6 追手は銀髪の幼女
「何で?」
何で、何でこのタイミングで逃げるなんて言葉が出てくるんだよ?!
やっぱりおかしいよ、お前!
ヲタクだし、アニメ的展開を求めて頭おかしくなったんじゃ?!
「だって、私は追手から逃げるために、屋上から落ちてきたんですよ?」
は?
追手?
逃げる?
屋上から?
ナニそれ。
全くもって理解出来ん。
何そのアニメ的展開?
特殊能力を持って生れてしまった美少女が、特殊能力のせいで追手から狙われる…的な展開?!
すっげえ!
まじすごい!
俺は、俺は…
「俺は今、二次元にいるぞおおーーーーーっ!!!」
「何言ってるんですか?
先輩、もしかしてもしかすると中二病だったりしちゃうんですか?」
…………………。
「今の、無しで…。」
い、痛い…。
痛すぎる。
まじ、俺何言ってるんだよ。
自分で自分が理解出来ん。
こんな恥ずかしいことを、あんな易々と言うような男になったのか…。
なんてこった!!
「落下精を発見。
至急捕獲にうつります。」
――――――――――――まさか…?
俺は、もしかするとこの声の主が得体の知れない女子の言う追手かもしれないと思いつつ、情けないくらい緊張しながらカクカクして振り返った。
隣にいる得体の知れない女子は振り返らない。
声の主の正体に気付いているのだろうか…?
「貴方は誰ですか?
私の敵ですか?
そこの落下精の仲間ですか?」
俺たちの後ろには、背が俺の半分くらいの女の子…幼女がいた。
幼女は、綺麗な銀色の髪をみつあみにしていて、みつあみの先を黒いリボンで結んでいた。
幼女は、髪を結ぶリボンだけでなく、着ている膝上丈のノースリーブゴスロリワンピースも、少しごつめな編み上げブーツも、メイドが付けるようなふりっふりのレースの付いたカチューシャも、皮っぽい感じの手袋も…。
カチューシャのレースのとこ意外、全部黒で揃えていた!!
つまり…。
黒!黒!黒!黒!たまに白ーーーーっ!!
見るからに、「色んな意味で不審者です!」と言わんばかりの格好で…。
…よくここまで来たな。
一応、ここ学園の敷地内だが?