人間として
【過去 人間編】
人間に封じられた天使は、気が付くと身包み剥がされた状態で地面に横たわった居た。
「ここは・・?」
周囲を見渡すと、どうやら森の中の様である。
「これは・・?」
自分の体を見ると下着姿であったが、それよりも気になったのが四肢と胸の痣・・
腕は手首から二の腕まで、足は足首から太腿まで、丁度心臓の上の部分にと、細かな文字の様な物がびっしりと書き込まれていた。
実は、彼自身では見る事が出来ない、目の周りから額、背中一面にもあった。
それは上位天使の封印の剣で貫かれた個所と一致していた。
「そうか・・、ここが地上・・。人間が住む世界・・か」
立ち上がり、周囲を見渡す。
「この格好は良くないだろう。近く人間たちが暮らしている場所があるだろうか?」
自問自答して、適当な方向へと歩きはじめる。
幾日も歩き続けるが、空腹を覚えず、眠くも無かった。
何も身に纏っていないのに、素足や肌はかすり傷一つ付かなかった。
やっとの事で人が住む家屋が集まった、村に辿り着く。
村に近づくと、住人が元天使の存在に気付き、驚いた表情で村の中へと入っていく。
元天使が村の入り口に付いた時、村人総出で出迎えるられた。
「この様な有様で申し訳ない。訳あって・・ッ!?」
一人の村人から石が投げつけられる。
続く様に次々と村人が石を元天使へと投げつける。
「ま、待ってくれ!?」
「呪い持ちを村に入れれば、災いを招くぞ!」
「神の怒りを買ちまう!」
「誰かは知らんが、この村に入るんじゃねぇ!」
村の住人達は口々に叫ぶと、石を次々に投げつける。
「待ってくれ。私は何も・・。呪い持ちとは何だ!?」
元天使の言葉に、全く耳をかさず石を投げ続ける。
「(このままではお互いに良くない。この場は村を離れるべきか)」
そう思うと逃げるように、来た道の方角へと戻っていく。
しばらく走りつづけ、村が全く見えなくなった頃、足を止める。
「一体何があったのだ? 如何して見も知らぬ人に石を投げる事が出来るのだ?」
村の方を一度振り返る。
「仕方が無い・・・。他の村を探そう」
その様に一人呟くと、他の村を探し森の中を徘徊する。
彼は元天使の体には傷一つなく、痛みすら感じていない事に気付いていない。
幾日も村を探して、見つけては近づくが最初の村と同じ目に会う。
それが何度も何度も繰り返される。
「どの村でも呪い持ちと言われる・・。それが原因なのだろうが、呪い持ちとは一体?」
せめては忌み嫌われる理由が分かれば、何とか出来るのではないかと思う。
しかし話を聞こうにも村人は耳を傾けず、見た瞬間に石と暴言を投げつけてくる。
「一体これは何なのだ・・。もしや善悪を知る木の実を食べた結果なのか?」
彼自身の他の世界である事を、知らないが故の考えと独り言であった。
言われない差別も、自分が行った行動が招いた物ではないかと、深い後悔の念に苛まれる。
深い溜息と共に天を仰ぎ、首を振って今までとは違う方向へと歩き始める。
どの位森の中を彷徨い歩いたか分からないが、目の前に一軒の小屋を見つける。
「あそこに誰かいるだろうか?」
そして脳裏に、村々で受けた仕打ちが思い浮かぶ。
しかし、それこそが自分が犯した罪の結果であり、償いなのだと思う。
「誰かな?」
中に入ろうと入口に近づくと、不意に後ろから声がかかる。
驚いて振り返ると、そこにはローブを深く被った人物が立っていた。
「我が家に何の用かな?」
小屋に近づくまで、周囲には誰かが居た様には思えなかった。
「申し訳ない。別に悪戯などをするつもりはないのだ・・」
「ん? その痣・・。お前、呪い持ちか? 近隣の村々の騒ぎの主は、お前か?」
「ッ!? 何かご存じなのか!?」
