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バカな俺のスパイ伝説  作者: 白 一梅
第一章 地下組織
5/8

第五話

数々の高層ビルが立ち並ぶ北京。

その中の、とある町の地下。

一人の少年が、静かに歩いていく。


・・・・・・・・。

怖いです。

誰か助けてください。


俺は祈りながらも、地下通路を歩いていく。


にしても、広い。


どこまでも続く地下通路を進みながら、俺は疑問に思った。

明かりは、地下通路にそってランプがあるため、そんなに心配する必要はないのだが、

この道がどこまで続くのか。

それが、俺の今の一番の心配事だった。






 ***






「新米スパイ君、頑張りたまえよ。」


この一言を合図に、俺は地獄へと送り込まれた。


そう、中国についてから早々、リムジンから下ろされてしまった。

そして、発せられた一言である。

今回は、中国の企業秘密を暴くとか何とか。

そういうことで、俺はいくつも立ち並ぶうちのビルのひとつに入った。

それは、世界でも、とっても有名な会社である。

囮の俺は、何をすればいいのか、というと、相手の目を俺にひきつけなければいけない。

俺は、たまたまそこらへんにいた会社員に声を掛ける。

もちろん、中国語で、だ。

学年主席の俺をなめるな!

え、なめてました?

まぁ、俺のすごさを思い知るがいい。


「あのー、すみません。」


俺が、さわやかな好青年のふりをして、会社員の男に近づく。

すると、男は俺を見かけてやさしく微笑む。


「どうしましたか?」


ラッキー♪

こういうタイプの偽善者は引っ掛けやすい。

俺も、伊達にスパイの囮生活をやってきたわけじゃない。

だんだん腹も黒くなってきたしなー。

純粋な俺はどこに消えたのやら。

あぁ、一年前が懐かしすぎる。


まぁ、そんなことはほおっておいて。


「俺、北京に旅行にきたんですけど、友達とはぐれてしまって。」


所謂迷子だな、うん。

我ながら古くさい・・・。

まぁ、仕方ないさ。

おい、そこ!

ダサいって言うな!!

あくまでこれは演技なんだからな!


「そうなんですか。 インコミとかで連絡は取れないのですか?」


・・・あいにく俺は携帯なんだよ。

悪かったな、時代遅れで・・・。


「はい、日本に忘れてしまって。」


「日本人なんですか。 中国語、うまいですね。 公衆電話、あちらにありますから、どうぞお使いください。」


ほら、中国語うまいだとさ!

俺、すげー♪

え、なに?

うぬぼれんな?

・・・すんません、うぬぼれてました!


それは、さておき、公衆電話があちらにあります、といって、こういう偽善者人間は道案内してくれるんだが・・・


俺は会社員の後ろについていきながら、ハンカチを取り出す。

そして、それを使って会社員の口をふさぐ。


「・・・? どうし・・・。」


―――バタッ


会社員はその場に崩れ落ちる。

これも古い手だが、睡眠薬を付けたハンカチを男にかぐわせたのだ。


なに? 古すぎ?

悪いな、ボスたちが何にもスパイアイテムをくれないんだよ!!

俺、スパイになったとき、すげー、楽しみにしてたのにっ。

だから、俺は全部自前なんだ!

なんか文句あるか!!


「ふぅ・・・。」


俺は、安堵した。

この睡眠薬、弱いらしくて、たまに効かないんだよね。

でも、これが一番安いし・・・。


え?貧乏?

あぁ、貧乏だよ!!


あたりを見渡してから、俺は会社員を人気のないビルの間の路地裏に連れ込む。

さいわい、誰にも見られていなかったらしい。

俺は、会社員の服を脱がせ始めた。


・・・え? 変態?

ちげーよ!! ただ単に、俺がこいつの服借りて、ビルの中潜入ってわけ!


かくして、服を着替えた俺は(会社員の偽善者さんは、ただいま服を着ていないのだが、許せ。)ビルの中へと入っていく。

ビルに入るときに、会社員カードを確認された。


この会社、顔写真はないのなー。

セーフ!

顔写真ありだったら、一発でノックアウトだもんなー。


俺は、嬉々としてビルの中に入っていった。


ビルの中は、凄かった。

あちらこちらにドアがあり、セキュリティーシステムが厳しい。

俺は、どうしよう、何をしよう、と迷った挙句、囮だったということを思い出す。


どっかのセキュリティーシステムに引っかかればいいのか。

そうしたら、みんなの注目が俺に集まる。


俺は、いやいやながらも、どこか重要そうな場所を探す。

会社というものは、来客のために、必ず窓口付近に会社の案内板みたいなものがある。


俺が、窓口付近で案内板を探していると・・・。


めっけ☆


俺は、自分では極力抑えているつもりだが、はたからみればニヤニヤしているだろう

笑いを浮かべながら、案内板を一通りみる。


勿論、案内板に企業秘密のありかなど書いてあるわけないが、それはボスたちの獲物。

俺が狙うのは、小物をとりにいく間にどれだけ敵の目を集められるか。


俺は、一通り案内板を見た後に、地下に行くことにした。

地下には、ここの企業の研究所があるらしい。

俺は、ボス達が研究所を狙っているかもしれない可能性を考慮に含め、早めにセキュリティに引っかかることにした。


・・・もとから、引っかかる以外何もできないんだけどね。


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