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異形の冒険者  作者: まる
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再会に出会う

【世界編 再会に出会う】


ドワーフの村長を先頭に、山脈を右手に見ながら新天地を探す。


「どうやって探すの?」

「大陸の東側は、草原から荒地、そして山脈に至る」


同じ様な風景に飽きてきたセッチが、村長に問いかける。


「手頃な場所があれば、ワシが近くのドワーフと交渉する」

「大丈夫なの?」

「荒地は基本、人間も獣人も手を出したがらん。後はドワーフじゃが坑道に入りさえしなければ、特に何も文句は言わんじゃろう」

「一応近くのドワーフに確認をすると言う事ね」

「そう言う事じゃな」


少し行っては地面に手をつく村長。


「何やっているの?」

「うむ? ドワーフは火と土の魔法が使えるのは知っとるかの?」

「話には聞いたことがあるわ」

「土を通して、相手と連絡を取れるのじゃ」

「へぇー、便利ね」

「ただ長い距離は難しいから、ちょくちょくやっとる訳じゃ」

「なる程なる程」


しかし村長の顔の表情が芳しくない。


「どうかしたの?」

「住む住まないは別にして挨拶をと思っておるのじゃが、誰からも反応がない」

「あまり良い素材が取れないから、ここら辺には居ないとか?」


ドワーフは自分の作品に命をかけている。

素材の善し悪しは重要な要素であり、お眼鏡にかなわなかったのではないか。


「そうかもしれん・・が、嫌な予感がするのぉ」


ドワーフ故にか、山脈がいつもと違って感じられていた。






数多と言うべき、人間の軍勢が山脈の坑道を囲んでいる。


「ぐぅっ! げふぉ、げふぉ!」

「ぼふぉ、ごふぉ、ごふぉ!」


喉を押さえ、掻き毟り、激しく咳き込みながら、自分たちの住処であり、砦であり、町である坑道から次々とドワーフが這い出てくる。


人間たちは、そのドワーフを押さえつけては奴隷の首輪を着けて行く。


「ドワーフどもは苦しみ弱っている。一人残らず捕まえろ!」


司令官と思しき人物が、兵士たちに檄を飛ばす。


「貴様ら・・、こんな事をしてタダで済むと思うなよ・・」


咳きこみながらも呪いの言葉を突き付ける。


「タダで・・とは?」

「火と土の魔法を発動した。呪いを付けられた者はもがき苦しんで死んでいくぞ!」

「クックックッ、今のお前たちの様にか?」

「ぐっ・・、その通りだ!」


しかし司令官も兵士たちも、見下し嘲笑っているだけであった。


「な、何がおかしい!」

「ち・な・み・に、数ヶ月前のエルフとの戦いで、多くの兵士が命を散らした」

「ん? それがどうし・・た・・」

「呪い持ちで役立たず。周囲からの視線に苦しんでいた兵士たちに、花道を用意してやったんだよ」

「何ィ・・?」

「後もう一つ、喜んで猛毒の爆弾を持って、坑道の奥まで行ってくれたよ」

「ま、まさか・・、自分たちの同胞を・・?」


悪魔の所業・・。使えないからと、敢えて死地に向かわせる。


「貴様らには・・、心と言う物がないのか!」

「お前らドワーフが、喜んで奴隷になればこんな事にはならなかったんだ!」


全くお門違いの怒りを爆発させ、ドワーフを蹴りつける。


「仲間の命を含め、今までの恨みつらみの全てを取り返させてもらうぞ!」






兵士たちから少し離れた所に、魔法使いの姿をした一人の女性が佇んでいた。


しかし彼らは全く気が付かない。


「これは不味いわねぇ・・」


遠見の帽子と魔除けのローブを身に付けたセッチは、独りごちるとその場を立ち去る。