「同病相哀れむと言うやつか・・。ふん、中に入ると良い」
元天使を誘い、自ら先に小屋へと入って行く。
ローブ姿の人物の後に従って、続いて小屋の中に入る。
小屋の中で、ローブを脱いだ人物の姿に驚く。
「貴方は・・、一体・・、何者か?」
「うん? 魔族を見るのは初めてか?」
真っ黒の全身タイツを身に纏った様な、のっぺりとした人物がそこには立っていた。
頭の部分に黒い大きな目と口と角しか無く、口から牙の様な物が生えていた。
「魔族? そんな馬鹿な!?」
自分が落とされた世界には、魔族など存在していなかった。
「まあ普通、魔族は砂漠の果てに暮らしていると思われがちだが・・」
「違う! この世界には魔族など居ないはずだ!」
「・・この世界? まるで別の世界の事を言っている・・、その痣・・もしかして」
魔族と言う人物は、腕を組み、右手で顎を摩りながら考える。
「立っていては何だ、座れ。色々と話をしようじゃないか」
口がにやぁーと言う形になると、床に座り元天使にも勧める。
元天使も言葉に従って座る。
「色々聞きたい事があるだろうが、先ずはこちらの質問に答えてもらって良いか?」
「うむ、分かった。答えられることは全て答えよう」
確かに聞きたい事は山の様にある。
しかし目の前の人物が何らかの答えを持っている様なので、まずは相手の話を聞く事にする。
「そうだな、まずはお前さんの事を教えてくれ」
「私の名前は・・アザゼル。元は・・、元は・・」
そこから先の言葉が出てこない。喉を押さえたり、続きを発しようとするが出てこない。
「ふむ、やはり記憶障害が出ているか・・」
「記憶・・、障害・・?」
自分の事を話そうとする以外は、言葉は自然に出てくる。
記憶障害では無い。自分の事に付いてしゃべる事が出来なくなっている様だ。
その姿を見て、魔族と自称する人物がしきりに頷く。
「自分自身の事が分からない。魔族を知らない。全身の痣。
多分、お前さん異世界召喚されたんだろう」
「異世界・・、召喚・・?」
その言葉に思い当たる節がある。
助けの必要な世界の管理者たちが、お互いの人材をやり取りして、お互いの世界を救うシステムだ。
「異世界召喚の影響で、記憶を失ったり、紋様の様な、文字の様な痣が出る事がある」
自分の置かれた状況に、ピッタリと合う答えを目の前の人物は導き出す。
「世界が違えば、呪いの事や魔族を知らなくても仕方が無いしな」
「呪い!? それは一体・・」
「落ち着け。ちゃんと説明してやるから」
慌てて立ち上がろうとする、アザゼルを押し留める魔族。
「この世界の古き伝承に、最初の殺人を犯した者が、神の怒りに触れて全身に痣を付けられたと言う物がある」
「神の怒り・・」
自分の胸にチクリと刺さる棘がある。
「故に人々は、肌に痣がある者は神の怒りを買った者、呪われし罪人として、関わるのを避けてきた・・らしい」
「・・らしい?」
魔族の憶測的な話の終わり方を聞きい咎める。
「すまないけど・・、僕も人間の事を調べているんだが、何しろ人々の中に入れないから、確かな事として話をする事は出来ないんだよ」
先程の魔族の言葉を思い起こす。
「同病相哀れむと・・?」
「ん? うん。僕ら一族もこの成りだ。愚かにも人間たちと殺し合っているんだよ」
「・・では何故、私を助けたのだ?」
人間と魔族が争っているならば、人間である自分を懐に入れる事はないと思ったのだ。
「そうだねぇ・・。人間が食物を得るために動物を殺す事がある」
「ああ」
「魔族も生きるために、人間を喰らわねばならない者がある」
「なっ!?」
「何を驚いているんだい? 人間も動物じゃないのかい? 本来は弱肉強食の理だ。まあ、食べられるとか言われると嫌な物だろうけどね」
