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零の愛寵  作者: Lilly
37/57

35話

【零、動くな】

 こぼれが命令する少し前に零は目を瞑り、回避する。

 零は闇で刀を作り出し、こぼれに近づく。

(あ、零お姉ちゃんが勝つ・・・!)

 そうレイが思った瞬間・・・。


ーボトッ


 零が刀を落とした。

「・・・零?」

 こぼれが零の名を呼ぶ。

「できない」

「零お姉ちゃん?」

「できない!こぼれ姉さんに刃を向けるなんて、死んでもできない」

 零は悲しげに続ける。

「ここまで、こぼれ姉さんのおかげで生きてこれた。こぼれ姉さんがいなくちゃ、私は何もできなかったのに・・・」

「零・・・」

「もう、ボスを殺してもいい。ボスに復讐してもいい。こぼれ姉さんに刃を向けるぐらいなら、ボスに刃を向ける」



◆◆◆



「零!零!起きて、起きて!!」

 有心がベッドで寝ている零を起こす。

「ん・・・何?」

 目を覚ました零は有心を見る。

「ねぇ、零の友人とかに死者を生き返らせる異能力持ちの人、いない?」

「あ゙ー友人じゃないけど、一人知ってる。でも、どうして?」

「陽一・・・望月陽一を覚えてる?」

「有心の友人、だよね?」

「そう」

 有心は躊躇いながら、口を開く。


「陽一は人格を別のものに移動できたんだ」


「別のもの?」

「そう。人格を操作するっていうか・・・例えば、このペンとかに人格を移動だってできたんだ」

「つまり、私やレイを移動させるってこと?」

「そう!!」

 零はそれを聞いてかしげていた首を、さらにかしげる。

「移動させて、どうすんの?」

「バラバラに異能力を使えるじゃん!そしたら、ボスを倒しやすくならない?」

「あー確かに」

 納得しながら、零は唸る。

「でもなー、あいつ紹介するのは」

「嫌なの?」

「嫌」

「零もだいぶ感情が出るようになったね」

「確かに」



◆◆◆



 有心たちのいる街に、とある一人の男がやってきた。

 年齢は有心と同じくらい。太陽のような男だ。

「久しぶりだなぁ」

 男はスーツケースを引きずりながら太陽に目を細める。

「僕が来たって言ったら、驚いてくれるかな。あ〜早く会いたい」

 歩く速度を速め、男は予約しておいたホテルへ入りチェックインをする。

「予約していた、明月陽二(あきづきようじ)です」

 鍵を受け取り、部屋へと進む明月陽二と名乗る男はスマホで過去の写真を眺める。

 どれもこれも、有心の姿が撮られていた。


「待っててね、有心」



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