表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い白鳥  作者: ツァイト・ツァラトゥストラ
7/10

第六夢

「白鳥君はなんでこの学校に来たの?」

学校から帰っている時、姫川生徒副会長がそう聞いてきた。

「生徒会なら分かるんじゃないんですか?」

「生徒会長は知ってるでしょうけど、副会長はそんなこといちいち言われないわ」

(そうなのか?生徒の事は生徒会に一任されているって霰野(あられの)さんが言ってたけどな…)

「で、何でなの?」

「親が色音(しきね)市に転勤になったんで、ついてきたんですよ」

「へー。色音に来たからといって国立校に入るかしら?」

「それは、なんか兄妹揃って推薦もらったんで…」

「能力があるからかしらね」

「さあ…?妹たちは能力があるとは思えないですけど…」

「実はあるんじゃないの?あなたが知らないだけで」

なんか意味深な言い方だなあ…。何か知ってんのか?

「ま、着いたからその話はまた今度にしましょう」

目の前にはマンションが建っていた。

「なんか寮って感じじゃないっすね」

「そうね。国が資金出してるから、他の学校よりも良い物が建てられるのね」

(国が出してるからってマンションか?)

「学生証出して」

「え?は、はい」

学生証画面を開いた。

「左上の『etc(エトセトラ)』ってところ押して、『部屋』って項目押して」

言われた通りにすると、緑色の画面に3桁の数字が出てきた。ICカードのような模様だ。

「これは?」

「君の部屋番号に、鍵だよ。それをドアの所にある機械にかざせば、ドアが開くんだ」

ハイテクだな。だが、こんなのを国が了承するか?特殊な学校だからって…。


「はい。ここが君の部屋だよ」

715と表札に書かれた部屋に着いた。

「そこにある機械にかざすんだよ」

ピピッ

電子音を鳴らして鍵が解除された。

「もうここからは私は必要ないな」

「まだ分からないことがあれば聞きたいんで、一緒に入ってもらえますか?」

「分かったわ」

中に入ると、

(靴が二人分?誰のだ?)


「~~~。なんでお前らがいるんだ」

リビングには紅音と蒼惟がいた。

「クロ兄。なんでって言われても…」

「私たちもここに住むんだよ?」

(後でって言ってたのはその事か…)

「妹さんたち?」

「そうですよ…」

「クロ兄その人誰?」

紅音が聞いてきた。

「私は高等部副生徒会長の姫川です」

姫川がそう述べると、

「おお。これはこれは。ご丁寧に」

蒼惟がそう言った。

「ふふ。なかなかユニークな妹さんですね」

「そっすね」

「ああそうだ。テレビ台の引き出しの中にイヤホンマイクが入ってますから、活用してくださいね。学校にも持ってけますから」

開くと、4つのそれがあった。それぞれ色が違うようだ。

「赤、青、黒、白…か。それぞれの色でいいか」

「異議なし!」「異議なーし!」

「まあ、言うことはそれだけなんで、私は学校に戻ります」

「あ、はい。ありがとうございました」

「バイバーイ」

2人がそう言った。

「ふふ。バイバイ」

姫川も合わせてそう言った。

「クロ兄、学校は?」

「なんか帰れって言われた…」

「初日からなんかしたの?」

「んなわけないだろう」

「じゃあ学校に嫌われてるんだね」

「バカかお前らは。…と」

スマホが振動した。

非通知だ。

(出てやる義理はないが、これに掛けてくるということは少なくとも学校関係者だろうな…。…仕方が無い)

「お前ら静かにしてろよ」

「分かってるよ」

イヤホンマイクを右耳に装着し、通話を始めた。

「もしもし?」

「白鳥黒衛か?」

女性…、いや。高校生くらいの女の子の声だった。

「そうだが?何か用か」

「今から生徒会室に来い」

「…あんた、誰だ?」

「私の素性はどうでもいい。…まあ、来ればわかるだろうな」

「俺が行くメリットは?」

電話越しにクツクツと笑い声が聞こえた。

「メリット?来ないことのデメリットの方が多いぞ?」

「なに?」

「そうだな。…お前の妹の命を断絶するとか」

「…ふざけるな」

「ハハハ!冗談だよ。アメリカンジョーク」

笑いながらそう言った。

「笑えない冗談はよせ」

「それが嫌なら来ればいい」

「…分かった。何分後までに行けばいい」

「そうだな…」

それから少しして、

「今から30分以内だ」

「30分…」

出来なくはないが、余裕を持ちたいな。

「40分で頼む」

「…。いいだろう。では、今から40分後の16時42分36秒が期限だ」

(この時間は学校に人がいるだろうに…。大丈夫か?)


