第八夢
「そこでお前とカノンは別れた」
シロナが俺らの過去を話し終え、そう締めくくった。
「なるほど、感動の再開がこの部屋。という事か」
「そうなるな」
「一つ。何故、姉さんはそれを知ってる。│研究対象ならそんな情報は耳にしないはずだ」
「私がお前の父と話した│観察者だからだ」
「お前の父ね」
「無論、私の父でもある」
「質問続きで悪いが、何故、姉さんは別の場所で観察者だったんだ?」
「私が研究所の設立者だからだ」
「趣味悪ぃな」
「どうとでも言え」
「首領閣下。時間だ。そろそろ本題の方を」
俺を案内した少女がそう言った。
「で、私たちの仲間にならないのか?」
「さっきの話を聞く限り、メリットが無いんだが?」
「まあ、そう思うのならそれでいい」
「な…!?いいのか!?」
桜井と浅山がそう反応した。
(何故焦る…?)
「競争に負けるぞ!?」
浅山がそう言った。
「負けたら奴隷と化すんだ。確保出来るものはしておかないと」
桜井が冷静にそう言った。
「それって、全生徒が参加してるのか?」
「そういう訳では無い。…だが、全生徒の8割は参加している。黒衛たちのクラス…1-B…は、お前とあと1人以外皆、この{円卓の騎士}に参加してるな」
「なるほどな…」
「1週間の体験入団でどうだ?」
「それでよろしくないと感じたら俺は抜ける」
「それでいい。契約成立」
「では、これで以上となる。上位12位の方々は直ちにこの部屋から解散してください」
黒衛を含めた12人が外に出たあと、部屋にはシロナとカノンが残っていた。
「シロナ。なんでツヴェルフは考えを変えて了承したの?」
「なんでだと思う?カノン」
「んー。なんでだろうね」
「人に合わせたいからだろうな。黒衛は研究対象時代から友人が少なかっただろう?」
「うん。研究所じゃ僕しか友達はいなかったね」
「つまりそういう事だ」
「あはっ。じゃあ今も友達は僕だけって事だ」
「さあな。明日はお前をこの学校に転入させる。その時に確認すればいいだろう」
「分かったよ。じゃあね。シロナ」
そう言い残し、カノンは部屋をあとにした