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第18話 魔法特訓

今日は休日。

ただし、俺に休日なんて無い。

何故なら、休日は全て特訓だからだ。

魔法大会で勝てるように特訓しないといけない。

八魔導士が三人に加えて、シャイフォンも参加するのだ。

本気で特訓しないと予選落ちとかは普通にあるからな。


「さて、じゃあ実践あるのみだよな」

「分かった、シャイフォンと戦えばいいのか?」

「ああ、どこからでもかかってこい」


さて、まずはシャイフォンがどの実力を持っているか試さないとな。

前に戦った時は俺の魔法でダメージ受けてたな。

まあそれでも油断することないようにしよう。

おっと、その前に魔力切れを起こさないようにしとかないと。

『無限ノ魔力』っと。

まずは属性魔法からいくか。


「『属性魔法・炎焦砲』」

「『属性魔法・風雷の陣』」


な、なんだあれ!?

俺の魔法がシャイフォンの目の前で潰れた!

一体どういう魔法なんだ?

とりあえず攻撃しないとな。


「『属性魔法・水激憤』──ッ!」

「『属性魔法・爆炎凍結』」


俺の魔法が凍った!?

アイツの魔法強すぎだろ!


「そんなもんか?まだまだいけるだろ」

「当たり前だ!『閃・太陽』──ッ!!」


クロス型の太陽魔法を前方に打ち出す。

これなら、避けられないし防御も出来ない!

相殺はかなり威力込めないと出来ないし、これで勝ちだ。

──って、え?

手のひらを返しただけで……俺の魔法を消滅させた!?

どういうことだ!?


「成程、まだこんなもんか」

「一体、何をしたんだ……」

「これを消滅させるには、能力か特異体質といった類の力が必要だ。俺は能力を使った」

「何の能力だ……?」

「『圧縮』だ」


あ、圧縮……?

まさか、あの魔法を圧縮して消滅させた!?

ムチャクチャだ!

あの魔法を消滅させる圧縮なら、相当な溜めと魔力が必要になるはずだ。

それを、目の前で一瞬で圧縮させた?

そんなこと出来るはずが無い!


「その顔、中々愉快なもんじゃないか」

「俺の気分は最悪だけどな!」


技の秘密が分からない限り、攻撃し続けて理解するしかない。

さっきは一方向だけの魔法だったし、次は全方向魔法

を打ってみるか。

とびっきりの威力を持つこの技で。


「『貫・太陽』──ッ!」


超高熱の極細の長い針をシャイフォンの周りに出現させる。

全てを貫く太陽の光を、シャイフォンにぶつけさせる。

──だが、そんなものはシャイフォンにとって関係無かった。


「『瞬間圧縮』」


シャイフォンが人差し指を上に向けると、俺の出した魔法は、全てシャイフォンの前で縮んで無くなった。

いや、正確には見えるか見えないかレベルの極小の大きさになり、コトリと落ちた。

やっぱり、おかしい。

圧縮させるにしても、一瞬で圧縮させることなんて到底無理な話なのだ。

現代技術がいくら進んでいたって、どうやっても世界の条理には勝てない。

ただ、能力や特異体質があれば別だ。

それをシャイフォンはやってのけた。

シャイフォンには、まだ秘密がある。


「ど、どうなってんだ……」

「教えよう、能力『瞬間』だ。『圧縮』と『瞬間』を合わせることによって、今の技が成り立つ。どうだ、自慢の技を完封された気持ちは?」


クソ、最後のは嫌味だろ!

腹が立つが、冷静になる。

『瞬間』と『圧縮』で俺の魔法を全て消滅させた、と考えると……無効眼しか勝ち目が無いか?