確かに人間とて、弱ければ動物たちの餌になり得てしまう。
「逆に、その動物の事を深く知ろうとする人間が居れば、人間の事を深く知ろうとする魔族が居ても、何の不思議も無いと思うけど?」
そう言えばここは人間の領域・・、魔族は砂漠の果てに暮らすと・・。
見つかれば殺されるかもしれないのに、わざわざ人間の住む近くに居を構えている。
魔族はそういう人物の一人であると、告げているのだ。
「人間には人間の、魔族には魔族の、善悪と言う物が存在する。
種族間の価値観の違いであり、地域、文化、環境によっても同種族の中で違うんじゃないかな?」
「そう・・、なのだろうか?」
ならば自分が天使だった頃、人間にした事は何だったのか・・
「君が魔族と一緒に居るのが嫌でなければ、しばらくここに留まると良い。
この世界の事を少しは教えてあげられるし、生きる術を身に付ける事もできるだろう」
「私はて・・人間だ。構わないのか?」
「だからさっきも言ったけど、価値観の違いって言うのは同族の中にもあるんだ」
その言葉にアザゼルは少しの間考えて、深々とお辞儀をする。
「ご教授、よろしくお願いする」
「うむうむ」
多分、にこやかな表情なのだろう、を浮かべて何度も頷く。
「そう言えば、人間の価値観では・・、まず服が居るのか?」
ふと思いついた言葉に、お互いにこの世界の人間の価値観が分からない魔族と元天使も首を傾げるしかなかった。
どのくらいの期間か分からないが、魔族スミナユテと、この世界について学んでいく。
1日は16時間(昼8時間、夜8時間)、8日で1週間、8週間で1カ月、8か月で1年とされている。
この世界は巨大な円形上の大陸が一つあり、周囲を海で覆われている。
海の果ては滝となっており、地獄に至るとされている。
この大陸には人間、魔族、獣人、エルフ、ドワーフの五つの種族が存在する。
大陸の中央に人間の王都があり、北側の海までは人間の領域である。
西に広がる森林はエルフの領域で王国がある。
東の山脈はドワーフの領域で王国がある。
南の砂漠には魔族の領域で王国がある。
大陸中の草原に獣人たちが暮らし王国もある。
各種族は自分の覇権を争って、少しでも領土を広げようと、常に激突している。
「悪いけどそれぞれの種族には、文化とか法律とかあるし、買い物をする通貨があったりなかったりするけど、さっぱり分からないから」
「それは、仕方あるまい」
実際にその国で、その場所で、人々と暮らしてみなければ、分かるはずも無い。
野獣と呼ばれる動物と、モンスターと呼ばれる存在に付いても学ぶ。
森の中でモンスターを倒し、アザゼル自身の力を高め生きる力を身に付ける。
「知れば知る程、君の体は面白いね。
食事も睡眠もいらない。
余程のモンスターじゃ無ければ傷一つ付けられない頑強さ。
傷ついても、すぐに直ってしまう回復力。
何よりも、どのモンスターも一撃・・、多くても片手の指で事足りる。
正直、召喚の影響かどうかは分からないけど、とんでもないね」
アザゼルの能力の特性を熟知し、十分に使いこなせる様に訓練する。
「うーん、モンスターなら構わないけど、同族との戦いのために、力をセーブする事を学んだ方が良いね。やはり皆殺しって良くないだろう?」
傷つけない戦い方や、意識して力を抑える術を学んでいく。
「やはり種族の違いが大きいけど、基本的な治療な方法しか教えられないね」
流石に種族が違えば治療方法も違い、知識程度の技術しか身に付けられない。
アザゼルは多くの時間を魔族と過ごし、多くの事を学んでいく。
やがてスミナユテに教える事がなくなり、生きる能力が十分に身に付くとアザゼルに、ある提案をする。
「なあ、アザゼル」
