表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/45

【番外編】シェルフ山岳



 シェルフ山岳中腹。近隣の村に駐在するゼルフィ王国兵が定期的に訪れ、山内の魔物の状態や生息数を調査するため滞在する小屋がそこにある。


 前任が山岳に向かってから二週間、のろし火による定期連絡が、二日前と少しを堺にふつりと途絶えた。後任の自身らは、昨日から異変を察知し拠点の村を出たものの、いまだに小屋の方からは煙の一つも上がりはしない。最悪の事態を想定し、気を引き締めるよう背後の新兵達に伝える。


 そこから一時間。ごつごつとした岩肌の広がる景色から、ようやく開けた平らな場所へと出た。そこにぽつんと佇む一軒の小屋と貯蔵用の倉庫。通常であれば魔物避けの結界が張られている筈が、全て破壊されている。


「……第二分隊は今すぐ村に戻り、伝達係に現況を報告せよ。我々は今より調査に向かう」


 背に汗が伝う。一つ残らず叩き壊された結界用の魔封石。強力な魔物が現れたのやもと思ったが、状況を見るにおそらく「知能持ち」の仕業だ。それかもしくは。


「う、げえぇ」


 先立って小屋の中を確認させていた新兵が、扉から這い出て嘔吐する。次いで青い顔をした三年目の兵が、こちらへと走り来て報告する。


「駐在兵の四名。全滅しています。全員魔物に食われたのか激しく損壊しており、遺体のうち三名はすでに腐敗が進んでいる状況です」


 妙だと思った。普通に考えれば兵四人が小屋内に立て篭もるも、知能持ちの魔物が一つ一つ魔封石を破壊し結界を解除。小屋内の兵を残らず捕食したというところか。しかしそう考えると一点、辻褄の合わない箇所がある。もしや。


「うわああァ!」


 背後から部下の悲鳴が響き渡る。咄嗟に槍を構え振り返ると、そこには赤い鱗を持った小型の亜竜。フレイムリザードが二体。


 ああ、これは終わった。

 頭上を見れば、更に一、二体と崖上から降りてくる亜竜の姿。


 第二分隊は、今頃山を下り村へと向かっている道中の筈。

 ならば自分達にできる事は。


「……総員、戦闘体勢に入る! こいつらは致命傷さえ入れば我らでも殺せる相手。喉元か腹を狙え! 一撃ではまず足りぬ。二人一組で続き急所を突いて確実に仕留めるのだ」


 その言葉に、すぐさま反応出来なかった新兵の一人がフレイムリザードに腹を食い破られる。

 先ほど崖から落ちてきた一匹が口から炎を噴き、その火の粉が小屋に引火した。


 戦場と化した山中。ここで我々が踏みとどまらなければ、山を降りた魔物の手により多くの命が奪われるやもしれぬ。あの麓の村には、嫁入りした自身の妹とその夫、五人の子供達が暮らしている。絶対にここを通す訳にはいかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