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40. 死地再び1



 シュルツ王子が行方知れずとなった知らせを聞いて、すぐさまダミアンは腕の刻印を起動させ、そこにロミアスが呪文を重ねがける。


 刻印は、元々シュルツの護衛をしていた彼が、主人との連絡や現在地の確認をするために使用していたのだという。今回は遠隔での伝達魔法の媒体に利用していたそれを、本来の用途に書き換え直す。


「生体反応あり。方角は北東。これは……まさかシェルフ山岳に?」

「もう一つの知らせにあった場所か。一体誰が」


 シュルツが襲撃された知らせの後、次いで届いたのはグロリース湖北方にあるシェルフ山岳にて、魔物が大量発生しているという知らせだった。

 先遣隊からは「知能持ちの可能性あり」と報告があり、急ぎゼルフィ王国の方で調査を進めているが、場合によっては他国への招集がかかるやもということだ。


 ロミアス曰く、今の所シュルツの魔力反応は正常に確認でき、命に別状はないだろうとのこと。しかしもし、そんな魔物だらけの危険な場所に連れて行かれでもしたら。


「俺も行く」

「なりません、ユウマ様」

「ではダミアンさんとロミアスさん、二手に分かれて動くつもりですか? シュルツ王子がこうなった以上、警備の手薄になった俺が狙われる可能性もある。固まって行動した方が良いでしょう」


 俺の言葉に、ダミアンがグッと言葉に詰まる。少なくとも間違ったことは言ってない筈だ。


「……ダミアン殿。ユウマ様の言う通りだと思います。リオナ、伝達用の腕輪を渡しておきますから、何かあればこれに魔力を込めてください。急ぎグロースの邸に向かってハラルド様と父上……フラミスに連絡を」

「え、アリエス様の邸でなく……?」

「今は恐らくアリエラ様を迎えに行ってる頃でしょう。シェルフ山岳はグロリース湖からも近い。万が一があってはいけませんから」


 そう言う間にも、疾馬の準備が出来たと従者が告げる。事態は刻一刻を争うのだ。短杖と長杖を腰に括り、馬車に乗り込む最中ロミアスが口を開く。


「ユウマ様は我々の側から離れぬよう。貴方の言うよう敵は……けして魔物だけとは、限らないのですから」



 上空を飛ぶ馬車の中で、俺はひたすら神に祈るほかなかった。

 花女神でも、聖教会のおえらい神様でも何でも良い。どうかシュルツが無事でいますようにと。



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