「何かな、スミナユテ殿?」
淡々とモンスターを一撃で葬りながら応える。
「そろそろ僕が召喚できるモンスターの種類が尽きる」
「ん? どう言う事だろうか?」
モンスターは次から次へと生まれ、決して居なくなる事はないと聞かされている。
「僕が召喚できる最強のモンスターでさえ、一撃で倒されると・・ね?」
「つまり、これ以上の強さを持つモンスターは存在しないと?」
「いや、もっと強いのは居るよ? でも僕は召喚できない」
「そうか、ならば仕方あるまい」
お代りと言わんばかりに、荒れ地を指さす。
アザゼルのハンドサインに、黒い眼から光が失われた様になる・・
「そこで話があるんだよ」
「何かな?」
仕方なく、百体近いモンスターを召喚する。
これ位ないと、アザゼルの訓練には役に立たなくなっていた。
「この森を出て、世界を回ってみたらどうかな?」
「世界を・・、回る・・?」
モンスターを倒す速度が、ほんの少しだけ鈍る。
「君には、僕が持てる知識を与えた」
「感謝している」
「モンスターに付いて教え、戦いとはどういうものかも教えた。
また手加減すると言う事も、応急処置の方法も教えた。」
「感謝している」
「そして僕には、君に教える事は無くなった」
「そうなのか・・」
召喚されたモンスターを全て倒すと、スミナユテの方に向き直る。
「申し訳なく思っているよ」
「何がだ?」
「あくまでも僕一人の知識しか、教える事が出来ない事を」
「全てを知りつくす事など、誰にもできない事だと考える」
済まなそうにほほ笑む魔族に、真面目な表情で答える。
「ありがとう」
2人の間に、僅かな沈黙の時間が流れる。
「君には世界を見て、肌で感じて欲しい。僕が教えた事と実際に世界に起きている事は同じなのか、それとも違うのか」
「比べる事で何か分かるのか?」
「分からない・・、分からないから世界を回って欲しい。君が旅の中で感じた事を、もし再び僕と出会えたら教えて欲しい」
「それでどうなる?」
「もしかしたら・・、戦争を無くせるかもしれない」
スミナユテの言葉に、アザゼルは驚きの表情を浮かべる。
彼が人間を知りたいと言う理由・・、戦争を無くすためだった事を知る。
そんな大義の中、やりたい事を堪えて自分との時間を優先してくれた。
呪い持ちでありながら・・
人間と言う違う種族と知りながら・・
「約束しよう。世界を回り、私が感じた事をスミナユテ殿に伝える事を」
「まあ、無理はしなくて良いよ。出来る範囲で良いからね」
苦笑いを浮かべながら、軽い気持ちで世界を旅する様に助言する。
アザゼルは、スミナユテの勧めに従って、世界を旅するための準備を始める。
とは言っても、衣食住の全てをスミナユテに助けてもらっていた彼に出来る事は少ない。
「で、これから旅立つ友に、僅かばかりの選別を贈ろうと思う」
「何から何まで済まない」
「先行投資と思ってくれ。あとでキッチリ取り立てるから」
にこやかに微笑むと、アザゼルの額に右の掌を当てる。
「何を?」
「旅に際して役に立つ魔法だよ」
「魔法?」
「うん、じっとして居てくれればいいよ。『倉庫』と言って、無限に収納でき、中の物は時間が経過しない」
「時空間魔法!? しかも教授の魔法? そんな物を、何故君が?」
時間と空間を操作できる能力は、天使が選んだ人間に贈るギフトと呼ばれる能力の一つでもある程、特異な魔法である。
それを与える事ができると言うのは、更に稀な権限の委譲、継承魔法や教授の魔法と言われる。
「分からないね。ただ使えるし、人に施す事が出来る」
手を額に当てたまま、肩を竦めてみせる。
「さあ、終わったよ。実際に使えるか試してみてくれ」
そう言うと、次々にアイテムを用意してくる。
