魔王の国 執事
私は、その部屋から出る。
アルの悲痛な叫び部屋の中からが聞こえる。
もう、喋ることは何もない。
私はこの国の主なのだ。ヒト一人の重さとこの国を天秤に掛けることは出来ない。
何度も言った。心の中で唱えた。
そんな事は分かってる。分かってる。分かっているって・・・
魔王としてこの国を託された者として・・・
と、私は足早に廊下を歩く。考えるな・・・考えるな!
しかし、城の庭がやけにざわついている。廊下をすれ違う部下たちが足早に通り過ぎる。
わたしは、そのうちの1人に話しかける。
「おい、これは何の騒ぎだ?」
「はい、戦の準備をと執事のアルバーノ様より・・・」
私は、部下たちを睨みつけ言った。
「アルバーノが?何のために・・・まあ良い。私の部屋にアルバーノを呼んでくれ。」
「「「はは!」」」
部下たちはお辞儀をし足早にその場を立ち去る。
私は部屋に戻るなり、顔を洗う。手で何度も水をすくい。顔を洗い鏡を見る。
「私は、強い。強い魔王だ。・・・そう、私は強い。」
支度をし、椅子に座り執事を待つ。
執事のアルバーノは私の支度が終わるのを待っていたかのようにドアをノックをコン、コンとノックをする。
「入れ。」私はそれだけ告げる。
「はい、魔王様。御用を承り参上いたしました。」
執事のアルバーノは私の前で平伏す。
「庭先騒めいてる。兵や部下が戦の準備と言っている。これは、何の騒ぎだ?」
私はアルバーノに問い詰める。
「はは! 戦の支度です。」
アルバーノは、さも当然の様に答える。
「おい、誰の指示だ?」
私は睨みを利かす。アルバーノは答えない。
「おい、如何いうつもりか!と聞いているのだ!」
私はアルバーノに対して吠える。
私の怒りは頂点に達していたのだと思う。徐に、剣を抜きアルバーノの首に当てる。
と、コンコンとノックをする音が聞こえる。
「おい、後だ。あとにしろ!」
私は答える。
が、しかし、私の答えを無視して将軍たちが入ってくる。
「ほう?お前たち・・・謀反でもするつもりだったのか?」
私の怒りは更に膨らむ。
先頭の将軍が平伏して口を開く。
「恐れながら、魔王様。出兵のご指示を!」
更に、他の将軍・兵士たちが一斉に叫ぶ。
[[[[ かの少年を救う機会を、私たちにお与えください。]]]]]]
私は唖然とする。
それを見て、執事のアルバーノが口を開く。
「これは、魔王様の言葉と同じ、我が国の執行権。六大将軍の総意によるものです。」
なにゆえ・・・なにゆえ、こ奴らは、大切な執行権を使う。
私と同じ権限は一生に一度しか使えない大切な権利だ。
それを、どこの誰とて分からない少年に使うなどと・・・・
アルバーノが私の顔を見ながら、喋る。
「魔王様・・・私達は貴方を守るために生きているような存在です。貴方の心を・・・・悲しみから少しでも救えるのなら・・・私達は戦い。喜んで死んでいきます。これは私達の正義を守る為の戦いでもあるのです。」
そこにいる全ての者が私を見て頷く。
「お前たち・・・分かっているのか?これは罠だ。あ奴とて生きているやも知らない。殺されている可能性の方が高い。それでも、それでも戦うのか?」
私の目から涙がつたう・・・私は・・・国の強さををはき違えていたのか?
そして、執事アルバーノが叫ぶ
「全ては、我らの正義のため!」
そのあと、一斉にこたます。
[[[[[[[[ 全ては、我らの正義のため!!!]]]]]]]]]]]]]]
私は彼らを見ながら叫ぶ
「ならば! 付いて参れ! いざ ゆかん 我らの正義のため!」




