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零の愛寵  作者: Lilly
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17話

 僕の友人は、太陽のようなやつだった。

 なんていうと、ありきたりなのかな。でも、本当にそうだった。

 太陽と月のような関係性って言うと、僕が月で、彼が太陽なんだろうけど、そんなことはない。彼は太陽でもあり、月でもあった。上っ面は月のようで、でも、本当は太陽のように明るい。だから、僕は彼の周りにいくつもある、星のような存在だったんだよ。太陽と月の輝きであっさり輝けなくなるような存在。太陽と月の輝きで霞んでいるような存在。

 だから、ほら。彼がいなくなってから僕の異能力が目覚めたんだ。太陽と月がいなくなってから輝くなんて憎たらしいよね。僕は彼がいなきゃ、この世界に入れることも、異能力を得ることすらできなかったのに。

 僕の友人の名前は、陽一(よういち)望月陽一(もちづきよういち)。コードネームは陽。


「俺の名前は望月陽一。唯一無二の太陽だから、陽一だ」


 それが、口癖だったなぁ。


 え?早く裏の世界に入った経緯を語れって?零は短気なのかな?あ、そういうことじゃない?ごめんごめん。

 分かったから目を紅くしないで。怖いからさ、その目。


 僕の家はごく一般の家庭だった。両親と姉、それと僕。当時、両親と姉は異能力者で、僕だけ異能力を持たなかった。別に、それで何が起きるとかはなかったけど、家族は僕に裏社会の存在を知らせなかった。

 知らないからこそ、僕は裏社会から守られていたんじゃないかな。

 それが、家族から与えられた愛だと思う。

 でも、それじゃあ駄目だった。僕は、愚かにもその愛に気付けないまま、家族に不満を抱えていたんだ。僕だけ除け者にされている。僕だけ愛されていない。そう思っていた。

 世界が灰色みたいといえば、聞こえは良いけど、実際そんな感じ。いつも通りに繰り返される日常に、飽き飽きして、僕を助けてくれる誰かを求めていた。まるで、物語の主人公のように。

 笑っちゃうよ。ただの星である僕なんかが、主人公になれるわけないのに。

 その時に現れたんだよ。太陽でもあり、月でもある彼がー陽一が僕の前に。


 そう、それは僕が15歳のときだった。


「お前の名前、なんていうの?」

 開口一番の”お前”呼び。僕は面食らいながら自分の名前を答えた。そしてこう聞いた。

「君の名前は?」

 すると、そう。お決まりのあの台詞が

「俺の名前は望月陽一。唯一無二の太陽だから、陽一だ」

 返ってきた。


 陽一には異能力があった。僕と同い年なのに、裏社会に精通していて、僕も裏社会を知っているような口調で話しかけてきた。

「なぁ、あの組織知ってるか?今や俺等の世界で知らない人はいないような組織」

「いや、知らない。なにそれ」

「は!?知らないの?ん〜じゃあ、異能力は?」

「いのうりょく?」

「え?」

 家族の愛で雁字搦めに守られていた僕は、陽一の言葉のおかげで、初めて裏の社会のことを知った。

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