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零の愛寵  作者: Lilly
31/57

29話

「オッケー明日ね!!」

 レイは了承したが有心はなんて思うやら。

 手を振りながら、レイは帰っていった。


「いいの?」

 零はこぼれに問う。

「何が?」

 にやにやとしながら、こぼれはとぼける。

「とぼけても無駄。有心が嫌がるのが目に見えてる」

「でも、会いたいんだもん。善は急げ、復讐は急げって言うでしょ?」

「言わないと思うけど」

 零は無表情で淡々と答える。

 そんな零の様子にこぼれは、満足気に笑う。

「楽しみなんでしょ?」 

 零はこぼれを見て言う。

「うん」

「ボスはいつ来るのか、楽しみにしてると思う」

「え・・・?」

「あの家、盗聴器仕掛けられてるから」

「マジ!?」

「ていうか、こぼれ姉さん変わったね」

「そう?」

「昔はそんなにはちゃけてなかった」

「う〜ん、多分ね、零」

 こぼれは悲しげに瞼を閉じる。

「わたし、まだ個が確立してないんだ。ほら、久しぶりに外の世界に出たし、心はまだ十歳。早く大人になりたいな」

「別に、こぼれ姉さんはそのままでもいい」

「零にとって、わたしがどんな風であろうとも変わらないからでしょ?」

 瞼を上げ、零を見破ったように言うこぼれ。

「バレたか」

 舌をぺろっと出し、おどける零。無表情なのが、怖い。

「零〜〜怖いよ〜〜?」

「そう」



◆◆◆



 次の日の朝。レイと有心はボスに会いに行く準備をしていた。

「待って、レイ・・・。ほんとに行くの?」

「行く。こぼれお姉ちゃんが言ってた」

「うぅ・・・嫌だなぁ」

「ワタシは別に、楽しみだよ」

 レイは明るく言う。

「もう、僕は胃が痛い」

「大丈夫??今のうちに治癒能力で治しとけば?」

「いや、これは多分・・・心因性だよ・・・」


 ガタッ


 物が落ちる音とともにレイが倒れた。

「ちょ、レイ!?」

 駆け寄った有心はレイを抱きかかえる。

「ふふ」

 思わず、と言った調子で笑いがこぼれる。こぼれの笑いが零れる。

「イケメンさんだね!!有心ちゃん?」

「こぼれさん・・・。いつの間に、僕の呼称、それになってるんですか」

「可愛くない??結構気に入ってる」

「僕は気に入ってないです」

「敬語じゃなくてもいいんだよ?」

 優しく言ってくるこぼれに甘えたくなるが、有心はグッとこらえる。

「いえ、敬語で」

「ふぅん、頭いいんだね」

 有心の考えを読み取ったこぼれが不敵に笑う。

「それほどでも・・・」

 立ち上がり、こぼれは宣言する。


「そうだ、ボスのところに行こう!」



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