七話
『グギャオオオオオオオオオッ!!』
ボルケノスが吠えた。
穴から漏れた体液が地面に落ちて、大爆発を起こす。
建物を爆発で吹き飛ばし、地面に大穴を明けながら、ボルケノスは私に向かって四本足で走ってきた。
モグラのような姿なのに、犬みたいな走り方をする。
私はボルケノスの突進を横に避けるが、私の身体に体液が一滴当たり、爆発に巻き込まれてしまう。
動画で見たことがある、ダイナマイト百個分の大爆発に巻き込まれた私。
「・・・あれ?」
私は気付く。
身体が爆発に巻き込まれたにも関わらず、全くの無傷なのだ。
「全然熱くない!おっ?」
其処で気付く。
私の左腕に炎が纏われている事に。
もしかして、さっきの爆発が起こした爆炎を吸収したのか?
「此は凄い!ボルケノスー!」
私はボルケノスに向かって叫ぶ。
『グギャッ!?』
ボルケノスは私が消えてない事を不思議がってる。
ボルケノスは頬を膨らませたかと思えば、口を大きく開けてマグマのような体液を吐き出した。
私に体液が当たった瞬間、周りが爆発を起こして見えなくなった。
しかし、私の左腕に爆炎が纏われていく。
爆風までも取り込んでいる。
「此が、ツヴァイフェニックスの能力?」
そして私は、炎を一気に撃ち放った。
ボルケノスの頭に当てた瞬間、ボルケノスの身体が大爆発に巻き込まれてしまう。
「おおっ!」
『グギャオオオオオオオオオッ!!』
ボルケノスが大爆発に巻き込まれて、地面を四回も転がった。
でも、すぐに起き上がって私に向かって歩いてきた。
「此方試してないな」
私は炎だけでなく、氷の力を試してみる事にした。
私の右手から吹雪が放たれるイメージを頭の中に浮かばせる。
その瞬間、私の右手の掌から吹雪が放たれた。
ボルケノスに当たった瞬間、奴の全身があっという間に凍らされていく。
「わお。凄い」
ボルケノスの全身が凍った。
私は炎を当ててみた。
すると、ボルケノスの全身がアッサリと砕け散った。
「あれ?アッサリ砕けちゃったよ?ツヴァイフェニックスの能力の影響?それとも全身凍って脆くなった?」
分からない。
一体どうなってるの?
全身が凍ったからって、こんなにアッサリと粉々に砕けるもんなのかな?
熱膨張って奴?
科学に詳しい訳じゃないから分かんないよ。
「ってそれより、カミナリサマと戦ってる愛香とリサは!?」
私は背中の翼を羽ばたかせて空を飛び、二人の元へ向かっていく。
「あっ!怪獣結晶!」
死体にもあるのかとボルケノスのバラバラ死体を探ってみたけど、全く無かった。
再び空へ飛び出した私。
私は翼をはためかせて、空からその様子を見ていた。
其処には、五百メートルもあるカミナリサマと戦い続ける愛香とリサの姿があった。
愛香が両手の爪でカミナリサマの目を潰し、蹴ってカミナリサマを背中から地面に押し倒した。
更に、リサが頭の触手でカミナリサマの全身を拘束する。
『ギィエエエエエエエッ!!』
カミナリサマが吠える。
カミナリサマの背後の太鼓の一つが、叩いてないにも関わらず鳴り始める。
その瞬間、カミナリサマの全身が雷のようになり、軈てその場から消える。
速い。
雷の速度で動けるんだ。
「あっ!芽々!」
「ボルケノスは倒したようね」
私は二人の元に降り立ち、カミナリサマが何処に居るのか周りを見る。
「カミナリサマは!?」
「気配は無いよ。逃げられたね」
「私の触手に捕まっても、奴は移動出来た。走ったんじゃなくて、雷になって移動したのね」
『カミナリサマの撤退を確認!そして、ボルケノスの討伐を確認しました!お疲れ様です!一分後に出撃ゲートへ転移させます!』
そんなアナウンスが流れた。
でも、あまり疲れた感じがしなかった。
此も、怪獣を宿した影響なのかな。