小便
「小便が止まらぬ」
俺が朝一番に発した言葉がこれだ。俺は朝起きた後漏れそうではないのにトイレに全力で駆け込み朝一小便をするのが日課である。これをしないと一日にハリが出ないというか自分のキレがなくなり仕事に影響を与える。下らないかもしれないが俺にとっては重要なことだ。その毎日の日課がまさかこんなことになってしまうなんて誰もが想像しただろうか。俺も想像してない。
「どーすれば止まるんだよこれ」
俺はいつまで経っても止まらない小便に苛立ちを感じ始める。かれこれ三分以上はもう出っ放しだ。もちろん自分の意思では止められない、このままでは遅刻してしまうため家が汚れるのを覚悟で出続ける小便を無視して超スピードで寝室にある携帯を取り再びトイレに戻る。
「部屋は汚れるし小便は止まらねえし今日は厄日だな、糞が」
俺はトイレの壁を一発殴る。それでも止まるわけではない、どうすれば良いのか考えるため頭を抱えるが小便が水に当たる音が永遠と流れるため考えもまとまるはずがなく激昂した。
「あああああ!小便うるせーよ!」
埒が明かないので今日の仕事は休むことにする。会社に電話をかけるといの一番に会社に来る課長がいつも通りの声のトーンで出る。この課長は営業ボイスとかないのか。
「おはようございます、○○です」
「おお、○○くんか。こんな早い時間にどうした?」
課長に正直に理由を話す。時々笑を堪えている場面があったが気にするとイライラするだけなので無視を決め込む。課長はそれは奇病だねえだとか困ったねえとか親身のつもりなんだろうが声が笑っていることで悪意にしか感じられない。
「まぁとりあえず救急車呼んだら?」
「わかりました。ご迷惑をおかけします」
お大事になーという声が聞こえた後俺は電話を切った。今日の会社での雑談の話のネタは俺の話になるだろうと想像するとイライラしてきたので再び壁を殴る。ツーコンボだ。
「なんて言ってる場合じゃねえよ」
永遠に出続ける小便を気にしながら救急車を呼ぶため電話をかける。病院の人に事情を話しても中々信じてもらえず精神科を受診されることをお勧めしますとか言ってきたもんだから俺は電話を切り、再び壁を殴る。スリーコンボだ。それから一日中永遠に出続ける小便のことで悩み続け、そのまま疲れ果てトイレで眠ってしまった。俺が起きたのは朝で、トイレで寝たことによって俺の身体は隅々まで痛みが生じ痛さに負けずにトイレから出て朝食を食べ出勤した。
「おはようございます、課長」
「おお、○○くん。アレはなおったのかね?」
課長がはぐらかすように聞いてくるので何のことだろうと思い返してみると昨日小便の件で休んでいたことを思い出した。いつの間にか小便が止まっていることに気付き、俺は歓喜の声を上げ、飛び跳ねた。飛び跳ね回って周りが見えなかった結果机の角に股間が直撃し。今度は本当に小便を漏らすことなってしまった。




