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零の愛寵  作者: Lilly
35/57

33話

 生まれたときから目障りだった。

 僕の異能力を妬み、僕を嫌った。

 十八になった頃には、そいつを殺し、そいつの地位を自分のものにした。

 そいつが消えてから、全てが順風満帆だ。

 そいつが作り上げた地位は、僕のおかげで強さを増した。

 そいつよりも、僕のほうが才があったのだ。

 そいつよりも、僕のほうが人望がある。


 そいつの組織は、僕のものになってから良い事づくしだ。



◆◆◆



 有心たちのボスは自室で目覚めた。久しぶりに先代ボスの夢を見て、彼は苦笑する。

 こんな過去、もうとっくに捨てているのに・・・と。


 昨日のこぼれの様子を思い出す。

「初対面なのに、嫌われてしまっていたなぁ」

 彼はベッドから降り、お湯を沸かし紅茶を入れる準備をする。

 今の零はボスである彼のおかげで、できており、ボスと似ている。紅茶を好んで飲むのも、どこか感情が欠落しているのも。

 そして、有心に執着しているところも。

「ねぇ零。君は・・・どうする?」

 こぼれがボスを倒すなら、零の力が必要不可欠だ。今の零なら、協力は惜しまないだろうが、彼と似ている彼女なら、協力しない可能性はゼロじゃない。

「零だけにね」

 つまらないものを言ってしまった。

 ボスはそう、思いながら苦笑する。

 苦笑が多い彼は、一体何を思っているのだろうか。それは、部下の誰も分からない。



◆◆◆



 話し終えた零は、無表情に戻り紅茶を飲む。

 まだ感情が残っていた時、初めて飲んだ紅茶はとても美味しく感じられた。また感情を取り戻したいのか、それともこのまま感情がなくていいのか、分からないまま、なんとなく紅茶を飲み続ける。

「零、話してくれてありがとう。疲れちゃったんじゃない?少し寝てくれば?」

「そうだね、そうする」

 紅茶を飲みきった零は立ち上がり、自室へと向かった。

「それじゃあ、有心。おやすみ」

「うん、おやすみ」

 零が自室に行ったのを確認し、有心は立ち上がる。どうやって、ボスに復讐できるか考えるために。



◆◆◆



 零たちの精神世界で、こぼれは零に問いかける。

「ボスに復讐する。協力してくれるよね?零」

「・・・」

 いつもなら、すぐに了承する零にこぼれは首を傾げる。

「どうした?零」

「・・・・・・やりたく、ない」

「は?」

「とにかく、私は復讐しない」

 確固たる宣言をした零に、レイは声をかける。

「零お姉ちゃん?どうしたの?」

「ねぇ零。いったい何があったの?」

「復讐を、やめる」

「は?」「え?」

 こぼれとレイの声が重なる。

「だから復讐をやめる。このまま、生きていく」


「ふざけないでくれる?」


 精神世界にこぼれの低く鋭い声が響き渡る。

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