ブレックファースト
美味しそうな匂いがする。
あとは香ばしいコーヒーの香り。
・・・ん。
・・・っ!
バッっと体を起こす。
「おはよ。眠れた?朝ごはん出来てるよ。」
空間に映像が浮かび上がる、タブレット端末のような機械の映像を見ながら、いっくんがコーヒーを飲んでいる。
「おはよう。」
ミ、ミ、ミ、ミスったあああああああああああああああああああ。
あたしが美味しい朝ごはん作って、おはよういっくん、朝ご飯作ったよ。
言ってくれたらおかわりも作るからね。
・・・すごい。カエデ、料理上手なんだね。やっぱり年上のお姉さんは最高だよ。
ってなるはずだったのにいいい!
「・・・美味しい。」
やばい、いっくん料理上手なんだ。あたしが作るよりも絶対美味しいわこれ。
「そう?ホームクリエイターに作らせてるだけなんだけどね。口に合ったのならよかった。
そうだカエデ、これ渡しておく。」
そう言うといっくんがイヤリングの様なものを机の上にコトリと置いた。
「これは・・・?そういえばいっくんも右耳に着けてるね。」
「昨日言ったかもしれないけど。これがトランスレーターって言って、言葉の違う人間同士でも意思疎通をとれる道具。」
「ああ、だから昨日レジの前であたしの言葉がわかったんだね。」
「うん。今日たぶん行くでしょ、ドリフター支援センター。言葉通じないとめんどくさいだろうなと思って。」
「助かるよ、ありがとう。でもいいの?こんな高そうなやつ。」
「別にいいよ、俺のお古だから使ってなかったし。」
「じゃあありがたく使わせてもらうね。」
「俺も今日は仕事休みだからついていこうか?」
「いいの?助かる。」
あ、このソーセージみたいなの美味しい。
「じゃあそれ食べ終わったら行こう。」