表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/132

プロローグ 死亡/第1話 異世界転生

初めまして、作者のサファイアです!

どうかこの作品を読んで貰えるよう、頑張ります!

居眠り運転のトラック、赤信号なのに突っ込んでくる、その横断歩道には男子高校生……絶望的な状況……

そして……トラックに轢かれ……即死。

呆気なく散ってしまった命に、呆然とする歩行者。

あまりにも酷すぎる事態に、唖然とする同級生の5人の男子高校生。

目の前で友達が轢かれ、現実を受け入れられない。

次の瞬間、悲鳴や絶叫がその場を埋め尽くす。

119番通報する者、腰が抜けて倒れる者、大声を出して助けを呼ぶ者、亡骸に泣きながら走る5人の男子高校生。

だが、全てが手遅れ……もう、戻ることは無い。

命も、時間も。この世界では、戻ることの無い終わり。

その死亡した男子高校生はというと……


異世界に転生(・・・・・・)していたのだった。



────有り得ない。

こんなことがあっていいはずが無い。

転生なんて、ファンタジーなんだ、ここは、天国の世界なんだ、きっとそうだ。そうに違いない。

……けど、現実は変わらない。

痛みもある、物に触れる、そして……顔が違う。

これはもう転生したに違いないはずだ。

しかも……どこに転生したんだ?

西洋っぽいところだけど……これ、明らかに違うよな。

だって……家があまりにも広い。

もしかして、ちょっとした可能性だが……ここ、もしかして異世界か?

いやいや、そんな訳が無い。

ここはきっと、俺が元いた世界のどこかに違いない。

望みはかなり薄いが。

自身の容姿について確認しよう。

髪の毛は緑、目も緑、服も緑が多めだ。

なんだ、この家は緑が好きなのか?

確かに鮮やかで目にもいいけど……多すぎる。

逆に目に悪くなってしまうレベルだ。

移動をする為、おそらく自室であろう部屋の扉を開ける。

周りを見渡すと、あるのはいくつかの部屋と長い廊下だけ。

まずは奥の方から片っ端に部屋の扉を開けていこう。


「──おお、我が愛しの息子ブライアよ!」


………恐らく、俺の父親なのだろう。

段々と飲み込みが早くなってきた。

で、ブライアはこの世界の俺の名前か?

一体どんな意味で付けられたのだろうか?


「えっと……父様?」

「おうそうだ、其方の父、クライアであるぞ!」


親父の名はクライア、覚えておこう。

今気がついたが、向こうの世界とこっちの世界の言葉は普通に通じるんだな。

文字は……その辺の本を見ている感じ、恐らく違うだろう。

この部屋は図書室……いや、図書館と言った方が正確だ。

あまりにも広い図書館だ、どこに何があるか近いうちに覚えておかないとな。


「よく書斎に来たな!何か探し物か?」

「いえ、この家を探索していただけで……」

「そうか、まだこの家を知らぬのか。なら私が案内しようか?」

「有難いです、父様。お願いしても宜しいですか?」


それはいい、この家が全く分からなかったところだ。

こっちの親父はかなり話しやすそうな雰囲気で良かった。

向こうの親父は厳しい訳ではなかったんだけど……話すのが苦手だったな。


「5歳にしては律儀な子だな。母さんの血を受け継いだのか?」

「いえ、父様の血も受け継いでいるかと。」

「はっはっは!面白いことを言う!そこは父さんに似ておるのだな!」


確かに、面白い親父だな。

だが、自画自賛も程々にな。

よし……てことで、案内してもらうか。

いや、本当に助かる。


「まずは、書斎だな。と言っても、面白味もない難しい本ばかりだがな」

「5歳の僕が読めるような本はあるのですか?」

「うーん……童話ぐらいではないのか?後は興味あれば英雄譚だな」


……英雄譚?

もしかすると、本当に異世界なのか?

まだ異世界と決まった訳ではない筈だけど……かなりワクワクしてきた。


「じゃ、まずは隣の部屋だな。部屋を出ようか」

「はい、父様」


次の部屋、どんな感じなんだろうか。


「ここはキッチンだな、メイドや執事が料理を振舞ってくれる」

「へぇー……って!あれば一体!?」

「そういえばブライアは見たこと無かったか?あれは魔法だ」


本当に異世界だった!

魔法があるとすれば……俺も使えたりするのか?