しばらく進むと、ウォックとズウェイトが待機している場所に到着する。


「どうでした、セッチ様?」

「人間軍がドワーフの坑道に攻め込んでいたわ」

「やっぱり、村長さんのおっしゃる通りに・・」


ドワーフの村長と村人たちは、新たな居住地を見つけ、その付近に住むドワーフに連絡を取ろうとしても、全く返事が無かった。


不安げな村長に、自分たち三人が様子を見てくるからと、村作りに専念させて来たのだ。


遠見の帽子やウォックの視力や聴力、ズウェイトの水や風の精霊で警戒しながら探索する事二日、異変に気付き先程の場面へと至る。


人間でもあり、魔除けのローブもあるしと二人を待機させる。

セッチ一人が出来る限り近づいて、情報収集をしてきたのである。


「報告のために、村に戻りましょう」

「「はい」」


既に事態は最悪の方向に進んでおり、この場では判断のしようがない状況である。






新しい居住地に着くと、山脈での出来事を村長に状況を伝える。


「人間がドワーフの行動に攻め込んだ? 馬鹿な事を・・」

「悪いわね・・、同族が仕出かした事だけど・・」

「そなた一人でどうこう出来る問題ではあるまいて。謝罪は不要じゃ」


人間を代表して謝るが、村長としてもセッチが悪い訳ではないと分かっている。


「しかし不味いのぉ・・」

「やっぱり、同族の事が心配だよね」

「いや、そうでは無くてのぉ。話を聞く限り、山脈の西側からのみ攻め込んだんじゃろ?」

「まあ、確認した限りではね」


これはドワーフ族の慣習の一つじゃが、と前置きして話してくれる。


「ドワーフをどの様に坑道の外へ吐き出したかは知らんが、坑道は一人もしくは一家族単位、精々気の合う仲間単位に対して、どのくらい攻めたか分からんが・・」

「ドワーフ族って多分、山脈全体に広がってるわよね?」

「当然じゃろう」

「・・・と言う事は、捕まったドワーフって?」

「ごく一部・・、精々西側止まり。残りは反撃の準備中じゃろうな」


ドワーフ族は個々としての活動が多い故なのか、種族としては少ない方である。

しかし、種族への攻撃は一致団結して事に当たるという。


これから起こるであろう事態が簡単に予想できる事に溜息を吐く。






アザゼルは他種族の村を襲った獣人の群を探すべく、獣人族の死神と化していた。


村に近い草原から手始めに彷徨い歩き、獣人たちに敢えて襲わせる。


常に全滅させられる獣人たちにとって、アザゼルの情報はなく、たった一つの得物にしか見えない。


「くっくっくっ、こいつ馬鹿だぜ? たった一人で草原にで歩くなんてよぉ」

「まあ、俺たちのテリトリーに踏み込んだ自分の愚かさをあの世で悔やみな」

「お前たちは・・ボスか?」


アザゼルが獣人たちを、一人ひとり確認するように視線を巡らせる。


「・・あぁ!? ボス?」

「んな訳あるか、馬鹿が!」

「そうか・・」


大剣を一振り・・

次の瞬間、声を上げる事さえ許されず、単なる躯と化していく。




ボスでないものが、ボスと偽った発言をした時には・・


「お前たちのいずれかが・・、群のボスか?」

「はははぁー、その通りだ! 驚いたか? 恐怖しろぉ! あーっはっはっはあぁ」

「ヒッヒッヒッ、そうそう。俺様がボスだぁ」


一人の獣人の身体が破裂し、獣人たちの身体に血肉がこびり付く。


「・・えっ!?」

「な、な、ば・・ばっかな」

「ヒィー・・」


残された獣人たちの中に、混乱と恐怖が伝染する。


「あの三人を如何した?」

「えっ!?」


ドンッ!


「村人を如何した?」

「ちょ、ま・・まって」


バンッ!