ただ、無効眼の能力無効を発動させても、魔法で相殺してきそうなんだよな。

後は特異体質とかだな。

シャイフォンって、能力を使わなくても単純に強いんだよな。

まあ、やらないよりかはやった方がいいよな。

『無効眼・能力無効』発動。


「さて、お前も本気になったか」

「じゃあ、第二ラウンドといこうか!」


高らかに俺はそう宣言し、シャイフォンに魔法を放つ──



──結果、俺は負けた。

シャイフォンの本気も引き出せず、ただ魔法だけで負けた。

『太陽』とか属性魔法も使っているのに、アイツは全て相殺してくる。

ただ、ボコボコにされたのみ。

しかも、俺は隠れて魔力を無限にして挑んでいたのに、シャイフォンは一切魔力切れを起こさない。

色んな意味で化け物だ。

ただ、俺も実力はかなりついていた。

それを確認出来ただけでもいい方だ。

勝ちたかったけど。


「はー、何でお前そんなに強いんだよ……」

「龍族だから、だな」

「そんな言い訳があってたまるか!」


種族で強い弱いはあるけど、龍族全員が強い訳じゃない。

いや、強いけどさ……


「お前、やっぱり魔力切れ起こさないよな。何でなんだ?」

「魔力量が多いから、としか言いようがない」


うーん、やっぱりそうなのか。

コイツが強いのは知っていたけど、ここまで強かったのか……

シャイフォンがここまで強いなら、親父は一体どんな強さなんだよ。

まあこの国最強らしいからな。

さて、そろそろ立つか。


「っしょっと……まだやるか?」

「次は俺に勝てるのか?」

「よし、俺が勝つまでやるぞ!」

「今日は徹夜だな」

「おい!」


まあ、本当は勝ち筋はある。

神魔眼と無効眼の同時発動だ。

だが、同時発動をすると反動がくるのだ。

勝ちたいから別にいいんだけどさ。

『無効眼・能力無効』

『神魔眼・魔力眼開眼』

これで勝てるはずだ。


「なら、始めようか」

「ああ、『緑轟破爆』」

「『烈・太陽』──ッ!」


相殺成功だ。

ってか、魔力眼ってシャイフォンの魔力も操作出来んのかな?

ちょっとやってみるか。


「『緑亜空閃』」

「『魔力崩壊』──!」

「──嘘だろ、おい……」


よし、出来た!

後はシャイフォンが特異体質を持っていない限り俺が勝てる。

油断はするなよ、俺。


「……成程、魔力自体を崩壊させて魔法を潰す、ということか。では、魔力を使わない魔法(・・・・・・・・・)ならいいんだな」

「は?どういうことだ?」

「『一の刻み・緑王波将閃りょくおうはしょうせん』」


な、なんだこれ!

魔力を使わないって言ってたから、魔力眼じゃどうにもならないはずだ。

よし、こんな時の無効眼だ。

『無効眼・魔法無効』

やっぱり食らわないな。

てか、魔力を使わない魔法って、それは最早魔法じゃないだろ!

まあ、コイツに常識が通用するはずもないか。

でも、これで能力による攻撃が通されるようになってしまったな。

複合の攻撃だと相殺するしかないよな。

あれ、確か『太陽』ってもう一つ武器あったよな。

あれ、試しに使ってみるか。


「『太陽球体武具・ラ・サリューズ・フェル』」


って、なんだこれ。

手のひらサイズの球体が俺の横に現れた。

太陽魔法を打ったら何か出るのだろうか?

その辺はよく分からないし、特訓で使うしかないよな。


「──……終了だ、降参しよう」

「は?何でだ?」

「俺はその武器に勝てないからだ」


ん?そんなにこの武器強いのか?

一度だけでも使ってみたかったんだが、残念だな。

シャイフォンが勝てないって言う位だし、相当強いんだろうな。

大会でもこれ使っていいのかな?


「てか、勝てない勝てないって言いながら俺に圧勝してるんだけど、お前今度は嘘じゃないだろうな?」

「あー、まあその事は置いといてくれ。まあぶっちゃけ、勝てないことも無い、といったとこだな」

「なら何で戦わないんだ?」

「そうだな……面倒なんだよな、その武器」

「面倒?何でだ?」

「意識するだけで魔法を放てる、通常の魔法と五倍以上もの威力を誇る、所有者の魔力の消耗が激減する、といった所だな」


成程、強いということは充分に分かった。

この武器、俺が想定しているより強かったんだな。

こっちの方はフェルと呼ぼうか。

変形の方はサリューズでいいか。

フェルを魔法大会で使うと、かなり大変なことになりそうだよな……

魔法軍団だったか?

あの軍が絡んできそうだし、出来るだけでも封印しとかないとな。


「基本的にデメリットが存在しないのが球体武器の特徴だ」

「成程、そうなのか……」


デメリットが存在しないって、シュヴァルツの聖剣よりも強くないか?

