7 選択
「ココ・ティナ。そこの見知らぬ私も知らない。
あなたの敵でもない。
それに、私の仲間でもない。」
得体の知れない女子は、全く振り返らずに、静かに…冷たく言い放った。
こいつ、落下精って呼ばれてんの?
名前…ではないよな?
うーん。
反応からして、やっぱりこの幼女が追手なんだろう。
って、何で俺は冷静に分析してんだよ!!
「承知。
しかし、これはあくまでも落下精の言い分。
信用に値しない。
本当のことを言え、見知らぬ先輩とやら。」
ほうほう。
なるほど、ココ・ティナはこいつが俺を庇って嘘をついている可能性がある…と。
見た目に反してよく考えるじゃん!
まあ、それにしも。
ココ・ティナの口調は機械的で、得体の知れない女子より冷淡だなあ。
見た目は五才ぐらいの幼女なのになあー。
「まあ、俺は笹原雄介っていうんだけど、皆には七夕って呼ばれてる。
普通の高校二年だよ。
そいつにはさっき会った…助けてもらったばっかなんだよ。」
うん。
これに嘘は無い。
さすが、正直者の俺!
まじ天才!
って、そうじゃなくて!
何で普通に自己紹介しちゃうかなー?
「承知。
ところで落下精。
もう戻る気は無いのか?」
俺はあと先考えず、思わず聞いてしまった。
「あのー、このタイミングで…ごめん。
その、落下精ってこいつのこと?」
あとになって思うが、何手を挙げてまで聞いてんだよ?!
ってゆーか、うっわあーー。
俺ってなんてKYなんだろう…。
このタイミングでそんなこと聞くか、普通?
「落下精とは、笹原雄介、貴方の隣にいる天野原筴果のことだ。
落下精はドレイド学園高校一年二組だそうだ。
説明は以上だ。」
へえ、天野原…ねえ。
聞いたこと無いな。
別に学園で有名ってわけでもないのか。
まあ、いっこしただし知らなくて当たり前か。
「先輩。いえ、笹原先輩。
黙ってください。
ウザいですよ?
それに、ココ・ティナ。
私はもう戻らない。戻りたくない。」
え?!
う、ウザいって?!
酷くないか?!
俺、これでも一応先輩だぞ?
「あんなところ、地獄よ。」
………?
今、ぼそっと?
地獄って言った…?
それにさっきも、戻るとか戻らないとか言ってたけど?
一体何のことを言ってるんだろう?
「承知。
では、改めて落下精の捕獲を試みる。」
え?
嘘?
改めて、試みる…って、天野原を捕獲するってことか?!
「仕方ないですね…。
先輩!」
「は、はい?!」
いきなり声掛けられたらびっくりするじゃん!
「絶対に、絶対にどちらか一つ選んでください。
一、これから一生私に関わらない。
その代わり、一生そこのココ・ティナに追われない。」
え。
「二、これから私と逃げる。
その代わり、この状況が変わらない限り一生追手に追われる。
………さあ、どちらにしますか?」
なんだよ、それ。
「私は断然、一をお勧めします。」
「二、だろ。」
とっさに答えていた。
「え?
え、え?」