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45. 大丈夫だから!



 こ、こ、腰が痛い。


 ある種のデジャヴを感じながら、しかし自身の隣で眠る男の満ち足りた美しい寝顔にこの世の全てを許した。ああ、本当にカッコ良い。世界で一番イイ男だよお前は。いてて。


 この幸せな気持ちを抱えたまま二度寝を決め込もうと思ったが、控えめにドアを数回ノックする音が耳に届く。仕方なくベッドから這い出て、衣服を纏った後ドアの方に向かった。


「リオナです、ユウマ様」

「あー……」


 ドアをほんの少し開けて応対する。今部屋の中に入られると、流石にちょっと気まずい。


「……ユウマ様、ナルシス様が貴方に伝えたいことあると、邸の外でお待ちになっています。どういたしましょうか?」


 察してくれたのか、リオナは必要最低限の言葉のみをその口から発する。うーんどうしようか。


「応接室に通してやれ、リオナ」


 うわびっくりした。後ろを向けば、未だ眠そうな顔をしたシュルツが自身の背後に立っている。全く気配を感じなかった。


「私が出る」

「いや呼ばれてるのは俺なので……」

「まだ体も辛いだろう? 私から事情を説明する」


 体が辛いのはシュルツのせい……いや今回は俺のせいでもあるか。普段であればその言葉に甘えたかもしれないが、今回は少し考えた後口を開く。


「ダメです。ナルシスは貴方に明確な好意を抱いてる。彼と二人きりになるなど、俺が認めません」

「……」

「あとシュルツ様の寝起きの姿がセクシーすぎるので、尚更彼に見せたくない」

「……分かった。リオナ、あとは頼む」

「あっ、ハイ……!」


 その後、俺は腰をさすりながらリオナと二人、応接室までの道を歩む。始終リオナが何か物言いたげな顔をしていたので、少し悩んだ後に話を振った。


「どうかした?」

「い、いえ……その、ユウマ様は本当にシュルツ様のことがお好きなのだと思って」

「……あんま表に出すと、鬱陶しがられるかなぁ」

「まさか! シュルツ様もいたくユウマ様のことを好いておられますから。時折ハラルド様さえ愚痴るほど、殿下はあなたに夢中なのですよ」


 リオナはそう言った後、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。


「本当に……お二人は仲が睦まじく。ええ、良いんですよユウマ様。あなた方の幸せが俺たち臣下の幸せです。ですが……その」


「強いて言えば、ここ最近のユウマ様のことが心配です。あの、本当に大丈夫ですよね? ずいぶんと……長く続けられてるようで、お身体も辛そうですが。もし王子に無理を強いられているなら俺から話を」

「大丈夫! 本当、リオナが心配するような事態じゃないから」


 ま〜〜〜そりゃね。はい。曲がりなりにも貴人の立場にある以上、誰かしらが常に部屋の外を警備をしているのは至極当然のことではあって。


 ふと、今までの自身らの夜の営みが頭をよぎる。

 …………大丈夫。うん、大丈夫だよな。多分、まだ。そう半ば自身に言いきかせるよう、俺は脳裏でその言葉を反芻した。

 

 

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