44話
黒い人間はどんどん増えてゆく。
「いつも通りで行く?」
零が菊に問いかける。
「もちろん」
普段とは全然違った表情で、菊は頷く。
「じゃ、やろっか」
零がそう言うと、零は右に、菊は左に、90度曲がる。お互いを背中で感じながら、2人は動き出した。
零が闇の異能力で敵を倒し、菊も様々な攻撃的な異能力を駆使して戦う。防御も攻撃もできる異能力をお互い持っているため、サポートし合いながら、そしてそれぞれ好きに倒しながら、戦える。
菊が口角を上げた。
それを見て有心は目を見開く。先ほどまであんなに引っ込み思案だった菊がこうなるとは、と。
「零ちゃんは、すごいんだね」
呆けたように、陽一が呟く。
「陽一?」
「あんなに強い女性、初めて見た。彼女は、どこまでも繊細なんだね」
「繊細?でも、陽一・・・零は」
「感情がないって?」
「うん・・・」
陽一は自信を持った瞳で有心を見た。
「零ちゃんは、感情に気づいてる。でも、気づかないふりをして感情がないように見せかけてる」
「は!?」
「・・・何が、零ちゃんをそうさせたのかな」
悲しげに呟く陽一に零は気づかない。
数分後、戦い終わった零と菊が陽一と有心を見た。
「終わった」
ふっと、零は笑う。
「ぜ、零・・・」
菊が驚いたように零の頬に触れた。
「え、ちょっと、何?」
いつもの無表情に戻った零は菊を見る。
「今、笑ってたよ。零」
「そんなことはない」
「笑ってたよ」
今度は有心が明るく言う。
「だから笑ってないって」
ため息混じりに零はそう言う。そして、ボソリとー
「まずい」
と、呟くのだった。
◆◆◆
「おやおや、失敗してしまったようだ」
執務室で笑うのは、ボスだ。
「ボスが失敗なんてー」
青髪の女性が目を光らせる。
「これで100回目ですね」
「結構多いなぁ・・・」
「・・・そうですね」
青髪の女性の目はいつの間にか光っていない。
「どうなさるのですか?立て続けに殺しにかかっても、意味がないように感じます」
「そうだね」
「私が殺してきましょうか?」
「駄目だ、君は戦闘向きではない」
「そうですが・・・」
さっと表情を曇らせながら、青髪の女性は呟く。
「大丈夫だよ」
青髪の女性を落ち着かせるように、ボスは優しい声色で言う。
「ボクが失敗したことなんて、ないだろう?」
そうボスが言うと、青髪の女性は力強く頷いた。




