本因坊の画像をすべて選択してください。
百田尚樹さんの書籍、『幻庵』のレビューです。
皆さんは「本因坊秀策」という名前をご存知でしょうか?
――はい、ご存知ですね。
わかりますよ、ヒカルの碁を読んだんでしょう? ええ、その人で間違いありません。
江戸時代に、囲碁で有名な家元が四つありました。
本因坊家はその筆頭で、その他に井上家、安井家、林家があります。
他の三家とは違い、本因坊の名前はいわゆる名字とは少し違うのですが、まあ気にしないでください。
江戸時代、この四家を中心として、碁の研究が盛んにおこなわれました。やり込み気質の日本人が百年単位でガチった結果、そらもうAIのある現代から見てもガチでやべーレベルに達します。
本因坊家からも何人もの強豪が生まれましたが、全員が本因坊を名乗れたわけではありません。
……さて、ここで問題です!
問1、以下の9人のうち、本因坊の画像をすべて選択してください。
さあ、わかりましたか? これが解けないようでは、あなたはロボットですね。
囲碁好きならわかって当然かと思われたこの問題、えっくすで公開したところ、正答率が低いのなんの。
かくいう私自身、作って時間が経ったので覚えておりません。
理由は明白。そう、髪型です。
本因坊とは寂光寺というお寺に由来する号であり、本因坊家に入る=お坊さんなんですねー。
ちなみにみんな大好き本因坊秀策さんは、上段真ん中です。美少年でしょう?
では、「井上幻庵因碩」という人物をご存知でしょうか。
こちらも江戸時代の棋士の一人で、名人にこそなれなかったものの、囲碁四哲に数えられるものすごく強かった人です。
わかります? このかっこいい名前!
井上幻庵因碩、いのうえげんあんいんせき、ですよ!
字面も読みもめちゃくちゃかっこいい。本因坊なんちゃらとか、しみったれた名前とは全然ちがいます。
読みは、「げんなん」とつなげて読むのが普通ですが、個人的には「げんあん」推しです。
※ちなみに本因坊も昔は「ほんにんぼう」と発音していたそうです。リエゾンってやつですね。こっちがそうなら、げんなんもげんあんでいいんじゃないかと勝手に思っております。
知らないわ、と思ったあなた。実はヒカルの碁にも出てきているのです。棋譜だけ。
実はこの人、本因坊秀策に負けた人なんですよね。
ほら、佐為が消えてヒカルが色々探し回ったとき、佐為の(秀策の)棋譜を見て「上下左右、八方にらんだ、すげえ手だ」って言ってた場面があるでしょ? そのすげえ手を「打たれた」方ですよ。
そんな本因坊家とはいろいろな因縁がある幻庵さんですが、実はプロの間でもファンが多く、百田尚樹さんにより『幻庵』という本にもなっているのです。
こちらもすごく面白いのですが、ものすごく大きな難点が一つ。
――登場人物の名前が似すぎている。
そもそもの「因碩」がまず井上家に引き継がれる名なので、井上家当主には○代因碩がずらっと並びます。それを区別するために「幻庵」と隠居後の呼び名を付けるのですが、物語中は隠居前なので、そんな呼び名は出てきません。
というかそれ以前に、幼名、襲名などでどんどん名前が変わります。
名前の付け方も「師から一字取って」「○○の名前をもらって」などするもんですから、因達、因砂、因淑、とどんどん因が増えていきます。
例えば幻庵さんはもともと立徹と呼ばれ、お師匠さんの名前は因徹でした。その後に因徹は因淑と名を変え、立徹が因徹の名を襲名します。ただ、お師匠さんは昔の「鬼因徹」という名でもちょくちょく呼ばれますし、幻庵の弟子も因徹ですからね。
このあたりの碁が好きで、ある程度名前を知っていると、「えっ、この人が後の○○だったんだ!」って嬉しい喜びもあるのですが。 正直、碁打ちでないと厳しすぎるハードルです。
巻頭に登場人物紹介も一応あるんですけど、正直混乱しまくりでしょうね。
なろうで連載してたらきっと★ひとつ、「登場人物の名前をもう少しわかりやすくしましょう」って書かれること間違いなしです。
そんな『幻庵』ですが、メンツに命をかけていた時代の本当の意味での命がけの勝負、ライバル本因坊家との、段位や名人の座をめぐってのドロドロした争い、また悔しさが本当に生々しく描かれている名作です。
皆さん、ぜひ碁を学び、『幻庵』を楽しみましょう!
さあ、ぜひ!
クイズの回答です。
上段 → 大橋宗桂(将棋)、本因坊秀策、安井算哲
中段 → 日蓮、本因坊算砂(初代)、呉清源
下段 → 本因坊道策、一休さん、本因坊丈和
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が正解でした! みんな、わかったかな?