聖剣に変化させるには確か一定時間だったような気がするな。

前にシュヴァルツに教えて貰った。

その点、フェルみたいな武器は確かに使い勝手がいい。

まあ所有者が弱かったら意味が無いし、俺はもっと強くならないとな。

折角強くしてもらったんだ、親父みたいに強くなりたいな。

だけど特訓面倒だし、特訓しないで強くなれないかな……

とか思ってると強くなれないのが俺なんだよな。


「疲れただろう、そろそろ帰ろうか」

「そうだな、あ、シャイフォンは何が食べたい?」

「何でもいいぞ」

「分かった、オムレイスとかでもいいか?」

「ああ、頼む」


オムレイス──つまり、オムライスだが、俺の得意料理の一つだ。

まあ米にケチャップと肉と人参とグリーンピースとコーン混ぜて卵で包むだけなんだけど。

簡単なので終わらせたいからこれでいいや。

とりあえず買い物に行かないとな。


「買い物着いてきてくれないか?」

「それは別に構わないが、食堂は使わないのか?」

「自分で料理することが大切なんだよ」

「別に貴族なんだし他の者にやらせればいいのに、変わった奴だな」

「変わった奴だから作る方を選ぶんだよ」


とりあえず特訓場を出る。

外は夕方だが、窓越しでもかなり日差しが強い。

買い物面倒になってきたな。

俺、暑いの嫌いだしどうしようかな……

いや、シャイフォンの前で作るって言ったんだ、買い物に行くしかないか。

急がないと店が閉まってしまう。


「じゃあ行くぞ、荷物持ち頼んだ」

「嫌だと言ったら?」

「晩飯抜き」

「分かった、いくらでも持とう」


チョロい奴だ。

コイツが何か言ってきたら、晩飯を盾にしてやろうか。

シャイフォンの弱点を見つけたな。


──帰宅後、寮にて

「おし、料理するから待っててくれ」

「分かった」


さて、米をボウルに入れて、ケチャップをかけて、グリーンピース入れてと。

あ、人参切って鶏肉を少し焼かないと。

ピーラーは確か無かったから包丁で切らないとな。

人参切れたから鶏肉をフライパンで少し焼いて、ボウルに投入っと。

よし、シャイフォンに混ぜさせるか。


「シャイフォン、これ混ぜといてくれ」

「よし、任せろ」

「頼むぞ」


俺は今の間に卵焼いとくか。

まあ今回はご飯に卵乗せといたらいいか。

そっちの方が楽だからな。


「よし、卵は完成だ。混ぜ終わったか?」

「これでいいか?」

「おし、完璧だ。皿取ってくれ」

「これでいいか?」

「助かる、じゃあスプーンも頼む」


食事する準備をしていると、ドアがノックされた。

誰だろうか?


「俺が出るから机に皿置いといてくれ」


シャイフォンに頼んで、ドアに向かう。

今日は誰も呼んでないはずだけどな。

もしかして、シュヴァルツか?


「はいはい、どちら様ですか?」

「おう、ブライア、久しぶりだな」

「って、ファルド先輩。どうしたんですか?」

「話がある、今大丈夫か?」

「今から晩御飯なんで、良かったら食べながらでどうですか?」

「そうだな、そうさせて貰う」


ファルド先輩が俺の部屋に来るのって初めてだな。

もしかして、心読んだ事を話に来たのか?

それは全力で謝らないとな。


「シャイフォン、皿追加しといてくれ」

「分かった……って、ファルドか」

「誰だ?」


まあ、初対面なら誰か分からないよな。

シャイフォンが一方的に知っているだけなのか。


「シャイフォンだ。俺の緑龍」

「ああ、そういえば前喋ったな」


あれ、そうなのか?

意外にも面識があるようだ。

一体いつの話をしているんだ?


「あの事件の時に喋ったな」


あの事件?

ああ、第一の事件のことかな。

シャイフォンに変わってからファルド先輩に会ってたんだな。

俺は気絶してたから知らないだけか。


「まあ、机に座って下さい。話をしましょうか」

「ああ、そうだな」


シャイフォンが机にオムライスを置いてくれた。

後からスプーンとケチャップも持ってきてくれた。

シャイフォンもこういう時にこんな対応してくれるのは嬉しいな。

じゃあ、食べながら話すか。

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