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零の愛寵  作者: Lilly
46/57

44話

 黒い人間はどんどん増えてゆく。

()()()()()で行く?」

 零が菊に問いかける。

「もちろん」

 普段とは全然違った表情で、菊は頷く。

「じゃ、やろっか」

 零がそう言うと、零は右に、菊は左に、90度曲がる。お互いを背中で感じながら、2人は動き出した。

 零が闇の異能力で敵を倒し、菊も様々な攻撃的な異能力を駆使して戦う。防御も攻撃もできる異能力をお互い持っているため、サポートし合いながら、そしてそれぞれ好きに倒しながら、戦える。

 菊が口角を上げた。

 それを見て有心は目を見開く。先ほどまであんなに引っ込み思案だった菊がこうなるとは、と。

 

「零ちゃんは、すごいんだね」

 呆けたように、陽一が呟く。

「陽一?」

「あんなに強い女性、初めて見た。彼女は、どこまでも繊細なんだね」

「繊細?でも、陽一・・・零は」

「感情がないって?」

「うん・・・」

 陽一は自信を持った瞳で有心を見た。

「零ちゃんは、感情に気づいてる。でも、気づかないふりをして感情がないように見せかけてる」

「は!?」

「・・・何が、零ちゃんをそうさせたのかな」

 悲しげに呟く陽一に零は気づかない。


 数分後、戦い終わった零と菊が陽一と有心を見た。

「終わった」

 ふっと、零は笑う。

「ぜ、零・・・」

 菊が驚いたように零の頬に触れた。

「え、ちょっと、何?」

 いつもの無表情に戻った零は菊を見る。

「今、笑ってたよ。零」

「そんなことはない」

「笑ってたよ」

 今度は有心が明るく言う。

「だから笑ってないって」

 ため息混じりに零はそう言う。そして、ボソリとー


「まずい」


 と、呟くのだった。



◆◆◆



「おやおや、失敗してしまったようだ」

 執務室で笑うのは、ボスだ。

「ボスが失敗なんてー」

 青髪の女性が目を光らせる。

「これで100回目ですね」

「結構多いなぁ・・・」

「・・・そうですね」

 青髪の女性の目はいつの間にか光っていない。

「どうなさるのですか?立て続けに殺しにかかっても、意味がないように感じます」

「そうだね」

「私が殺してきましょうか?」

「駄目だ、君は戦闘向きではない」

「そうですが・・・」

 さっと表情を曇らせながら、青髪の女性は呟く。

「大丈夫だよ」

 青髪の女性を落ち着かせるように、ボスは優しい声色で言う。

「ボクが失敗したことなんて、ないだろう?」

 そうボスが言うと、青髪の女性は力強く頷いた。

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