表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
零の愛寵  作者: Lilly
17/57

15話

「私に殺されて、幸せ?」

 かすれた声で、零は疑問をあらわにする。

「ああ」

「死ぬのに?幸せ?」

 零は一歩後ずさった。

「私に殺されて幸せといったのは、有心が初めて」

 淡々と事実を述べる零。

 すっと視線を下げ、零は呟いた。

「私に有心は殺せない。でも、有心も私を殺せない」

「ああ、そうだね」

 有心はより一層喜んでいるような声を出した。

「だけど、私は何かあれば有心だって殺せる」

「その場合、レイは悲しむし、ボスに怒られるんじゃないのかな?」

「ボスは、私のことも有心のことも、どうでもいいと思ってる」

 零は下を向いた。

 どこかさみしげに。


「零」

 有心は零の名前を呼ぶ。闇でできた刀を意図的に握り、手から血を流しながら。

「なんで、怪我する」

「そうだね、でも僕は治癒能力を持っているから大丈夫」

 現に、有心の手は治っては血を流し、治っては血を流しを繰り返していた。

「そんなの、無限地獄・・・」

「それでも良いんだ。零、君のことを知れるなら」

「え?」

「だって、おかしいだろう?レイは零が過去を失ったから現れたはずなのに、零は存在しているし、レイも存在している」

「・・・」

 沈黙を貫いた零は力を消し、有心の目を見た。

 睨めつけるように。

「何か、気に触ることでもあったかな」

「何も」

「じゃあ、なんで睨むの?」

「睨んでない。真顔だと睨んでいるように感じられるだけ」

「そっか」

 有心は気を取り直して、立ち上がる。

「ここは廊下だし、リビングにでも行こうか」


「さて、話してもらおうか」

 有心は温かいお茶を出し、零に話しかける。

「簡単な話。レイが勘違いしていただけ」

「勘違い?」

「だって、レイ言ってたでしょ。推測って」

 有心は零の隣に座り、初めて会った日を思い出す。

「そうだね、言ってた」

「レイが自分の過去を消したと思っていた異能力者は、過去を消す異能力じゃなくて、人格を増やす異能力だったってだけ」

「だから、レイが生まれた」

「そう」

 零はお茶を飲む。

「たったそれだけ。だから人の心を知れば過去を取り戻せるっていうのは嘘」

「でも、その記憶はレイの記憶だろう?」

「うん」

「じゃあ、なんでー」

「異能力ってさ、一人にひとつじゃないって知ってた?」

 突如切り出された話に有心は困惑する。

「そんな話は聞いたことない」

「だろうね」

 零は無表情なまま有心を見つめる。

「だって、私だけだもん。二つの異能力を持つのは」

「異能力が、二つ・・・!?」

「そう」

 次第に零の目が熱く光りだした。

「零、君の目・・・」

 赤く、紅く染まった零の目に有心は驚きを隠しきれない。

 零がすっと瞼を閉じ、また開けたときには目はいつもの水色に戻っていた。

「これ使うと疲れるんだよね」

「疲れっていうのは、感情じゃないの?」

 有心はふと湧いた疑問を零にぶつけた。

「疲れっていうのは感情じゃない」

 お茶を飲みながら、零は疲労を隠す。

「その紅い目は、どんな影響をもたらすんだ?」

「私が疲れる」

「そういうことじゃなくて」

 零はため息をつきながら、またお茶を飲んだ。

「紅い目で見つめられた人は、私に魅せられる」

「魅せられる?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