夢じゃなかった
うぅ~。体が痛い。やっぱりベッドで寝るべきだったなぁ。
体を起こしてしばらく後、自分の目を疑った。
家の座椅子で寝ていたはずなのに、見覚えのない近未来的なビルの間にいた。
「え?・・え?」
どこだろう・・・そっか!夢か!
そう思って思いっきり自分の頬をビンタする。
・・・痛い。
・・・
ほっぺに出来た紅葉をさすりながら、近未来的な建物の隙間から外に出る。
うぅ~、こんなことならスーツ着替えとけばよかったなぁ。
眼の前を走る見たこともないバイクの様な乗り物を見ながら、ぼーっと考えていた。
着替えてないからべたべたする~。靴ないから足痛い~。のど渇いた。・・・水、水飲みたい。
ギシギシする体を頑張って動かし、水を求めて辺りのお店を見て歩く。
ここコンビニっぽい。
雑誌やお菓子、飲み物を置いている店があったので店に入り、ペットボトルに入った水らしきものをレジに持っていく。
「%&#$@%」
まいった。言葉が通じないよ、どうしよう。
「これが、欲しい、です。」
飲むジェスチャーを見せてあたしがこの飲み物を欲しいことをアピールする。
「%&&#$#100&$#」
何を言っているのかは聞き取れないが、店主が手でゆっくりといちまるまると指で示している。
百円ってことかな?
財布から百円玉を取り出しレジに置いた。
「おい、あんたドリフターか?」
後ろから日本語で話しかけられて振り返る。
振り返ると、あたしのよく知っている顔が眼の前にあった。
「え?いっくん?!」
いや、よく見ると違う。そうだよね、いっくんがこんなところにいるはずない。
でもよく似てるなぁ。・・・今はそんな場合じゃなかった!
「家で寝てて、起きたらいきなりこの世界に飛ばされてて、のど渇いてたから水を買いたくて、それで・・・。」
「$%&%@!」
店主が何かを言っているようなので振り返った。
普段のコンビニ支払いの癖で、レジに出そうと財布から取り出していたあたしのVポイントカードを指さしながら、店主が驚いた顔をしている。
「あの、店主さんなんて言ってるんですか?」
あたしはいっくん(仮)に聞いてみた。
「あんたそれどこで!?だとさ。その飲み物がほしいんだな?とりあえず俺が払っといてやるよ。」
そういうといっくん(仮)はあたしの見たことのない硬貨で代わりに飲み物を買ってくれた。
ありがとういっくん(仮)。
「ありがとう!」
「いいよ、それよりも後ろ。」
いっくん(仮)が後ろを指さす。
あたしといっくん(仮)の後ろにムスッとしたお客さんが5人ぐらい並んでいた。
「す、すみません~!」