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バカな俺のスパイ伝説  作者: 白 一梅
第一章 地下組織
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第四話

翌日、俺は親になんて言えば、中国に怪しまれずに行けるのか、と言うことをくどくど考えながら

学校に向かっていった。


が、そんな心配しなくてもよかったということを、のちほど俺は知ることになる。




「おーいっ、誠人!! おはよっ。」


友達の倉野雅くらのみやびが、電車を降りた駅のホームで声をかけてきた。


「おぅ、おはよー。」


俺は頭の中であれやこれやと考えていたため、思わずそっけない返事になってしまう。


「なんだ、誠人。 元気ないなー。 ・・・ってわりには、今日は電車、空席あるのに立ってたよね。」


そう、俺は電車で空席があれば必ず座るヤツなのだ。

優先席だろうと・・・。

何? お年寄りに譲れ?

俺だって、腰痛ひでーんだよ!


・・・って俺、そういや今日、座ってないじゃん!

奇跡、俺の腰痛も治ったのか!


「おぉ! 今日は腰がいたくねー!」


俺が目を輝かせながら言うと、雅は何故か大爆笑しながら、よかったねーと、俺の腰を叩く。


―――ボキィッ


あっけなく、俺の願いはついえました。


「・・・・・っ。」


あまりの、腰の痛さに声も出ない俺。

その隣では、雅が、何があった?って顔をしている。


・・・お前のせいで、俺はいま腰痛の逆襲を受けているんだよ!

くそっ、覚えてろよ、雅! 必ず復讐してやる!!


俺は、雅に八つ当たりしながらも、学校へと腰をさすりながら向かっていきました。



 

 *** 




「・・・・・。」


放課後、校長室に呼ばれた俺は、何も悪いことした覚えねーぞ!と眉をひそめていた。

早く家に帰りたかったため(今日は見たい番組があるんだよ!)、いそいそと職員室に向かっていく俺。

俺の学校は、私立の男子校で結構広い。

高1のはじめの頃は、学校の中で迷ったことさえある。

まぁ、そんなことはほっとけ!

要するにこの学校は広いんだってことを言いたかっただけだ。


校長室の前に着いた俺は、早く帰りてーな、と思いつつも、表面上では落ち着きを払う。

俺、焦れば焦るほど上辺だけ冷静になっちゃうんです。


―――コンコンッ


校長室の前で落ち着きを払って、ノックをする。

そんな俺を、校長室の隣の職員室に用のある奴らが、どうしたんだろう、と興味津々な顔で見てくるのを

俺は完璧に視線からシャットアウトする。


「入りたまえ。」


・・・は?


聞こえてきたのは校長先生の声。ではなくボスの声でした。

俺は、ゴクッとつばを飲み込む。

いきなりすぎて、心臓がはじけるかと思ってしまった。

俺は、伸ばしていた背筋を更に伸ばしながら、ドアノブに手をかける。


「失礼します。」


そう口にして、ガチャッと言う音を立てながらドアノブをまわした。

緊張する。

ボスがいる。

俺は、今度はどんな拷問を受けさせられ・・・、どんな仕事を依頼されるのだろうか。

俺は、冷や汗をかきながらドアを開いた。





 ***





「失礼しました。」


校長室から出てきた俺の手には、一通の封筒が握られていた。


校長先生からの話はこうだった。


『優秀な生徒を、中国に行って全国の優秀性と交流させるためのプロジェクトに、実に名誉なことにわが校から

君、藤城誠人君が選ばれたのだよ。

あぁ、こちらは教育委員会のすばらしいお方だ。

挨拶しておきなさい。』



かくして、俺の手に握られている封筒とは、親のサインを書くための書類やらなんやら。

ボスもすばらしいね。

さすがスパイだよ、うん。

校長先生が媚び売りまくってたね。

いやー、善良な一般市民までだますなんてあくどいよね、ボス。

純粋な俺にはとてもまねができないよ。


というわけで、俺が懸命に頭を絞って考えていた言い訳は全部パーになりました。

さようなら、俺の努力の結晶よ。


・・・何? お前、優秀な生徒に入るのかって?

あぁ、俺、これでも学年主席だからな。

あ?信じられない?

俺はな、やればできるこなんだよ!

え、そう言ってるやつが一番危ない?

・・・俺は本物のやればできるこなんだ! ほっとけ!


まぁ、とりあえず中国行きの言い訳はどうにかなったんだ。

結果オーライだからいいじゃないか。


・・・全然、よくないがな、全体的に見れば。

俺は、囮になるためにわざわざ中国に行こうとしているんだからな。


飛んで火に入る夏の虫


あぁ、まさに俺のことを表しているような句ではないか。

地獄に向かう バカな俺

・・・悲しすぎる。


いや、でも生きていることが奇跡なのだから、喜ぼうではないか!


一人、落ち込んだり、自分を励ましている下校中の俺は、周りの多くの人から

変態を見るような目で見られていました。


その後、家に帰った俺は更に落ち込んでいましたトサ。




 ***




家族に了承を得た結果、答えはOKでした。


何がって?

地獄・・・中国行きの件だよ。

家族がだめって言えば、いかずにすむかなー、とちょっと期待していましたが、

家族があっさり承諾したうえに、ボスに『男に二言はないってことは、知っているよね。』と

口元に笑みを浮かべておっしゃられてしましまして・・・。


俺は泣く泣く、中国というなの地獄へ向かうことが決定いたしました。




 ***







次の週の月曜日。

俺の家の前には、黒のベンツの地獄行き・・・、中国行きの車が止まってました。

だれか、俺に救いの手を差し伸べてくれる優しい人はいないのかな。

俺は、ボス達にあえなく連行・・・、仕事場へと届けていただきました。


あぁ、俺の人生はどうなってしまうんだろうか。

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