29話
「オッケー明日ね!!」
レイは了承したが有心はなんて思うやら。
手を振りながら、レイは帰っていった。
「いいの?」
零はこぼれに問う。
「何が?」
にやにやとしながら、こぼれはとぼける。
「とぼけても無駄。有心が嫌がるのが目に見えてる」
「でも、会いたいんだもん。善は急げ、復讐は急げって言うでしょ?」
「言わないと思うけど」
零は無表情で淡々と答える。
そんな零の様子にこぼれは、満足気に笑う。
「楽しみなんでしょ?」
零はこぼれを見て言う。
「うん」
「ボスはいつ来るのか、楽しみにしてると思う」
「え・・・?」
「あの家、盗聴器仕掛けられてるから」
「マジ!?」
「ていうか、こぼれ姉さん変わったね」
「そう?」
「昔はそんなにはちゃけてなかった」
「う〜ん、多分ね、零」
こぼれは悲しげに瞼を閉じる。
「わたし、まだ個が確立してないんだ。ほら、久しぶりに外の世界に出たし、心はまだ十歳。早く大人になりたいな」
「別に、こぼれ姉さんはそのままでもいい」
「零にとって、わたしがどんな風であろうとも変わらないからでしょ?」
瞼を上げ、零を見破ったように言うこぼれ。
「バレたか」
舌をぺろっと出し、おどける零。無表情なのが、怖い。
「零〜〜怖いよ〜〜?」
「そう」
◆◆◆
次の日の朝。レイと有心はボスに会いに行く準備をしていた。
「待って、レイ・・・。ほんとに行くの?」
「行く。こぼれお姉ちゃんが言ってた」
「うぅ・・・嫌だなぁ」
「ワタシは別に、楽しみだよ」
レイは明るく言う。
「もう、僕は胃が痛い」
「大丈夫??今のうちに治癒能力で治しとけば?」
「いや、これは多分・・・心因性だよ・・・」
ガタッ
物が落ちる音とともにレイが倒れた。
「ちょ、レイ!?」
駆け寄った有心はレイを抱きかかえる。
「ふふ」
思わず、と言った調子で笑いがこぼれる。こぼれの笑いが零れる。
「イケメンさんだね!!有心ちゃん?」
「こぼれさん・・・。いつの間に、僕の呼称、それになってるんですか」
「可愛くない??結構気に入ってる」
「僕は気に入ってないです」
「敬語じゃなくてもいいんだよ?」
優しく言ってくるこぼれに甘えたくなるが、有心はグッとこらえる。
「いえ、敬語で」
「ふぅん、頭いいんだね」
有心の考えを読み取ったこぼれが不敵に笑う。
「それほどでも・・・」
立ち上がり、こぼれは宣言する。
「そうだ、ボスのところに行こう!」




