~新たなる出会い(はじまり)~最終話
「はい。オルソセラス候には四人のご子息がいらっしゃいますが、オニキス・オルソセラス殿はその末弟に当られます。しかし、この方はほとんど侯爵家には戻らず、社会勉強の為に諸国を旅しているとか」
クリソコラの答えに、シェルは……
「クンツァイトとオルソセラスでは格が違う! オルソセラス候はクンツァイトより、むしろアクアオーラ寄りの人間だ」
「はい。オルソセラス侯爵はカルセドニー様と交友関係をお持ちでした。年齢差がありますし、息子のように可愛がっておられた……という方が正しいかもしれませんが」
「確かに、クンツァイトのスパイというのは杞憂かもしれないな。ムーカイトに来たのは本当に偶然なのかもしれない。……が、用心するに越した事はない。父親がアクアオーラに近しいと言っても、息子もそうだとは限らないしな。侯爵家にほとんど戻らないというのなら猶更だ! 分かった、あの男は俺が監視する。お前たちは引き続き、クンツァイトの動向を探れ!」
「御意!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
海鳥が鳴いている――
シェルは西の浜辺に立って、一人海を眺めていた。
ムーカイトに留まる事は本意ではなかった。
しかし今は、そんな事を言ってはいられない。
最優先するべき事は、セレスたちを護る事!
その為に自分は此処に居る!!