「何故村を襲った?」

「し、知らねぇ・・」


答えられない度に、獣人一人の身体が吹き飛ばされて行く。


仲間が一人ひとり減っていく状況だが、攻撃も防御も逃走も出来ない。

身体が全く動かない。

ただ同じ台詞を耳に捻じ込まれ、裁きを黙って待っている他は・・


最後の一人となったのは、ボスと言った獣人である。


「ま、待ってくれ。し、知らねぇんだ。俺はボスじゃねぇんだよ」


その言葉にアザゼルが心動かされる事はなかった。

アザゼル自身も、何か答えを求めての行動ですらない様子である。


「そうか・・」


無慈悲に、無感情に、残った獣人を破壊し、当ても無くただ彷徨い始める。






狩りに出かけた部下が誰ひとり戻らない状況に、ボスは苛立ちを隠せなかった。


「一体何が起きている? どう言う事だ!?」

「今、何人かに調べに・・」

「ボス! 大変です」

「どうした! 何があった!?」


調査をさせているとの報告と、調査をしてきた獣人の言葉が被る。


「皆・・、皆・・、やられてます」

「「なっ!?」」


周囲に居た者たちだけでは無く、ボスでさえ驚きの声を上げる。


「誰がやった!?」

「わ、分かりません」


そう答えるしかない。死体は何も語ってくれないのだから・・


「やりすぎた他の群の連中への報復でしょうか?」

「だとしても、全員を殺せる大軍なら何らかの痕跡が残る。10名単位の集団を、少数でそう簡単に倒せる人間がいるとも思えんが・・」


今や人間の軍隊は、エルフ族とドワーフ族との戦いで、獣人族へ派兵する余力はないはず。

少数の戦闘職でも、こちらに全く気付かせずに殲滅出来る高ランカーとなれば限られる。




そんな話し合いの中、群の中が騒がしくなる。


「どうした! うるせぇぞ!」


ボスの恫喝の一言に、口々に叫び始める。


「に、人間が!」

「人間・・だぁ? それがどうした?」

「た、たった一人で乗り込んできました!」

「・・はぁ!? そんな事あるか!?」


慌ててテントの中から飛び出してみると、仲間だった物の破片が散らばっていた。


「なっ!? そ、そんな馬鹿な・・」


同じくテントから出てきた者たちは、あまりの光景に嘔吐いていた。


両手両足のみに鈍銀色の装備、口元のみ開いた白い仮面をした男・・

その男が手にした大剣を振る度に、逃げる事も、避ける事も、防御もする事も出来ず・・


「お前が・・、ボスか?」

「ひぃっ、ち、違・・」


肯定も否定も関係なく、仲間の死体が一つ、また一つ増えていく。


同じ質問を繰り返し、遂に自分の元までたどり着く。


「お前が・・、この群のボスか?」

「その通りだ。人間、何故こんな事をした!」


自分の群の状況に声を張り上げて問いただす。


「村を襲わせたのは・・、お前か?」

「・・村ぁ?」


獣人族としても、やり過ぎれば人間達の痛いしっぺ返しがある事を理解している。

ましてや村一つ滅ぼせばどうなるかも。


「他種族の暮らす村の事だ・・」

「ちっ!? あの村の関係者か・・。 それがどうした! それの何が悪い!」


今のボスは他種族など認めず、偽物が居ること事態許せなかった。

加えて他種族の村は、どの種族からも認められておらず、襲いやすい村でもあった。


瞬時に臨戦態勢に移り、ぶち殺そうと考えるが・・


「(ば、馬鹿な!? か、体が・・ 動かん)」


理解する・・。仲間が攻撃も、防御も、回避も、逃走もしない理由・・出来ない事を。


「お前か・・? お前なのか? セッチ殿と、ウォック殿、ズウェイト殿を如何した? 返してくれ?

