表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
零の愛寵  作者: Lilly
7/57

5話

「どうだい?このところの零くんは?あぁいや、違ったね。零ではなく、レイくんだったな。今の彼女は」

 有心やレイが所属している組織のボスは、有心を呼び出しそう聞いた。

「どうと言われましても・・・。なんというか、何もしていないといいますか」

「何もしていない?」

 ボスは怪訝そうな顔をした。

「はい。強いて言うなら・・・適当に異能力を操っているぐらいで」


 有心の言っていることは、本当であった。

 有心の家に来てから1ヶ月が経過し、レイは暇さえあれば左手に異能力で作った闇を出し、まるでペン回しのように操ったあと、意味もなく闇を消す、を繰り返している。


「まぁ、それは彼女の本能みたいなものだから、気にしないで」

「本能、なんですか?」

「ああ。異能力は先天性のものと、後天性のものがあるけれど彼女の闇の異能力は先天性なんだ。そして彼女は先天性ゆえに、物心がつく前から闇を作り出しては、いたずらに変形させたり消したりを繰り返していてね。過去を失った今でも、それは変わらないことなんだろう」

 ボスの話を聞いて、有心は思わず質問をした。

「物心つく前のレイを・・・零を知っているんですか?」

「ああ」

 あっさりとした口調のボスに拍子抜けしながら、有心は言った。

「え?それって、どういう・・・?」

 有心の頭の中には、レイがボスの子供であるかも知れないという可能性が出てきた。

「あぁいや、違うよ。レイくんはボクの子供じゃない」

 有心の考えに気づいたのか、聞き慣れている質問なのか、ボスは口元だけ笑いながら答えた。

「レイくんはね、知人の子供で預かってほしいと頼まれたんだ」

 すっと目元を細めながら話すボスに、有心は今日の目的を思い出した。


「あ、ボス」

 ボスと話していると、毎回目的を忘れてしまうのが困ることだと有心は常々思う。

「ん?なんだい?あぁ、もしかしてレイくんのことに関して話があるのかな?」

 そんな有心を見透かしたのか、ボスは朗らかに笑う。

「そうなんです。レイが過去を取り戻すまで、レイに任務を与えるのはやめていただけませんか?」

 この前、レイと話していたときのことレイが思い出したように言ったのだ。


「もしかしたら、ボスはワタシに任務を与えてくるかも」


 その台詞に有心はヒヤヒヤし、急いでボスのところへ行ったのだ。


「あぁそういうことか。ボクは別にいいんだけれどね?()()は、なんというかな」

「彼女?」

「ああ」

 そう言ってボスは有心の後ろを見た。


「どうしたい?レイくん」

 ボスの視線につられるように、有心が後ろを向くといつの間にかレイがいた。

「え、レイ・・・」

「やっほー、先生」

 すごく棒読みで挨拶をしたレイに有心は苦笑いをした。

 棒読みで挨拶をやる意味があるのか分からないところだが、挨拶をしてくれたことに喜ぶべきか、と有心は感情をシフトチェンジした。

「ワタシに任務を与えるか与えないかは先生とボスに任せるよ。ワタシはどっちでもいい」

 レイは真顔でそう答える。

「ボクは、任務を与えたいところだけれど・・・専門家はどう思うのかな?」

 そう言いながら、ボスは有心を見た。専門家というのは、きっと有心のことを指しているのだろう。


「僕は、レイに任務を与えないでほしいです」

 ボスがすぅっと目を細めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