35話
【零、動くな】
こぼれが命令する少し前に零は目を瞑り、回避する。
零は闇で刀を作り出し、こぼれに近づく。
(あ、零お姉ちゃんが勝つ・・・!)
そうレイが思った瞬間・・・。
ーボトッ
零が刀を落とした。
「・・・零?」
こぼれが零の名を呼ぶ。
「できない」
「零お姉ちゃん?」
「できない!こぼれ姉さんに刃を向けるなんて、死んでもできない」
零は悲しげに続ける。
「ここまで、こぼれ姉さんのおかげで生きてこれた。こぼれ姉さんがいなくちゃ、私は何もできなかったのに・・・」
「零・・・」
「もう、ボスを殺してもいい。ボスに復讐してもいい。こぼれ姉さんに刃を向けるぐらいなら、ボスに刃を向ける」
◆◆◆
「零!零!起きて、起きて!!」
有心がベッドで寝ている零を起こす。
「ん・・・何?」
目を覚ました零は有心を見る。
「ねぇ、零の友人とかに死者を生き返らせる異能力持ちの人、いない?」
「あ゙ー友人じゃないけど、一人知ってる。でも、どうして?」
「陽一・・・望月陽一を覚えてる?」
「有心の友人、だよね?」
「そう」
有心は躊躇いながら、口を開く。
「陽一は人格を別のものに移動できたんだ」
「別のもの?」
「そう。人格を操作するっていうか・・・例えば、このペンとかに人格を移動だってできたんだ」
「つまり、私やレイを移動させるってこと?」
「そう!!」
零はそれを聞いてかしげていた首を、さらにかしげる。
「移動させて、どうすんの?」
「バラバラに異能力を使えるじゃん!そしたら、ボスを倒しやすくならない?」
「あー確かに」
納得しながら、零は唸る。
「でもなー、あいつ紹介するのは」
「嫌なの?」
「嫌」
「零もだいぶ感情が出るようになったね」
「確かに」
◆◆◆
有心たちのいる街に、とある一人の男がやってきた。
年齢は有心と同じくらい。太陽のような男だ。
「久しぶりだなぁ」
男はスーツケースを引きずりながら太陽に目を細める。
「僕が来たって言ったら、驚いてくれるかな。あ〜早く会いたい」
歩く速度を速め、男は予約しておいたホテルへ入りチェックインをする。
「予約していた、明月陽二です」
鍵を受け取り、部屋へと進む明月陽二と名乗る男はスマホで過去の写真を眺める。
どれもこれも、有心の姿が撮られていた。
「待っててね、有心」