村人たちを如何した? 仲良く暮らしていただけだろう? 返してくれ?」


まるで呪詛のように、返せと耳の中に捻じ込まれてくる。


「し、知るか!」


そもそも村を襲わせた手下たちは、誰ひとり帰ってきていない。

故に見張りを置いておいたのである。


「そうか・・」


期待していない・・、そんな抑揚のない声で答える。


その日、東の草原にある大きな群れの一つが滅びた。






その情報は瞬く間に、獣人族の間を駆け巡る。例え街道で別れていても。


東側の種族は、獣人の他は人間族とドワーフ族のみ。

山脈にさえ手を出さなければ、ドワーフ族は無害と言っても良い。


人間軍はエルフ族と、ドワーフ族に勝利したと実しやかに囁かれている。


次は獣人族に目を付けたのではないか?

そう考えてしまうのも無理はない。


今更とはいえ、他の種族と手を結び共闘すべきか・・

今まで通りに保身のため、仲間を売るべきか・・

それとも今では失われた・・、獣人族で団結を図るか・・


それぞれの群のなかで、決断が迫られていた。






近い内にドワーフ族の反撃が予想される以上、荒地でも戦場になる可能性が高い。


「これは早い所アザゼルさんと合流しないとヤバいわね」

「しかしどの様にしたらいいのか・・」

「・・連絡の取りようがありません」


奴隷とは言え、見つかればどの様に扱われるか分かった物では無い。


自分たちを探すなら東の町を拠点にしている可能性が高い。

しかし戦争を目前に控えている以上、自分たちが東の町に戻るのは危険極まりない。


自分たちの安全を考えるなら、エルフ族との戦争の影響があるとはいえ、西の町の方が住みなれており、家に隠れている方が無難である。

南の町もありだが、四人の接点が少なく、アザゼルとの合流出来る可能性は皆無と言わざろう得ない。




では他種族の村と一緒に行動する事を考えてみるが、こちらはもっとひどい状況だ。


「そちらはどうする予定なの?」

「他種族が暮らす村など、何処へ行っても加護は得られん。じゃが定住も危険、流浪も危険・・。人間の村人が居るが危険は変わらず。仲間と相談したところ、山脈を越えて、海の近くまで行こうと考えておる」


正直な所、戦争を目前に控えた今、同じドワーフ同士とはいえ話し合いは難航する事は目に見えている。

当ても無く旅すると言うのは、肉体的にも精神的にもかなりの負担を生じる。




ウォックとズウェイトの心配そうな表情・・


「どうしましょうか・・、セッチ様」


セッチは考える・・何が最優先事項なのか? 

