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龍桜寺にて

 大きな木製の門は、細かい彫刻に黒っぽく色の変わった木の質感が年代を感じさせます。

 (かか)げられた大きな看板の文字は【龍桜寺】。


 あってますよね。

 学用品の入ったリュックをならして、門に足を踏み入れようとしたところで、

「このはちゃん?」

 後ろからかかった声に振り返りました。


 保健室で会った先輩です。

「さっきは話を聞いていただいてありがとうございました」

 下げた頭を上げると、その瞳が私の左手を見つめる。


「ああ。話ね。

 まあまあ、そんなことはとりあえずいいから入りなよ」

 そのまま流れるように私の背中に手を回すと一緒に門をくぐります。


 けど。あれれ、なんか雰囲気が違わないですか?

 学校ではぶっきらぼうな感じだったのに、なんかすごくチャラい空気が溢れ出ていますけど。


 大きな鐘つき堂を見ながら左手に曲がると、濃いピンク色のツツジの花が作る道を進んでいき。


「俺の部屋直行でいいよね」

 え? それっていいの?

 なんか行っちゃいけない警報が鳴ってる気がするのは、私の自意識過剰すぎですか?

「はい。どうぞ」

 お寺の敷地内にある戸建ての玄関が開かれます。


 どうぞって。

 躊躇ちゅうちょした私の背後から、少し怒った声が追いかけてきました。


かける

「あれ、もう帰ってきちゃたんだいたる

 振り返った私の目に映るのは、ムスッとした切れ長の瞳に薄い唇。

 ん?

 もう一度振り返ると、にっこりと微笑む切れ長の瞳に薄い唇。


「え?」

 同じ顔立ちに、もう一度振り返る。


 学校の廊下で聞いた小さなため息が耳に届きました。

「めんどくさがらずに言っとくべきだった。

 俺はえんじゅ至。

 そっちは駆。双子なんだ。


 君と同じで、俺達も『みえる』」

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