「これは?」
「君の特訓に際して召喚したモンスターからドロップしたアイテムだよ。きっと旅先で役に立つ事があると思うから持っていくと良い」
「感謝する」
実際に『倉庫』を意識すると、アイテムの出し入れや、何が入っているか分かる。
「それから・・、このアイテムの一部を拝借して作ったみた」
指先から肩まであるガントレット、つま先から太腿まであるグリーブを取り出す。
「体は良いとしても、服の手足の部分は意外に破れやすい。
ここまで頑丈な物はいらないと思うけど、メタルバグの殻だから堅くて軽いぞ」
四肢の痣をこれで隠す様にと、わざわざ作ってくれたようだ。
「何から何まで・・、すまな・・」
「あっ、まだあるから。感謝するなら纏めてお願い、面倒臭いから」
都度、感謝の言葉を告げようとするアザゼルを、本心からの気持ちで遮る。
「それから・・、コレ何だけど・・」
取り出したのは、真っ白な仮面・・。
目の所が丸く開けられ、ほうれい線に沿って口の周りが切り落とされている。
「正直見た目もどうかと思うけど・・、顔の痣を隠すのは、これしか思いつかなかった」
黙って受け取ると、自分の顔に当て水鏡に姿を映す。
「僕的には有りなんだけど、人間的にはどうなのかなぁ・・」
「これで良い。これで迫害を受けるなら・・、そこを去るだけだ」
仮面をしていなければ、結局は痣で迫害される。
何よりも友の贈り物なのだ。
アザゼルの言葉に、困った苦笑いを浮かべる。
装備一式を身に付け、贈られた物を全て『倉庫』にしまい、仮面を着ける。
アザゼルが扉を開け外に出て、スミナユテがその後に続く。
「町に着いたら、冒険者と言う登録をすると良い」
「何故だ?」
「登録すると、身分証明書の様なカードがもらえると聞いた事がある」
「身分を証明するものか・・」
確かに今の自分には何もない。
「分かった。必ず登録する様にしよう」
「ただ・・」
「ただ? 何だ?」
「町と言う場所も呪いに関して、否定的な可能性もある。その姿に不信感を持たれて・・」
「その時はその時だ。その町を直ぐに離れれば良い」
「すまんな・・」
人間と魔族は戦争中だ、幾ら人間の事を調べると言っても限界はある。
その状況下で、魔族が人間の感情や価値観、法律やルールについて熟知する事は不可能だ。
「それから手ぶらでは怪しまれるだろうから・・」
手に持っていた、アザゼルの身長程の大剣を渡す。
「それから、これが本当に最後だ。この森周辺のモンスターから集めていた物で、どれほどの価値があるか分からないが」
皮袋を渡され、中を見ると金銀銅の硬貨が入っていた。
「本当に感謝する」
「感謝は言葉じゃ無くて、行いで示して欲しいね」
「分かっている。必ず戻ってきて、世界の姿を伝えよう」
「うんうん、頼むよ」
お互いに別れを告げ、アザゼルは街道を目指し、振り返り振り返り、森の中を進んでいく。
スミナユテも、アザゼルの姿が見えなくなるまで見送り続ける。
完全に見えなくなってから、しばらくすると魔族スミナユテは手を振う。
魔族と小屋のあった空間が歪む・・
『よろしかったのですか?』
不意に声が響く。
しかし周囲には声の主が居ない。
「世界への直接介入は禁止されているけど、自分が送り込んだ存在への介入については、何にも言われてないわ」
歪みが収まると、一柱の天使が立っていた・・、いや宙に浮いていた。
「ましてや呼び寄せた張本人の責任だと思っている位よ」
『差し出がましい事を申しました、我が力天使』
アザゼルが見えなくなった、ずーっと先を見続けながら呟く。
「種まきは終わったわ。あとはどのような実を付けてくれるかしら?」
正に天使の微笑みを残して、忽然と姿を消す。




