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零の愛寵  作者: Lilly
49/57

47話

 一瞬表情が固まる両親と祖父母。瑞花はそれを眺めながら、明るく振る舞う。

「お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、瑞花のこと、好き?」

 瑞花の心の声は聞こえない。

「ええ、もちろんよ」

 微笑む母。

「もちろんだとも」

 頭を撫でてくる父。

「瑞花ちゃん、どうしてそんなこと聞くの?」

 訝しむ祖母。

「・・・」

 無言を貫く祖父。

「だって、今日は瑞花の誕生日だもん。それぐらい聞いたっていいでしょ?」

「そうね、瑞花」

 頷く母。

 すると焦点が合わなくなりだした。どこを見ても視界がぐるぐると回り、定まらない。それでも瑞花は動き続ける。操り人形のように。


 そして次の場面。

 ベッドから起き上がり、瑞花はリビングに向かう。すると、いきなり駆け足になった。急いでリビングの扉を開けると、瑞花の息をのむ音が聞こえた。

「お父さん、お母さん」

 呟く瑞花。

 そこにはー


 血だらけで息絶えている両親の骸があった。


 そして視線をさらに奥に移動させると、赤茶色の2つの大きな物体が転がっていた。

 慎重に近づき、瑞花は悲鳴をあげる。


 赤茶色の2つの大きな物体は祖父母の骸だった。


 皮が無惨にも剥がされ、肉が露わになっている。両親よりも酷い姿。


ーピンポーン


 静寂を切り裂くチャイム。

「ひっ」

 と小さく悲鳴をあげ、瑞花は尻もちをつく。ベチョという嫌な音が聞こえる。急いで手を見ると血がついていた。

 瑞花は何度も深呼吸をする。そして勢いよく立ち上がると、ドアを開けた。


 ドアの向こうには瑞花よりも小さな男の子が1人で佇んでいた。

「え・・・」

 瑞花が呟く。

 深淵のような瞳をした男の子が瑞花の目を覗き込む。

 何も言えずにいると、男の子が口を開いた。

「ボクが殺した。お姉ちゃん、ボクを殺して」



◆◆◆



 映像が途切れる。途切れるのと同時に零がガタッと倒れた。

「零!」

 菊が叫ぶと零がうっすらと瞼を上げる。

「ごめん」

 そう言い残すと完全に意識を手放した。

「僕が診てみるよ」

 有心がそう言うと菊は零の隣を有心に譲る。


 緑色の光が有心の掌から溢れ出し、零を包み込む。

 数秒すると、零がゆっくりと目を開けた。

「有、心・・・?」

 零が呟くと、有心は微笑む。

「体調はどう?」

 微笑んだ有心に驚いているのか、零は目を見開く。

「大、丈夫」

「体に異常は特になかったよ。ただ、脳が疲れちゃってたのかな。強制シャットダウンしたみたい。だから、脳の疲れを取ってあげたよ」

 有心の説明を聞いても驚いた様子の零に菊は首をかしげた。

「零?」

「どうして治したの」

「え?」

「殺してくれて、良かったのに」

 顔を歪め、零は言う。

 瞳に水滴を溜め込み、それ以上何も言えないように閉じた唇、必死に何かが溢れないように耐えてる零のいつもと違う姿。


 ただ、その姿は陽一と初めて目が合った時の零と似ていた。


「零!!」

 菊が叫んだ。

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