能力とか武器とかも気になる。


「氷魔法で冷却保存や、炎魔法で炙ったり焼いたり。魔法は沢山のことが出来るから便利だぞ。ま、父さんはあまり使わないのだが」

「何故ですか?」

「我が家名はグリーンドラゴンと言ってな、遺伝子的に魔法や剣より、武術を得意とする人間が沢山排出される家系だ。あ、お前の母さんは武術より魔法が得意だ。出身が違うからな」

「へぇ、ならいずれ僕も武術が得意に?」

「なるだろうな。ま、あの子みたいに例外はいるが……大抵は武術を好んで使う」


例外のあの子って一体どんな子なんだろ?

その子もグリーンドラゴン家みたいだし、会えるのが楽しみだ。

でも武術か、楽しいんだけど俺は剣や魔法が使いたかったな。

前世でも得意だったし、できないことはないんだが。

あいつが俺の立場なら、もっと喜んでただろうな。

でも剣とか魔法の才能が必ずしも無いって訳でもないし、物は試しと言う。

また今度使ってみよう。


「じゃあ次に行こうか。」

「ええ!早く見て回りましょう!」

「はっはっは!元気ある子供だ!」


次の部屋までは距離があるし、長い廊下を移動するか。


「そうだブライア、お前にこの長い廊下を快適に渡る方法を教えよう──『動け廊下』」


バランスを崩しそうになったが、親父が受け止めてくれたようだ。

だがそれはどうでもいい。

廊下がまるでベルトコンベアのように動き出したのだ。


「す、凄い!一体どうやって!?」

「これは一種の魔法のようなものでな、この廊下は魔力を込めた物体、『魔道具』という。『動け廊下』と言うだけで動き出す。止める時は、『止まれ廊下』だ。お前にも扱えるが、これで遊ばないように。危ないからな」

「は、はい!使ってもいいですか?」

「勿論だ、試してみろ」

「なら──『止まれ廊下』」


いや、本当に止まった!

こ、これは凄い!

ってあれ、なんかフラフラする……。


「これが今のお前への危ない、だ。これの原動力は『魔力』といってな、今のお前は『魔力』の総量である『魔力量』があまりにも少ないから、1回使うだけでこうなる。2回目も耐えれるとは思うが、3回目を使うと動いている廊下で倒れることになる。そうなれば、壁にぶつかってしまえば危ないだろう?だからできるだけ使わないでおけ。いいな?」

「ひゃ、ひゃーい。」

「いい返事だ、手を離してやろう。」


ほっぺたをつまむな!

ま、自分でもびっくりするくらいぷにぷになんだが。

……魔道具に、魔力か。

これは本格的に異世界っぽいな。


「着いたぞ、ここは食堂だ」

「へぇー……あ」

「はっはっは!お腹の虫が鳴いているぞ!」

「そういえば、何も食べていませんでした」

「そうだな、お昼までまだまだ時間がある。お昼まで待つか?それとも買いに行くか?」


どうしようか。

ここでご飯食べたいのだが、夜になれば食べれる。

それにこの家の外がどうなっているか見てみたい。

なら、俺の答えは1つだ!


「買いに行きたいです!僕外に出たことないですし!」

「そうか、なら準備しないとな!部屋に行くぞ!」

「やったぁ!」


よーし、ようやく外に出れる!

準備だ準備!早く行こう!


「む?この気配……」

「どうかされましたか?」

「まさか……ブライア、外に出るのは後でだ」

「え?は、はい」


なんだ?急に親父の顔が……


《グアアアアアアアア!!!!》


え、なんだこれ!?

この鳴き声、なんか大きい動物か!?


「チッ、ここで待っておけブライア、誰かいるか!」

「はい、ここに」

「今すぐエルナを呼べ、場所は貴族街東門だ。」

「かしこまりました。ご武運を」


あの人いきなり出てきたな。

って、呑気に考えてる暇は無い!

親父を追いかけた方がいいのか?


「あの人も人使いが荒いわね……あらブライア、こんなところでどうしたの?」

「あ、えっと……父様がどこか行ってしまって……」

「あら、そうなの。あなたが走ってもあの人には追いつけないだろうし……窓から行くわよ、しっかり母さんに掴まってなさい」


ど、どういうことだ?


「『飛行』」


そ、空を飛んでる!

魔力があればこんなこともできるのか。


「見えてきたわ……成程、この程度ならあの人1人で充分ね」

「……え?ド、ドラゴン?」

「あら、博識なこと。正解よ」


真っ黒の体に大きな翼……なんか強そう!

あれ、親父は──ドラゴンの目の前にいる!


「なるほど、お前か。良かったな、慈悲深い私で。他の奴らだったら問答無用で木っ端微塵だな」


な、なんか言ってる……他の奴らって誰だよ。


《グルアアアアアア!!ガアアアアア!》


ッ!なんだ、耳が!?