当然、この二人の娘たちの安全に他ならない。


「最速で出来るだけ人目に付かない様に、西の町へと戻りましょう」

「「分かりました」」


しばらく思い巡らし行動を決め、二人もセッチの決断を快く受け入れる。


三人はドワーフの村長の元を訪れ、自分たちのこれからについて話す。


「私たちはこれから西の町へと戻ります。そして何とかアザゼルさんと合流を果たしたいと思います」

「そうか・・、今はその方が良いじゃろう。なぁーに、すぐにまた会える日が来るわい」


にこやかに言うと、セッチ、ウォック、ズウェイトの旅の無事を願ってくれる。

三人も他種族の村に暮らす人々の安全を願いお互い別れを告げる。






三人は出来るだけ危険を避けるため、街道を突き進み、人影を見れば少し遠周りをしながら移動する。


「悪いけど、遠見の帽子は草原じゃあまり役に立たないから」

「「はい、お任せ下さい」」


開けた場所では、獣人の視力や風の精霊の方が遠距離を稼げる。


北や王都の方を避け南の町側の街道を進み、村や町に泊まる事無くひたすら野宿で過ごす。

食糧にも現地調達に徹し、不足分のみセッチが代表して購入の役目を請け負った。


「申し訳ありません、セッチ様」

「何から何まで・・」

「戦争なんだから仕方ないって」


恐縮しまくる二人を慰めながら、旅足を少しでも早くする。


「我が家が見えて来たけど・・、分かっているわね?」

「はい。セッチ様と魔除けのローブをまとったズウェイトちゃんが第一陣」

「家に入ったら、私が待機してセッチ様だけ再び外へ」

「私がローブを持ってウォックちゃんを迎えに行く」

「「はい」」


西の町の城壁が見えても、彼女達は気を抜く事無く細心の注意を払って行動する。






アザゼルは約束を果たせなかった事を、ウハーに伝えるために西の町に戻ってくる。


ウハーはアザゼルの生気のない瞳に驚き、話に耳を傾ける。


「以上だ・・。済まない・・、約束を守れなかった・・」

「はぁ・・、何て馬鹿な事を」

「・・そうだ。三人から離れなければ・・」

「話は最後まで聞く!」


久しぶりのウハーの一括に、意識がウハーの方に向けられる。


「・・えっ?」

「アザゼルさん? 今の話を聞く限り三人を弔っていないんですよね?」

「・・そう・・だが?」

「獣人の死体の中に、三人の物はあったのですよね? それなのに地面ごと破壊してしまったのですよね? 彼女達をどうやって弔ってあげるつもりですか?」


一気に畳みかけに掛かる。

アザゼルの目に、再び光が灯り始める。


「・・そ、それは」

「三人の遺体に鞭打って・・、アザゼルさんは何をしているのですか?」

「い、いや・・、三人を・・見ては・・いない」

「つまり三人の生死は不明であると? それなのに探しもしないで、ただ闇雲に剣を振っていたと?

 何をしているのですか? 良くもまあそんな暇がありましたねぇ」


カッと目を見開くと、クルッと向きを変えてギルドを飛び出して行く。

しかしその行動を予測していたウハーは、足を引っ掛け転ばし馬乗りになる。


「だから馬鹿だと言っているのです!」

「離してくれ!」

「彼女達は既に、生きるために行動を始めています、いるはずです! 無闇に動いても行き違いになるだけです。先ずは情報を整理すべきです」

「・・情報?」

「奴隷ギルドに学者ギルド、協会などからの情報を集めるだけ集めて下さい。 落ち着いて彼女達が選ぶ選択肢を良く考えて、彼女達の行動を予測しなさい!」


アザゼルの身体から力が抜けて行くのを感じると、彼を立ち上がらせる。


「先ずは貴方が心と体を休めるべきです」

「・・ウハー殿の助言に従おう」




アザゼルはあらゆる伝手を使い情報を集めるが、依然生死は掴めなかった。

ウハーと話し合い、彼女たちが生きていれば取るべき行動の絞り込みをかける。


「今の可能性では、東の町に居る可能性が高い」

「彼女達に預けている金額によっては、ダンジョンに潜っているかもしれません」


アザゼルとウハーは、アザゼルが買い物に向かっている事。

ドワーフ族との勝利に湧いている東の町なら、奴隷が居ても安全ではないかと考える。

戦争に沸く状況なら、ダンジョンは安全かもしれないが、どのダンジョンか分からなければ、四人が落ち合える可能性は零である。


「今こ西の町で得られる情報からでは、東の町へ向かって見るのが良いでしょうね」

「うむ。今日明日中に支度をして、東の町へ向かおうと思う」

「分かりました。今日は上がりますから、一緒に帰りましょう」

「承知した」




二人そろって自宅に戻ると、何時もと何かが違うような感じがする。


アザゼルはすぐに駆けだす。


「ちょ、ちょっと!? アザゼルさん!?」


ウハーも、これから起こるであろう出来事に備え慌てて追いかける。


「ぎゃぁああぁぁぁぁl-!?」

「「きゃぁあぁぁぁぁー!?」」


浴室の方から三人の悲鳴が聞こえてくる。


「やっぱり・・」


アザゼルはウォックとズウェイトをしっかりと抱きしめる。

セッチは力一杯、手桶でアザゼルの頭を殴りつけている。


「遅かった・・」


これ見よがしに溜息をついて、浴室の惨状を目の当たりにする。





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