「俺、用事出来たからちょっと外行くけど、悪さすんなよ?」

「クロ兄、私たちがすると思うの?」

「思うから言ってる」

「うわ即答とか…蒼惟、お兄ちゃんに信用されてないね」

「お前もだ。紅音」

「私も!?」

まじかコイツ…。

「じゃあ、行ってくる」

「いってらっしゃーい!もう帰ってくんなー」

二人でハモりやがって。

「バカかお前らは!」

外に出ると、少し日が傾いていた。

「学校…高等部側から帰ってくる人が多いな…。ちょうど下校時刻か…」

あまり人に見られないようにしよう…。


学校に着いた後2号館にはいり、生徒会室にすぐに行った。

「白鳥黒衛。待っていたぞ」

艶のある綺麗な黒髪をストレートにした、少女が話しかけてきた。

おかしいのはただ一つ。服が軍服っぽいものだという事だ。

「お前が電話の主か?」

「そうだ。とりあえず中に入れ。話はそれからだ」

体育会系なのか?口調が男っぽいとそんな気がする。

「あんた何者だ?生徒会か?」

「いや、違うが何か問題でもあるか?」

「大ありだろ。と言うより、なんで軍服なんだ。学校に入るなら制服だろ」

「?」

何を言っているのかわからないという顔で見てきた。

「まあいい。早く行くぞ」

中は昼に来た時とは違った雰囲気だが、何も変わりがなかった。

「奥のドアに入れ」

(生徒会長が昼に入った部屋だよな…。そんな所、俺やこの生徒会の役員じゃないこの人が入っていいのか?)

まあ、入るが…。

中に入ると、廊下になっていた。

(暗い…。ライトが床と壁にしかないのか…。しかもライトが白くない…。緑…ではないな。エメラルドグリーンって言えばいいのか?)

その奥には大きな両開きの扉があった。

「入って」

扉を開けると、大きな部屋があった。ここも廊下と同じで薄暗い。

「ようこそ。我々の本拠地へ」

中には13個の椅子があり、その11個が埋まっていた。中央には黒い円卓があった。

「ようこそローエングリン。歓迎するぞ」

11人のうちのひとりが言った。

…よく見ると浅山のようだ。

「浅山…。何でここに?」

「それは俺もここの一員だからさ。なあ!カノン!」

浅山が見ている先には女性がいた。薄桃色の髪に、白い肌のかなりの美少女だ。その顔は微笑んでいた。…どこかで見たことあるような…?

「うん。そうだね。まあ、君は現在所属している12人のうち、10番目だけどね」

「ちっ。うっせえな」

「二人とも、喧嘩はそれくらいにしろ。続きはまた後でだ」

この中のトップだろうか。顔は影に隠れて見えないが、女性のようだ。

「ようこそローエングリン。…いや、黒衛」

「なぜ言い直した」

「まあ、私の気分だよ。なにか不快に思ったかな?」

いや…。不快と言うより、安心感すらある…。なぜだ?それに聞き覚えがある声だ…。これも既知(デジャヴ)なのか?

「まあいい。早速だが、黒衛。我ら円卓の騎士ランダー・ティッシュ・リッターの仲間にならないか?」

「生憎と―――」

「俺はメリットデメリットで動く」

「……!なぜ分かった?」

「お前のことはよく知っている。それも生まれた時からな」

なるほど、どうりで安心感があるはずだ。こいつは…

「やっと気がついたか…。遅いな我が弟よ」

白娜(シロナ)…姉さん」

「ハッ!お前ら姉弟かよ!」

「話の腰をおろうとするなアサヤマ。さて、黒衛。メリットならあるぞ」

「何がある」

「例えば…、私たちの組織には莫大な資金があるんだ。それらはすべて私やそこにいるカノン、それに支援者…、スポンサーと言った方が分かり易いか、が集めたものだ」

「つまり、それを使うことが出来る…と?」

「そうだな」

「いつからそれを集めていた…?」

「…。お前は自分の人生が何周目だと思っている?」

「は?いや、1周目だが…?」

「残念。ハズレだ。お前は325周目の白鳥黒衛だ。ちなみに私はちょうど500周目。カノンはお前と同じ325周目だな」

「シロナ。さっきからなぜカノン…ってのを話に入れてくる?これは俺ら姉弟の会話だ」

「すまないな。……黒衛。お前は研究所を覚えているか?」

研究所…。それは記録によると俺が0~13歳まで入れられていた所だ。幼少児実験研究所。人が人智を超えた力を得るため、そして新世界を形成するために設立されたらしい。まあ、人智を超えた学力、武力、知力を手にすることは出来たが、新世界というものを形成するのは楽ではない。

「ここにいる全員、その研究所に研究対象(モルモット)、または観察者(オブザーバー)として、所属していた人物だ。カノンは黒衛と同じ支局に所属していた研究対象だ。珍しいことに、その支局の成功例…学力や運動能力などが素晴らしい人間はお前ら二人なんだ」

なるほど。俺の他に誰かいたなと思ったが…。

「……!そうだ、カノンはあの事故で死んだ…はずだ…!」

「死んだ?何を言っている。事故で死んだのは観察者6人と研究対象37人だけだぞ?」

…は?いや、そんなはずはない。この目で彼女の死体を見たんだから…。

「お前が見たのは死体ではなく、多分瀕死状態のカノンだろう」

…瀕死…状態?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