「大丈夫よ、安心しなさい」

「あ、ありがとうございます、母様」


ドラゴンの咆哮って、こんなに凄いものなのか。

見た目は親父より強そうだけど、どうするんだ?


「……さっきからギャーギャーうるさい、我が息子の腹の虫でもそこまで鳴かないぞ」


うるせえ、さっきのことは忘れろ!

なんでそれとドラゴンの咆哮を一緒にして比べるんだ!


「もういいか?我が息子と妻が見ているのでな」


《グルアアア!グラァァァァァァ!》


つ、爪で引き裂かれるっ!


「そうか、戦うつもりか。なら、その命を絶えさせよう──『鋼鉄の刃拳』」


《ゴ、ゴァァァァ!?》


ドラゴンの爪がバラバラに!?

あんな一撃で硬そうな爪があんなことに!?


「言っただろう?その命を絶えさせよう、と──『鋼鉄の緑武・乱』」


大きな真っ黒の肉体に物理攻撃が通る程に強烈な攻撃だ。

これがグリーンドラゴン家の武術、なのか。

凄まじい、前世でもこのレベルはいなかった。


「……まだ耐えるか。もう終わりにしてもよいか?」

《グ、グラァァァ、ガアアアア!》


まずい、不意打ちだ。

流石に攻撃を食らってしまう!


「そこまで死にたかったのか。良かった、殺した後に罪悪感を抱くところだったぞ──『反射緑鋼鉄』」

《グアアアアアアアアアアアアアア!!!!》


え?今、何したんだ?

ま、全く見えなかった……。

これが俺の親父、クライア・グリーンドラゴンなのか。

ってヤバい、ドラゴン倒れてここら一帯が潰れる!


「か、母様!」

「安心して、あの人がやってくれるから」


え?親父、また何かするのか?


「全く……人任せなことだ、『鉄塊撲滅拳』」


え?ドラゴンが、消えた?

ど、どこにいったんだ?


「ふふ、その困惑の様子、可愛いわね」

「ごめんなブライア、買い物に行くと言ったのに」

「えっと……ドラゴンは、どこに?」

「消した、物理的にな」


──は?

え、はあああああ!?

いやいやいやいや、強すぎるだろ!


「こら、5歳の子供には刺激が強すぎるでしょ。」

「いや、どうしても見てもらいたくてな。こんなチャンス滅多にないだろ?しかも、エルナがここら一体に結界張っていただろうし」

「もう、ブライア怖がってたのよ?でも、結界張っていたのは間違ってないわね」


異世界人にも刺激強すぎるよ!

一体どういう原理なんだよ!


「だ、大丈夫ですか!?って、グリーンドラゴン家当主様?」

「ああ、衛兵だな。王にこう報告しといてくれ。『グリーンドラゴン家当主は劇的な勝利を収めた』とな」

「ハッ!かしこまりました!」


かしこまってんじゃねえよ!

何か聞く事ぐらいあるだろ!

てか、親父グリーンドラゴン家の当主なのかよ!

それ、早く言って欲しかったな。


「流石、最上級貴族なだけありますね」

「褒めても何も出ないぞ」


…………え?なんて言った?

さ、最上級貴族?

字面で分かるけど、もしかして──


「驚いたか?ブライア。我がグリーンドラゴン家は、七つの最上級貴族、レインボードラゴンの一つなのさ」


レインボードラゴン?


「レッドドラゴン、オレンジドラゴン、イエロードラゴン、グリーンドラゴン、ブルードラゴン、インジゴドラゴン、パープルドラゴン、この七家から成る貴族を七つの最上級貴族、レインボードラゴンというのよ。私達はその一つ、グリーンドラゴン家にあたるのよ」


いや、もう何も言えない。

驚き呆れるっていうのはこういうことなのか。

まあ困惑していても先に進まない。

今はとにかくこの状況を受け入れよう。


「お腹空いただろう、ブライア。何を食べに行きたい?」

「なら、私もついて行くわ」

「何があるか見に行きたいです!」

「なら商店街に行こうか!あ、報告頼んだぞ!」

「ええ、お任せを」


これが俺の転生した家、親、世界。

何が起きるか分からない、イレギュラーな世界であり、俺をワクワクさせるような世界である。


月日は面白いように早く流れ、双子の妹が産まれた。

更に稽古をつけて貰ったり、勉強したりする日々を送っていった。

沢山のことをこの家で学んだ。


──そうして迎えた十歳の誕生日。

大きなパーティーが開かれ、盛大に祝われる日だ。

そして、俺の運命を大きく変えることになった日でもある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです! [一言] 追ってまいりますので、執筆頑張って下さい!!!
2023/06/18 22:19 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