25話
「復讐・・・?」
有心は零に言われたことを復唱する。
零は黙って頷き、有心を見た。
「一つ、忠告」
「何?」
「こぼれ姉さんは、私よりも強い。こぼれ姉さんの異能力は私の紅い目と同じ。相手を意のままに操る」
有心は黙りこむ。思い返してみれば、いつの間にか零に絶対服従していた。あれは、こぼれの異能力なのか。
「でも、こぼれ姉さんが異能力を頼るのは、緊急事態だけ。それ以外は話術でどうにかしてる」
「話術・・・?」
「思い出してみて。こぼれ姉さんと話したときのことを」
そう言われ、有心は思い出す。こぼれと話したときのことを。
「確かに、いつの間にかこぼれの提案に頷いてた・・・」
「でしょ?こぼれ姉さんは、なんというかそういう人なの。有心と話したとき、こぼれ姉さんは異能力を使ってなかったと思ー」
そう話しながら、零はピタッと動きを止める。
「零?どうした?」
「ごめん、有心・・・。行かなきゃ」
「え?」
「ふふ、零との会話は楽しめましたか??」
こぼれは、子供らしいあどけなさを残したようなニヤリ顔で、有心に問いかけた。
「計ったのか?」
こぼれの問いに答えず、有心は質問を質問で返す。
「いいえ??」
面白いものを見つけたかのような表情をするこぼれからは、本心が分からない。
「・・・なぁ、こぼれ」
「なんですか??」
心底楽しそうに有心を見つめるこぼれ。
「レイに、会いたい」
「あらあら、あんなに苛立ちを覚えていたのに会いたいんですか?」
「ああ。確かに、レイは零じゃないから・・・そのせいで、イライラすることもあった。でも、レイと零は別物なんだ。だから・・・もう、苛つかない」
強い意志を持った眼差し。
こぼれは、これ以上何かを聞いても無駄かと判断した。
「いいですよ」
こぼれにとって、これぐらいはお安い御用だ。少し入れ替わるだけで、自分にとって都合のいい駒が手に入ることは、プラスにしか働かない。
だから
「おはよう」
そう言って、レイを呼び覚ます。
「あれ?センセ?」
「レイ・・・」
「え?センセ、ワタシ黒髪になってる。センセが染めたの?」
あらぬ疑いをかけてくるレイに有心は優しく微笑む。
「違うよ。こぼれになったから、その色になったんじゃないかな」
「あ、そっか。ワタシの体、こぼれお姉ちゃんのものになったんだ。いや、違うね」
有心の優しい微笑みと反して、レイは悲しげに微笑む。
「この体は、もともとこぼれお姉ちゃんのものだったんだよ。ワタシが勝手に居座ってただけ」




