだと思ってた。

まあいくつかあるのかもしれないし、俺が気にする事では無いな。

まずは中に入って登録だな。


「すみません、冒険者の登録したいんですけど」

「はい、登録ですね、こちらに署名をどうぞ」


えっと、名前は本名でいいのか?

いや、名前だけにしておこう。

家名を書いたら面倒な事になりそうだし。


「はい、これで」

「ブライア様ですね、では発行してきますので、少々お待ち下さい」


明かりは付いてるけど、静かだな。

俺も後で宿だけは取っておこう。

拠点として使うにはもってこいだし。


「発行出来ました。協会の二階にどなたでも使える宿屋がありますので、どうぞご使用下さい」

「あ、ありがとうございます」


とりあえず簡単そうな依頼だけ受けるか。

えっと、ランク(いち)のオススメ依頼だな。

出来れば討伐系が楽だけど……あ、楽そうなのがあるな。

えと、スライム討伐だな。

この依頼受けとくか。


「すみません、この依頼を受けたいんですけど」

「かしこまりました、場所はこちらになります」


どこだよ、ここ。

とりあえず外に出て転移魔法使うか。


転移出来たか?

周りは……草原か。

スライムはどこにいるんだ?


「スライムスライム……あ、いた」


スライムの群れが俺の方を見た。

赤のスライムが、俺の方に突進してくる。

その体型に見合わない様な速さだが、難なく避ける。

適当に殴ると、少しだけ吹っ飛んだ。

俺の手を見ると、少し火傷していた。

赤のスライムは、炎の属性を持つ事を忘れていた。

俺の隙をついて青いスライムが突進した。

ぶつかる寸前に、青のスライムを蹴り飛ばした。

青のスライムは空中で爆散した。

それを見てから、赤のスライムを持って、地に叩きつけた。

赤のスライムも爆散し、何とか討伐完了した。


「ふぅ、赤のスライムには気をつけないとな……」


火傷を治して、転移魔法で協会に戻る。



「依頼を終わらせてきました」

「お疲れ様です、カードを確認しますね」


確か恩恵があるんだっけか。

安心安全だって言ってたな。

てか、これって階級を上げるにはいくつ依頼を受けたらいいんだ?

まあ適当に依頼受けていたらいつの間にか上がるか。


「確認出来ました、お返ししますね」

「依頼は達成ですか?」

「はい、達成出来ています。ですが階級が上がるにはまだ程遠いですね」

「分かりました、ありがとうございます」


よし、寝るか。

二階に空き部屋はあるかな?

お、三つくらい空いてるな。

まあ適当な場所に入っていたらいいだろ。

現在は四時十分くらいか。

八時に起きたら大丈夫だな。



──翌日

よし、しっかり八時だな。

って、外がうるさいな。

何かやっているのか?


