それはとても不思議な子だった。
俺が高校2年のときの話。
俺は基本は普通の高校生で、でも部活はやってなかったし、勉強も手を抜きっぱなしで全然ダメ。それでいて一丁前に国立大に行って進学はしようかなとか ろくに将来の事も考えずに高校に通う日々を淡々と過ごしていた。
とある日の朝、いつも通りに起きていつも通りの支度をして、いつもの学校に登校するためにアパートの最上階からエレベーターで降りてドアを開ける。アパートの脇に止めてある自転車まで歩み寄り、鍵を解いて道路まで押す。そして、自転車に股がりペダルをグッと踏み込んだと同時にふと道路の反対側に伸びる脇道に目をやると、見慣れない少女がコンクリートで出来た道路の上に尻をつけて座っていた。
「あれ?あんな子いたっけ、、、」
と一瞬疑問に思いながら見ていると、道路を介してその子と目があった。別に知り合いでも無いからすぐに目を逸らし、自転車で道を進んだ。一瞬して、また目を向けると彼女はこっちを向いたまま今度は少しにやけると言うか、笑っているように見えた。その直後手前の建物で遮られ、彼女の姿は見えなくなる。「なんやねん。。」と思いつつ、何故か頭の隅で気になりつつあった。