54話
零たちの過去が明らかになってから数日。有心、零、菊たちは、有心の家で会議をしていた。
「これから、どうする?」
「どうするって何?」
「いや、だから、その」
有心は零の向かい側に座っている。なのに、零とは一向に目が合わない。キョロキョロと周りを見渡している。まるで、自分の家じゃないかのように。
「ねぇ、有心・・・なんか変」
零の核心を突くセリフに有心は慌てた。
「い、いや??そ、そんなこと、ないんじゃないかな、うん!」
「ぜ、零・・・・・・怪しい、ね・・・」
菊が零に言う。
「ほんとに何?」
怪訝そうに聞くと、有心はモゴモゴとしながら口を開けた。
「その・・・」
零と菊が注目してる中、部屋の隅っこでガタガタという音が聞こえた。
「んー!んー!!」
ガタガタという音とともに聞こえる零でも、菊でも、有心でもない声。
「うるさいんだけど?陽一」
零は部屋の隅っこで椅子に縛り付けられ、猿轡をされている陽一を見た。
「何か言いたいことがあるなら聞くけど」
零は猿轡を異能力で解いた。
「僕のこと忘れてない?」
「『忘れてない?』ってどういうこと?僕の異能力のこと忘れてない?なのか、僕の存在忘れてない?なのか、僕をここで縛り付けてるの忘れてない?なのか、どれ?」
冷徹な瞳で零は陽一に聞く。
「僕をここで縛り付けてるの忘れてない?かな」
「ふぅん」
零は己の髪に付けた簪に触れる。
耳の横あたりの髪を一房取り、くるりんぱした結び目の所に簪を挿した姿は、元からそうであったと錯覚させるような魅力がある。
「陽一」
零は縛り付けられたままの陽一を呼び、ニヤリと意地悪そうな意味を浮かべた。
「よく見てて」
そう言った零は、手を伸ばし有心の唇に触れる。優しく唇をなぞると、有心が言葉にならない声を上げた。
顔を真っ赤にして菊は手で顔を覆っている。
「あ!ちょ、え!あの!零ちゃん!!」
陽一が焦ったように零を呼びかける。
「なに?」
艶っぽく微笑んだ零は有心に近づき、もう一度有心の唇をなぞった。そしてそのまま耳に触れる。
「ね、ねぇ、零。どうしたの。僕に触れてきて」
ときおりビクッとしながら、有心が困惑したように零を見上げる。
「え?陽一の反応が面白いから」
「は、はぁ・・・」
有心がよく分からないという顔をした。しかしそんなの気にせず零は有心の唇、首元、耳、顎を順不同で触り続ける。
「ねぇ、陽一。今の気分は?」
「最っ悪だよ。僕の有心に何してくれてんの?」
その言葉を聞くと、零は有心から手を離した。
「有心」
零が呼びかける。
「陽一はあんたを瑞花のようにしたくて近づいたんだよ」
「え!?」
「陽一は、気に入ったやつは手に入れないと気がすまない性質なの」
有心は未だに残るゾワゾワとした感覚と戦いながら、零の話を聞く。
「瑞花を探しに来た。陽一はそう言った。多分、瑞花がメインミッションで、有心がサブミッションだったんでしょ?」
「そうだよ」
陽一が妖艶に笑った。




