33話
生まれたときから目障りだった。
僕の異能力を妬み、僕を嫌った。
十八になった頃には、そいつを殺し、そいつの地位を自分のものにした。
そいつが消えてから、全てが順風満帆だ。
そいつが作り上げた地位は、僕のおかげで強さを増した。
そいつよりも、僕のほうが才があったのだ。
そいつよりも、僕のほうが人望がある。
そいつの組織は、僕のものになってから良い事づくしだ。
◆◆◆
有心たちのボスは自室で目覚めた。久しぶりに先代ボスの夢を見て、彼は苦笑する。
こんな過去、もうとっくに捨てているのに・・・と。
昨日のこぼれの様子を思い出す。
「初対面なのに、嫌われてしまっていたなぁ」
彼はベッドから降り、お湯を沸かし紅茶を入れる準備をする。
今の零はボスである彼のおかげで、できており、ボスと似ている。紅茶を好んで飲むのも、どこか感情が欠落しているのも。
そして、有心に執着しているところも。
「ねぇ零。君は・・・どうする?」
こぼれがボスを倒すなら、零の力が必要不可欠だ。今の零なら、協力は惜しまないだろうが、彼と似ている彼女なら、協力しない可能性はゼロじゃない。
「零だけにね」
つまらないものを言ってしまった。
ボスはそう、思いながら苦笑する。
苦笑が多い彼は、一体何を思っているのだろうか。それは、部下の誰も分からない。
◆◆◆
話し終えた零は、無表情に戻り紅茶を飲む。
まだ感情が残っていた時、初めて飲んだ紅茶はとても美味しく感じられた。また感情を取り戻したいのか、それともこのまま感情がなくていいのか、分からないまま、なんとなく紅茶を飲み続ける。
「零、話してくれてありがとう。疲れちゃったんじゃない?少し寝てくれば?」
「そうだね、そうする」
紅茶を飲みきった零は立ち上がり、自室へと向かった。
「それじゃあ、有心。おやすみ」
「うん、おやすみ」
零が自室に行ったのを確認し、有心は立ち上がる。どうやって、ボスに復讐できるか考えるために。
◆◆◆
零たちの精神世界で、こぼれは零に問いかける。
「ボスに復讐する。協力してくれるよね?零」
「・・・」
いつもなら、すぐに了承する零にこぼれは首を傾げる。
「どうした?零」
「・・・・・・やりたく、ない」
「は?」
「とにかく、私は復讐しない」
確固たる宣言をした零に、レイは声をかける。
「零お姉ちゃん?どうしたの?」
「ねぇ零。いったい何があったの?」
「復讐を、やめる」
「は?」「え?」
こぼれとレイの声が重なる。
「だから復讐をやめる。このまま、生きていく」
「ふざけないでくれる?」
精神世界にこぼれの低く鋭い声が響き渡る。