「テメェ、何調子こいてんだよ」

「んだよコラァ、やんのか?」


喧嘩だった。

両方とも人間だが、めちゃくちゃマッチョだ。

野次馬がやれやれ!みたいなので溢れていた。

やがて椅子と机が片付けられ、観客がそこを退いた。

二人はその中心にいて、戦う様子だった。


「オラァ!」

「あめェぞ!」


殴り合いだ。

野生のゴリラしかいないのか、と思いながら下に降りた。

依頼の掲示板を見て、どの依頼を受けようか迷っていると──


「オラァ、どんなもんだ!」


勝敗が決したようだ。

後ろを振り向くと、喧嘩をふっかけられた方が勝っていた。

周りの拍手が盛大に響く。

うるさいな、と思いながら依頼を協会の人に見せる。

どうぞ、と言われて場所も教えてもらった。

ちなみに、ゴブリンの討伐だ。

行こうとするも、人だかりが出来て通れない。

退いて下さい、と言っても聞く耳無しだ。

やがて、近くの人が声をかけてきた。


「ここを通りたけりゃ、アイツを倒すんだな、坊主」


と、真ん中のマッチョの人を指さした。

その様子に気がついたのか、マッチョがこっちに向かってくる。


「なんだおめェ」

「通してくれませんか?」


一瞬静かになり、笑いが発生した。

何がおかしいんだ、と思いながらもマッチョの人を見つめる。


「いいさ、だが俺と戦え。それなら通してやるよ」

「分かりました」


俺とマッチョの人が、真ん中に立つ。

いかにも強そうな人だ、戦いたくない。

さっきの戦いを見ていれば良かったと、後悔する。


「ほら、殴ってみろよ」


挑発された。

相当舐められている様だ。

流石の俺も、少し頭に血が上った。


「いいですよ、ですが後悔しないで下さいね」


マッチョに近づき、右手に力を込める。

腹に向けて、力いっぱい殴った。

だが、その拳もマッチョを少し動かしただけ。

何だコイツ、と思っていると──


「こっちの番だな……オラァ!」


顎にアッパーを入れられそうになった。

仰け反って回避して、少し距離を取る。

まさか、俺の拳がここまで効かないなんて初めてだ。

やはり、この国はゴリラしかいないのだろうか。


「ほらほら、ここを通りたいんだろ?さっさとかかって来いよ」


その一言で、俺は少しキレた。

自分で怒りっぽいのも自覚しているが、まさかここまでとは思っていなかった。

俺は容赦無く、属性を使った。


「『属性拳技・氷聖』」


腹を思いっきり殴った後、マッチョが全身凍りついた。

周りの観客は唖然としながら、俺を見た。

炎魔法で氷を溶かし、俺は転移魔法を使ってそこを去った。



「ふぅ、やっぱりこの性格を直すべきだよな」


依頼場所に転移した後、そう呟いた。

周りにはゴブリンが多数。

そんな事を気にせずに俺は呑気に歩こうとした。


「シャアッ!」


ゴブリンの棍棒が俺の頭を狙った。

そのゴブリンを後ろ回し蹴りで吹き飛ばす。

それを見た周りのゴブリンが一斉に棍棒を振り回して俺に向かってきた。

こうなれば、魔法を使うしかない。


「『属性魔法・氷撃』」


周りのゴブリンが凍りついた。

そのゴブリン達を拳で砕く。

やがてゴブリンは消滅した。


「後はアイツだけか」


さっき後ろ回し蹴りを放ったゴブリンがまだ生きていた。

だが、そのゴブリンは震えていた。

俺が仲間を砕いている様を見ていたのであろう。


「『属性魔法・光線』」


一条の光が、ゴブリンの頭を貫く。

やがてそのゴブリンも消滅し、何かを落とした。


「布……?」


俗に言う、ドロップアイテムだろう。

それを持って、協会へ転移した。



協会は、まだ騒がしかった。

俺が通ろうとすると、全員が道を開けた。

そんな事をする必要ないのに、と慌てていると、さっきのマッチョが俺の方に駆け寄ってきた。


「さっきは、すみませんでした!!」

「え、あ、えっと、こっちこそごめんなさい」


何と、土下座をしたのだ。

俺も容赦無かった訳だし、お互い様だ。

何とか事を終わるせて、協会の人にカードとドロップアイテムを見せる。


「成程、ゴブリンの腰布ですね。換金すると、30通貨になります。どうしましょう?」

「あ、換金して下さい」


カードも返してもらって、お金も貰った。

またもう一つの依頼を受けようとすると……


「君、一人?なら、僕達といかないかい?」


男の人が、喋りかけてきた。

後ろには大柄な男の人と、弓を持った女の人がいた。

断る理由も無い、受けよう。


「いいですよ、宜しくお願いします」

「こちらこそ宜しく、僕はギラル」

「あ、ブライアです」

「わ、私はレスハです、宜しくお願いします」

「俺はグローシャだ、宜しくな」


自己紹介を済ませて、依頼を選ぶ。

ギラルが討伐系の依頼を選定してくれた。

ここから離れてはいなかったから、歩いて行く。

たまには転移魔法を使わないのもいいな。


「君はどこから来たんだい?髪色的にここじゃ無さそうだけど……」

「あ、スティア王国です」

「え、かなり遠い所から来たんだね!」

「まあそうなりますね」


実際は転移魔法で楽したんだけどな。

まあ別に話さなくてもいいか。


「君の階級は?」

「昨日カードを発行したばかりなので、(いち)ですね」

「なら僕達と同じか」


俺の階級を知らずに依頼を受けたのか。

そこは確認しておかないといけないぞ。

まあ俺には関係無い話だけどな。


「おっと、着いたね。まずは隠れようか」


茂みがある場所でしゃがむ。

前に見えるのは、オーク一体とゴブリン五体。

行こうとしたが、止められた。


「駄目だよ、オークは強いんだ。不意打ちじゃないと」

「なら、囮になりますよ。その間に弓で撃ち抜いてくれれば」

「駄目だ、甘く見てはいけない!」

「大丈夫です、安心して下さい」

「……そこまで言うなら、任せていいのかい?」

「勿論ですよ、レスハさん、頼みました」


俺は茂みから出て、オークとゴブリンの注目の的になった。

一体のゴブリンが棍棒を振り回して突っ込んできたが、頭を蹴り飛ばす。

次に、ゴブリン四体が同時に俺に突っ込んできた。

その後ろにはオークがいる。

オークは無視して、ゴブリンを討伐する。


「『属性拳技・雷蹴』」


雷を纏った足を振り抜き、ゴブリンの体を二つにする。

後ろのオークが戸惑い、隙を見せた。

そして、後ろから矢が飛んできて、オークの頭に刺さった。

それと同時に、ゴブリンが消滅した。

だが──オークは、生き残っていた。

頭の矢を抜き、投げ捨てる。

ウォォ!と雄叫びを上げ、俺に突進してきた。


「危ない!!」


その声と同時に──俺は、オークの頭を消し飛ばした。

後ろを振り向くと、三人は唖然とした顔をしていた。

オークは消滅し、ドロップアイテムを落とした。

オークの皮だ。

それを拾って、三人の方に向かう。


「君……本当に、階級(いち)なのか?」

「そうですよ、証拠もあります」


カードを見せて、証明する。

何なんだ……という呟きが聞こえたが、スルーする。

正体を明かせば、問題が起こるに違いない。

面倒事を起こしたくないから、俺は三年間正体を明かさない。

行こう、と伝えて協会に帰る。

俺の三年間は、まだまだ始まったばかりなのだ。

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