第四章 反逆の真実
翌日、私は反逆の罪で牢獄に幽閉される。
「ミレーユ・エリューズ・シャリエール。貴女は王太子に《影の踊り》をかけ国家転覆を企てた。即刻、国外追放を命ずる」
ルイガン宰相の声は冷たく、そして勝ち誇っていた。
だが、私は笑って見せる。
「ようやく本性を見せましたね、宰相閣下」
「……何を?」
「あなたは今、王太子に《影の契約》を再び結ばせようとしている。でも、もう無理ですよ。彼はすでに目覚めた」
その瞬間、突然牢獄の扉が開いた。
マクシミリアン王子が剣を手に立っている。
「ルイガン。お前の罪をここで裁く」
「……殿下、貴方はまだ《影》に囚われている!」
「違う。私はミレーユの言葉で目覚めた。お前がアメリを狙い、国を滅ぼそうとしていることを知った」
そして、アメリも現れた。
彼女の手には星詠の水晶。
「ミレーユ……あなたはずっと、私たちを守っていたのですね」
「ええ。でもまだ終わりじゃない。ルイガンの背後にはもう一人の影がいる」
「……?」
「グレイム先生。あなたも過去の罪を償うと言いました。でも今こそ、真実を語る時です」
闇からグレイムが姿を現す。
「……ああ。私はかつてルイガンと共に《星詠の血》を奪おうとした。だがその力は世界の均衡を崩す。だから私はアメリの力を封印しようとした。でもルイガンはそれを歪め、支配の力に変えようとした」
「……ならば、なぜ今さら?」
「ミレーユ。貴女は悪役としての役割を愛で埋めた。憎まれることで守る。追放されることで未来を繋ぐ。──その覚悟に私は救われた」
そしてグレイムは両手を掲げた。
「《星詠の封印》を解く。だがその代償は──私の命」
「……先生っ!!」
「アメリ、お前は星の声を聞ける。世界を救う鍵を握っている。そしてミレーユ……貴女はその鍵を守る盾。二人が共に歩めばこの国は必ず平和になる」
光が満ち、グレイムの身体が星の塵となって消える。